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2013'02.07 (Thu)

「波を寄せて」4

昨日は嵐のDVDを満喫していた英香です。
風邪ひいてじっとしている長女。普段 食事やお風呂、課題以外の時間は 入念なストレッチを欠かさない新体操部の彼女。体がなまる とムズムズしているようですが、嵐観てリフレッシュ。でも2枚組で観てると 後半は母ちゃん何かと用事ができるから殆ど観られない。後半から観ようよ~って提案しても、最初から観なきゃダメって いつも却下されます。だから最後まで観られた例しがありません。
でも今回は全部一緒に観られた!。悲願達成です(^ω^)。
気分良く 更新です。今回も長い。ホント 読みにくかったらスミマセン。続きです。

↓こちらから どうぞ

【More】

「波を寄せて」4


どうやって部屋まで帰ったか覚えていない。
「お帰り、笠原。」
先に帰寮していた柴崎が 操作していた携帯を畳んで迎えてくれた。
「ちょっと どうしたのよ。顔 真っ青よ!。具合でも悪いの?」
郁はふらふらとベッドに倒れ込んだ。
「ん、大丈夫…。」
ぐるぐる回る思考を持て余し、額を枕に押し付ける。
一方的な王子様卒業宣言。部下として認めてくれている事に疑いはない。県展での大規模攻防戦を経験して成長したあたしを喜んでくれてもいる。あの大きな背中をどこまでも追いかけたい。好きでいるだけで力が湧いてくる。――上層部はどう考えてるんだろう。――そしてそれを知ったら教官は どう反応するんだろう…。
泥沼に身が沈んでいくようだった。


翌日の訓練で 郁は何でもないところで足をもつれさせて転倒した。
「ったあ。」
少し足をひねったようだ。
「あほう、訓練には集中しろ。――ん、冷やした方がいいな。医務室だ。」
郁の足を検分した堂上は「ほら。」と背を向ける。
「へ?」
キョトンとした郁に苛立った様に堂上は顎をしゃくった。
「や、歩いて行けますよ。」
「運んでって貰いなよ。こっちは訓練続けてるから。」
小牧に背中を押されて おずおずと堂上の背に身を預ける。
「お、重いですよ?」
「今更 何言ってやがる。寝落ちしたおまえを背負うより ずっと楽だ。」
よっ と立ち上がる堂上の背で郁は精々縮こまった。
安定した歩みに 郁は身体を寄せる。いつもは酔った頭で感じる揺れを 今は直接肌で感じる。
教官、好きでいたいです。近くにいたいです。離れたくない。ここに居させて。
無意識に堂上の首に回した腕に力が入る。滲んだ涙を こっそり堂上の肩に瞼を押しあてて吸わせると、堂上の低い声が優しく響く。
「痛むか?」
郁は額を背に付けたまま首を振った。
「大丈夫です。」
医務室までの距離を目を閉じて甘える事にした。

1週間という研修はあっという間だ。一通り訓練を体験して学んだ和田は、最終日の明日はまとめた報告書を上層部に提出し、茨城へその日の内に帰還することになっている。実質今日で実技研修終了だ。
郁の移動に関する通達はまだないが、不安が消える事はなかった。

夜。郁の足の怪我は 処置が良かったからか大事に至らず、日常生活に支障はなかった。
用事があるからと言う柴崎を置いて 先にお風呂に向かった。柴崎が何度目かの通話を終わらせると部屋をノックする音がした。顔を出せば 隣の住人。手には郁の洗面道具が。
「これ 笠原の。コンビニ行くっていうから預かって来たの。ほら、研修に来てる三正が 怪我した後だから荷物持ちするって一緒に出かけたよ。笠原、ちょっと困ってた気もしなくはないんだけど…。」
柴崎の顔が一瞬険しくなったが 他人には気付かれない程度。
「教えてくれて有難う。大丈夫、すぐに番犬が向かうから。」
荷物を受け取りにっこり微笑む。部屋に戻るなり携帯で番号を呼び出してコールすると、相手はすぐに出た。
「堂上教官、和田三正の目的が分かりました。」
電話の向こうで息を呑んだのが分かった。


買い物を終えた郁のレジ袋を和田はスッと取り上げると店を出る。「自分で持ちますよ。」と言う郁を制して歩を進めた。
郁は眉じりを下げて 仕方なく後に続いた。
「笠原さん。」
いつの間にか公園に来ていた。
「昨日の今日で悪いんだけど、考えてくれたかな。異動の件。」
郁は目を瞑ってイヤイヤと首を振る。
「考えられません。タスクフォースはあたしの居場所です。離れたくありません。」
「――堂上二正もいるから?」
目を瞑ったまま 真っ赤な顔をして頷く郁を、和田はふわりと包み込んだ。
「ちょっ、何?。和田三正、舞に怒られますって。」
パニックになる郁を構わず抱き寄せる。
「舞とは付き合ってないよ。俺は振られ男だからね。」
ふっと笑った。郁も動きを止めた。
「実際、県展前に 舞に交際を申し込んだんだ。昔から舞と話してると楽しい。図書隊の中の事は機密事項で話せない事は多いけど そこは分かってくれるし、何より彼女といるとホッとするんだ。」
1度郁の体を離すと じっと郁の顔を見つめる。
「でも言われたんだ。『私を見てるわけじゃないよね。私を通して別の人を見てるよね。』ってね。」
和田はギュッと郁の両肩を掴んだ。
「俺は 以前から舞の話す笠原さんのことに興味があったんだ。憧れの人を一途に想う笠原さん。こんな危険な場所に身を投じてまで1人の男を追いかけ続ける笠原さん。そんなに想われる男が羨ましい。俺もそんなふうに想われてみたい。…いつしか舞に君の影を見てたんじゃないか。」
郁は和田の胸を押して離れようと抗うがびくともしない。
「君が追いかけているのは 王子様かい?堂上二正かい?――それとも もう重なってるの?」
郁はハッと顔を上げた。
「知ってるんだね…。」
視線を落とし「教官には言わないで下さい。」と郁は呟く。
「応えようとしない堂上二正じゃなくて 俺を見てくれないか?。」
和田は郁の胸元に額をつけた。
「や、離してっ。」

「笠原!。」
公園の入り口に走り込んできたのは堂上だった。肩で息をしているのは捜し回った証拠だろう。遅れて小牧も到着した。
「教官!。」
和田の手が緩んだ隙に 郁は身体を捩って逃れると、堂上に駆け寄った。
「……どういう事だ。水戸本部ではこんな指示が出るのか?」
郁を背に回して和田を見据える堂上の顔は険しい。
「いえ、個人的に攻めてるんですよ。」
和田は肩を窄めて微笑した。
「小牧、笠原を寮まで連れていけ。」
「りょーかい。」
小牧は「嫌です。」と言う郁を 半ば強引に寮に連れ帰った。

「その顔は全部知ってるって顔ですね。」
和田は近くのブランコに腰掛けた。

00:09  |  図書戦  |  TB(0)  |  CM(1)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2013年02月07日(木) 05:14 |  | コメント編集

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