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2012'09.22 (Sat)

「名コンビ」

巨人リーグ優勝おめでとうございます。私は原辰徳さんのファンです。「原辰徳大事典」は嫁入り道具に入れて持ってきました。引退記念のテレホンカードも一緒です。因みに「009大百科」も5回の引っ越しに耐えてきました。大事大事。では更新。恋人初期です。


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「名コンビ」


ブンブンと頭上で野球のバットを振り回す。2、3度素振りをしてから 郁はバッターボックスに入った。
「かっ飛ばせー。お姉ちゃん!」ベンチから子供が叫ぶ。
「まっかせてー!」
ペロリと唇を舐めて顎を引き、軽くバットを握って構えた。ピッチャーを誘うように ゆらゆらとバットヘッドを揺らす。2アウトランナー3塁。1点差で負けているので、ここで一発出れば逆転サヨナラの場面だ。
6年生にしては身体の大きなピッチャーは コンパクトなモーションで渾身の一球を投げた。
「もらったぁ!」
郁のバットは白球を叩きつけた。速い打球は三遊間を抜けていく―――ところで前よりに守っていたセンターが横っ飛びにグラブに収めると 素早く体勢を立て直し キャッチャーミット目がけて矢のような送球を放った。リードを取っていた3塁ランナーが頭から突っ込むのと キャッチャーが覆い被さるのが同時に見えた。誰もが砂煙がおさまるのを待つ。
審判が右腕を高く挙げた。「アウト!ゲームセット!」
ベンチから大きなため息。守備の選手は ワーと声をあげてマウンドに集まっていった。
「あー悔しい!いい当りだったのにぃー。」2塁を回ったところで止まった郁は 拳を握って悔しがった。
「残念だったな。」膝についた砂を払いながらニヤリと笑って近づいてきたのは堂上だ。
「おじさん凄い!ファインプレーだ!」ピッチャーをしていた男の子が手を振って合図をしてきた。軽く手を挙げてそれに応えた堂上は その手をスルリと郁の頭に流して ポンと弾ませた。
「あれが抜けたら ホームまで走り切る自信があったのになぁ。教官があんなところで守っていたなんてぇ。」
「走って追い付くにはまだ本調子じゃないしな。手前で反応した方が打つ手があるってもんだ。」
堂上が退院して2ヶ月がたった。もう訓練は通常にこなしてはいるものの、まだ違和感が残っているようだ。
晴れて恋人同士になった2人は、公休デートを重ねていた。久々に休日が公休に当たり、今日はのんびり河川敷を散歩していたのだが、いつの間にか少年野球に混ざる形になったのだ。身体を動かすのが好きな2人は 子供と一緒になって楽しんだ。
「あ、教官。これからどうします?」目的があって歩いていたわけではないが、まだ陽が高い。えー もっと遊ぼうよ とまわりに集まってきた少年達が口々に訴える。しかしピッチャーの子が
「これ以上デートの邪魔したら駄目だろ?。」と言うと 他の子も
「そうか、デートか。」「デートなら仕方ないな。」「ラブラブデートだ。」と。
デートデートと連呼されて真っ赤になった郁の手を 堂上はひょいと取ると 「そうだ。デートしてくるぞ。」と宣言をして歩きだした。更に茹で上がった郁を見て ククッと喉をならす。
ヒューヒューと囃し立てる少年達が「そこの公園でフリーマーケットしてるって母ちゃん言ってたよー。」と教えてくれた。
「へぇー、フリーマーケットかぁ。いいですね!」繋がれた手を意識しながら堂上に笑いかける。どちらともなくきゅっと握りなおして公園に向かっていった。

古着や雑貨の小さな店が並んでいる。テントでは自治会が焼きそばやたこ焼きといった屋台をだし、いい匂いを漂わせていた。
そこに「キャー!」と女性の声が聞こえた。反射的に振り向くと、帽子を被った男が周りを突飛ばしながら走っていくのが見えた。「ひったくりよ!」
郁はもう追いかけ始めていた。だが遠い。人混みに紛れたら捕まえるのが困難だ。「失礼」と堂上は屋台にあったペットボトルを掴んで男目がけて投げつけた。足に当たった男が多々良を踏む。それで十分だった。郁は追い付くと襟ぐりを掴んで引き倒し、馬乗りになって拘束した。追い付いた堂上に 満面の笑顔で言った。「ゲームセット!ファインプレーですね!」

犯人を警備員に引き渡した後、自治会長からお礼として お好み焼きやたこ焼きといった食べ物を貰った。「いやぁ、見事なコンビプレーでしたねぇ。この先も息の合ったご夫婦になりますね!」
「ふ、夫婦!?」沸騰した郁に「過剰反応するな!」と甘い拳骨が落ちてきた。
恋人同士になってまだ日が浅いが、共に行動して3年。お互いどうフォローするかは 自然と身体に染み付いている。仕事でもプライベートでも最高のコンビでいたい。頭を擦りながら テヘヘと照れた。




せっかく恋人設定にしたのに、全然甘くない…。
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