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2012'12.25 (Tue)

「クリスマスの約束」後編

台所の水道が凍って出ないのがショックな英香です。
水、出しておくんだった。とけるまで洗い物が出来ないや。諦めて炬燵で待機です。
結局エンタを観ちゃったんで(だってみんなゲラゲラ笑ってるんだもん、気になって)、お話仕上げられず。深夜に上げるつもりが 今頃UPです。遊さんお待たせ(^^ゞ。
弓先生もクリスマスにカミツレの日程決めてましたが、我が家バージョンです。ララデラにも連載なので心配でしたが、いよいよ本誌でカミツレデート(//∀//)。待ち遠しくって仕方がないっっ。地球滅亡しなくて良かった!?。
更新です。ちょっと長めですが、お付き合い願います。クリスマスイブが過ぎた深夜です。

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【More】

「クリスマスの約束」後編


午後は書庫整理に追われ、食事と残務処理の後で 夜間警備に入る。
小牧と手塚は仮眠に入り、郁は堂上とバディを組んで館内を巡回する。クリスマスの飾りはある程度撤去され、ツリーだけは残されていた。
誰もいない館内に、堂上と郁の足音が響く。電飾が消えているツリーの下まで来ると、郁は懐中電灯でツリーを照らして見上げながら言った。
「クリスマスイブが過ぎると 一気に寂しくなりますよねー。本来は誕生日当日を祝う筈なのに前の日だけ盛り上がって――」
「まったくだ。イブが過ぎれば年末大掃除に正月準備。怒涛の忙しさになるぞ。夜勤明けでシフトがずれるが すぐに通常勤務になる。体調を崩さないようにだな――。」
堂上は隣を歩いていたはずの郁がいない事に気が付いた。郁はツリーの下で固まっていたのだ。
「どうした?。」
堂上は眉間に皺を寄せて声をかけた。
「きょ 教官!。12月があと1週間しかありません!」
「今更何言ってる。当たり前だろが。」
郁は頭を抱えたかった。何で忘れてたんだろう。普通もっと前にリサーチするものだろうに、すっかり抜け落ちていた女子力を呪った。
「教官のお誕生日、12月なんですよね?。県展に行くバスの中でチラッと……。」
「…なんだ おまえ、変なところは覚えてるんだな。」
変なわけないです。好きな人の誕生日を知らない方が変なんです、と心で叫んで落ち込む。
「まだだ。」
「え?。」
「俺のは年末に近いからな。」
「あ、じゃあ お祝いは」まだ間に合う、と顔を上げる。
「あほか、30男を祝って何になる。大体子供の時からクリスマスと誕生日と 下手すりゃ正月を纏められてきたんだ。今更誕生日なんて特別な気がしないしな。」
警備に戻るぞ と踵を返す堂上の背中を、郁は寂しげに見つめて追い掛けた。

郁は仮眠室をノックした。中から小牧と手塚が出てくる。んっと伸びをしながら手塚が準備に入り、小牧はキョロキョロ見回して尋ねた。
「あれ?。堂上は…。」
「えっと、お手洗いに行ったままなんですけど?。」
小牧は少し考えて「ああ。」と思いついた様に小さく頷いて仮眠室に戻ると毛布を2組郁に渡す。
「これ持って屋上に上がるといいよ。俺からのクリスマスプレゼント。」
「へ?。毛布がですか?。」
首を傾げる郁に 小牧はにっこり笑うだけだった。

毛布を抱えて屋上へと続く階段を上る。扉を開けようとガチャガチャやっていると ふいに扉が開いた。そこにいたのは堂上だった。
「なんだ、おまえも来たのか。」
郁は堂上の後ろ 夜空に広がる星の世界に目を奪われた。
「うわ~。スッゴい綺麗!。」
「ああ、今日は天気がいいからな。冬の空は明るい。去年 小牧と上がってきた時、あまりにも見事だったのを思い出したんだ。」
「ズルいっ。独り占めですか?。」
口を尖らせてぶるっと震える。
「っていうか 寒いですっ。だから毛布なんですね。小牧教官からです。」
はい、と1枚毛布を渡しながら郁は言った。
「小牧から?。」
「クリスマスプレゼントだそうですよ?。」
「………あのヤロ。」
堂上は片手で顔を一撫でしてから 畳んだ毛布を足元の段差に広げ、郁の肩を押してその上に座らせた。訳が分からずされるがままの郁の背を抱える様に 自分も1つ上の段に座ると、郁が抱えていた毛布を肩から羽織り 2人包み込む。
「きょ、教官…!?」
半分パニックに陥った郁に
「振り向くな、前向いてろよ。―――温い。」
と 低く言葉を落とした。
「湯タンポですか…。」
郁は必死に激しい鼓動を押さえ込む努力をする。背中が熱い。
「雪、降りませんでしたね。」
何か喋ってないと落ち着かない。
「この辺りでホワイトクリスマスは滅多にないからな。」
「でも 星が降り注いでるみたいです。」
「……相変わらず 痒いな。」
「わ、ひどっ。」
振り向こうとした郁を ギュッと抱き込んで制する。
「――やっぱり 教官のお誕生日、お祝いしたいです。」
顔が見えない分 少し大胆に呟く郁は、背中の熱に浮かされているらしい。
「詩織ちゃんがですね 検閲に出くわしたと聞いて、あたしの高校の時のを思い出しちゃったんです。」
堂上の手が強張るのを感じたが 構わない。
「あたしの時は助けてくれた人がいたけれど、それって凄い偶然だったんだなって。でも詩織ちゃんにも 助けてくれる人がいたんですよ!。いろんな形で助けて貰うことって出来るんですね。」
郁は2人を包む毛布を握って続ける。
「今のあたしを助けてくれているのは堂上教官です。あの、手が掛かるから仕方がなくてっていうのも承知の上なんですけど…だからちょっと感謝を込めてというか――。」
あの、その と言い淀む郁の真っ赤に染まった耳を堂上はじっと見る。
郁は 王子様 という呼称を使わない。
今の王子様を好きになりたい――――郁の卒業宣言の言葉が蘇る。
「カミツレのお茶を飲みに 連れていってくれるんだろ?。それでいい。」
「え?。だってそれは 昇任試験の筆記のお礼ですし―。」
「いい。正月明けの最初の公休が15日だ。その日でいいか?。」
「あ、は はい!。」
堂上は立ち上がり、郁に毛布を巻き付ける。
「何か贈りたいです。」
「その時貰う。―――覚悟だけしとけ。」
郁の頭をくしゃっと撫でて官舎に入る。
「えー!。士長の手取りの範囲内でお願いします。」
本気でおまえを取りにいく。もう手加減はしない。先に階段を降り始め、堂上はクリスマスの誓いを胸に唱えた。まだ郁の温もりが残る胸に――。
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