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2013'02.09 (Sat)

「波を寄せて」5

こんばんは。なんかさっきも更新した気がしなくもない 英香です。
手元にあるものは さっさと更新したい病なのです。
今日はパソコン触ったので、久々に自分のブログを覗いて見ました。今回の連載は いつものより1話が長めです。私の携帯だと結構下までスクロール?するので長過ぎかと思っていましたが、パソコン画面だと また感じ方が違うもんだなあと思いました。
ま、気にしないことにしました(^ω^)。
続きの更新です。えっ ここで切るの?って言われそうですが…。都合です。そしてさやかさんのコメ見て気付きました。あ、漢字違ってた。こそっと今迄の含めて直しました。移動じゃなくて異動ね(^^ゞ。

↓こちらから どうぞ

【More】

「波を寄せて」5


和田は暫くブランコを揺らしていた。
「ブランコって寄せては返す波のようですね。」
静かな口調は暗くなった夜空に溶ける。
「笠原さんの思い出の中で 昔のあなたはどんな波なんでしょうか。」
ブランコを止めて堂上に問う。
「あなたの中の彼女の存在は?。」
「おまえに言う必要はない。」
堂上の顔は険しいままだ。
「水戸本部が笠原を引き抜きにかかったらしいとは聞いた。しかし正式な書類は少なくとも俺のところまで降りてきていない。」
直属の上司にまだ打診されていないということ。
「いらんことで部下を揺さ振るのは止めろ。」
「『部下』ですか。県展ではあの激しい抗戦の中 笠原さんはあなたの伝令として走り回っていました。大の男でも目を逸らしたくなる光景なのに。…正直、俺なら彼女を安全な場所に残しておきたいと思う。違いますか?」
堂上は表情を変えない。
「笠原は特殊部隊の隊員だ。使える人員は使う。能力があれば当然な事だ。」
「よくそこまで割り切れますね。感心を通り越して呆れちゃいますよ。」
和田はフンと鼻で笑うと両手で顔を撫で付けた。
「俺はね、長年好きだった女の子に 別の女の子を重ねてるだけだって言われちゃう男なんですよ。で、そこで否定出来ない自分に気付いちゃう。情けないですよね…。」
「居酒屋で笠原が言ってた彼女か。」
確かに付き合ってるのか聞いた時に はっきり返答していなかったか。勝手に判断して 彼女持ちだからと簡単に男を近寄らせた郁の迂闊さに腹が立つ。少しは警戒する事を覚えろよ、と言ってやれない自分にも。
「舞の話す笠原さんは すこぶる足が速くてスポーツ万能。勉強は出来ないけど何事にも一生懸命。背は女の子にしては高いけど 本好きで乙女な子。極めつけは 顔も名前も覚えていない1度会っただけの王子様を健気に想い続ける子だ。―一どんな子なんだろうって興味を持ったのが最初。会った事のない子に恋してたなんてね、自分でもびっくりです。」
和田は地面に足をつけながらブランコを揺らす。
「市立図書館に配属になって 問題の見計らいの話を聞いて現実味が出ると、今度はその三正にも興味を持ったんです。査問にかけられるのを承知で彼女を助けた その王子様にね。」
堂上は ムッと口をまげる。
「調べれば調べる程 あなたは素晴らしい人物だ。文武両道でどこからも評価が高い。さすが 笠原さんの王子様だってね。」
更に堂上の眉間に皺が刻まれる。
「あなたのようになりたかった。水戸本部に異動して必死に鍛えて勉強して…そしたら須賀原特監の館長就任だ。状況は一変。追い付くどころか離される一方だ。県展であなたに会って痛感した。王子様には適わないって。」
「うるさい、黙れ。」
堂上の眉間の皺は三割り増しだ。
「攻防戦の間 笠原さんのあなたに対する大きな信頼を感じました。あなたも隊長が襲撃された時 身を挺して必死に笠原さんを守っていた。」
県知事の護衛を兼ねてその場に居たんですよ、と空を仰ぐ。
「こちらでの研修の話を聞いた時、真っ先に手をあげました。自分を高めたいのと同時に、改めてあなた方に会うために。笠原さんに王子様と再会出来て良かったねって言えば 諦めもついて前を向けるって。そしたらあなたは正体を告げていないと言う。王子様なのに。」
「だから 喋るな。」
「あなただって笠原さんを大切に思ってる筈なのに、どうして関係ないなんて言うんですか?。そんな態度なら 俺が彼女を欲しくなる。放っておくなんて可哀想です。吹っ切るつもりが奪ってでも連れていきたくなる。王子様なら――」
「だから! その呼称をいちいち使うな!。」
堂上は仁王立ちだ。和田はピタリと話すのを止めた。
「なんで お前らはその恥ずかしい呼称を平気で使えるかなあ。」
笠原は漸く卒業だと言ったのに とガシガシ頭を掻く。
「俺は なんだ その、あの時のアレの行動は認めていない。軽率だ。未熟で間違いだらけだ。図書隊員であるお前が妙な事言うな!」
耳まで真っ赤になった堂上を 不思議に思って和田は凝視する。
「それに――、笠原を放っておくとは一言も言っていない。」
「じゃあ、王子様って…」
「アホか 貴様は!。どこの世界にそんなセリフ吐く奴がいるか!」
いつもの冷静な堂上の姿はなく、どこかそわそわした佇まいに和田は首を傾げる。そして 観念した様に和田に向き合うと堂上は大きく深呼吸した。
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