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2013'02.05 (Tue)

「波を寄せて」3

もしかしなくても ネタ提供に期待している英香です。
だからこの時間(^^ゞ。ズルい大人ですね。だって朝には終わってそうだし…。
リクとの違いは?。書けたらラッキーってところでしょうか。キリ番近辺がいらっしゃったらリクとして精一杯努力致します。
連載の方は7、8回になりそうです。原因は この先和田さんが喋るわ喋るわ…。大分削らせて頂きましたです。
更新です。続き。今回長い!。読みにくかったらすみません。

↓こちらから どうぞ

【More】

「波を寄せて」3


翌日からも訓練が続いた。
和田は道場での格闘技訓練、屋内射撃場での拳銃とSMG(サブマシンガン)を使った射撃訓練と、日を追って腕をあげ、屋外演習場でのフォーメーション訓練では 積極的に質問や意見を述べる。
「彼、頑張ってるね。めきめき上達してる。」
「……ああ、この分だと 1週間でも立派に成果を出していけるな。」
小牧は堂上の顔を覗き込んだ。
「何かあった?。」
急に小牧の顔が近くにきたので堂上は一歩下がると
「別に。」
と方向を変えて歩み去った。

和田は業務後に1日の訓練経過や報告書を作成する。
「うわー、結構細かいですね。」
郁は横から覗き見て感心する。
「まあね、このまんま茨城に持って行ける訳がないからね。でも凄いよ。堂上二正はその辺も踏まえて指導してくれる。おかげでまとめやすいし すぐに実施案が作れるよ。」
「和田三正も勉強家ですよね。見習わなくちゃ。」
郁も日報を書き上げた。
班長会議から堂上が帰ってくると郁は提出する為に いそいそと席を立った。
「教官 お願いします。」
「お、珍しく早いな。いつもこうだといいんだが。」
「む。ちゃんと早い時もあります!」
「正直に楯突くなあ。ま、せっかくだから早く帰れ。」
ククッと笑うと郁の頭をぽんと叩く。ここ最近 柔らかな笑みを見せる様になった堂上に、郁の心臓は高鳴る。好きと自覚してからは ちょっとした仕草にも敏感だ。「はい」と赤くなりそうな頬を隠すように俯くと 頭を下げて踵を返し、帰り支度をする。
和田は2人を横目で見るとファイルを閉じた。
「笠原さん、俺もこれで上がります。寮まで一緒に帰りましょう。」
堂上の肩が揺れたが構わない。
「堂上二正、よろしいですよね。お先に失礼します。」
和田は机の上を片付けると 「え、え?」と戸惑う郁を促して2人で事務室を出ていった。
「いいの?。堂上。」
小牧は書類から顔を上げずに問うた。
「業務は終わった。問題ない。」
何とかなんない?その頑なさ 小牧はため息をついて机の下で携帯を開いた。

「さすがだね。特殊部隊。隊長不在でもしっかり統率がとれてる。その中で堂上二正はあんなに若いのに 随分信頼されてるんだな。県展でも的確な指示が飛んでた。冷静かつ果敢な人物だ。」
総じて堂上の評価は高い。外から来た人からもそう見えるのか と思うと、郁も嬉しく思った。そんな人物の部下でいるのが誇らしいのと同時に、部下でいる価値が自分にあるのだろうかと 不安にもなるが。
「いい上官の元にいますね。」
和田の言葉に郁は大きく頷く。
「はい、尊敬しています。」
郁の誇らしげで晴れやかな笑顔に 和田は眩しそうに目を細めた。
「…笠原さんは 地元に帰る気、ないの?」
「ないですよ~。あたしの特技を生かして本を守るっていったらここしかないし、それに――。」
ぽっと頬が染まる。
「王子様がいるから?」
和田の突っ込みに郁は顔を手で覆う。
「もー! 舞ってばお喋りなんだからぁ。」
「いやいや、なかなか良い話だよ。で、見付かったのかい?」
和田の優しい声に 郁の動揺が軟らいだ。
「いえ、あの……もういいんです。」
郁の歩みが緩まるのに和田も合わせた。
「いいって、諦めたの?」
「あ、そういう訳じゃなくって。何というか…その……王子様王子様って追いかけるのを卒業するって決めたんです。あの時に会った三正だって いろんな経験をして今はまた成長した図書隊員になってるんだから――。」
郁は立ち止まって空を仰ぐ。
「あたしはその人に恥じない自分になりたいんです。」
「じゃあ 王子様は見付からなくてもいいの?」
「や、それはその――。」
和田は郁の正面に回り込んで、郁と向き合った。
「笠原さん、茨城司令部は 貴方の水戸本部防衛部への異動を望んでいます。」
「え!?」
唐突な和田の言葉に、郁は目を大きく見開いたまま 暫く身動き出来なかった。
そして見開いた目をそのまま 視線を足元に、そしてよろりと身体を揺らした。
「な、何言ってんだかなあ。冗談……」
ここは笑い飛ばすところかと思っても うまく笑えない。それ程 和田の目が真剣だからだ。
「真面目な話だよ。茨城司令部からは正式に話が来ているはずだ。」
「………。」
「県展での君の活躍、女子防衛部への指導力に牽引力、そして寮内での影響力――。どれを取っても水戸本部には笠原さんは魅力的なんだ。」
「そんなことないですよ。」
郁はブンブンと首を振る。
「ご謙遜。逸話はいろいろ聞いてるよ。それから、こんなこと言っちゃ何だけど…。」
和田は少し間を置いてから続けた。
「君の王子様は どうして名乗り出てくれないのかな?。ここまで追いかけて来て こんなに頑張ってる君を見て、声もかけてもくれないなんて。」
郁は唇を噛んだ。
「いつまで待ってるつもりだい?。見込みはあるの?君を必要としている場所はいくらでもある。水戸の本部なら存分に君の能力を発揮出来る。それに――俺なら君を待たせない。」
畳み掛けるような和田の言葉の 最後の意味はよく分からなかったが、郁の混乱した頭では整理できない。
「よく考えてくれないかな。いい返事を期待してる。」
和田はぽんと郁の肩を叩くと 郁を残して寮に入って行った。

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