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2013'02.15 (Fri)

「チョコレート」

バレンタインは素敵サイト様で糖分補給。イベントっていいですよね。
私の実家は駅前商店街の今でいうコンビニ。ま、結局某コンビニになったんですが。
中・高生時代のバレンタインはひたすらチョコの包装に明け暮れていました。バブル期のバレンタインは凄まじいものでした。1人10や20の購入は当たり前。義理チョコは撒く物でした(よね)。「あんたの本命 私が包んでやったのよ。」と多感な時期はやさぐれモードな記憶しかないイベントでした。ホワイトデーのお返しの方が大変そうだったかな。会社の上司は3倍返しの上 量も半端じゃなかったし。
今はどんな感じですかね?。
さて 1日ズレたバレンタインのお話で更新です。上官・部下で革命中。微糖にてお送りします。

↓こちらから どうぞ

【More】

「チョコレート」


敦賀原発事件が勃発し 当麻蔵人を関東図書基地で保護することになった。
基地での潜伏を経て、稲嶺宅で匿われた当麻の身辺警護は堂上・郁組と小牧・手塚組で交替しながら続けている。
しかし郁には2月に入ってから、ふと頭を過る懸念事項がある。
毎年バレンタインには、「事務室にお徳用チョコを山盛り」が定番である。何だかんだ文句は言われるが、手軽さと懐事情を考えれば妥当な選択だ。気負いなく堂上の口にも入っていた訳だし――。
一応そのお徳用チョコは確保してある。必要最低限の日用品を買い出しに行った時に ついでの様にカゴに入れた。
でも今年は特別なチョコを買って渡したかった。――堂上に。カミツレのお茶を一緒に飲みに出かけた時、プライベートな堂上に触れて益々想いが募った。郁にとってはもうただの上官ではない。迷惑かけてるからとかお礼とか、上辺だけの義理にはしたくない。たとえ想いは伝わらなくとも 自分の気持ちだけは乗せておきたい。
しかし この緊急事態の中、たかだかお菓子メーカーのイベントに踊らされるのは不謹慎なような…でもだからこそ息抜きにちょっとあってもいいような…。
郁は警護の交替で帰ってきたある夜、いつもの様に寮のロビーで別れて堂上の背中を見送った後、暫くその場のソファーに身を沈めた。
「あ、笠原。お疲れー。どしたの?」
外から帰って来たらしい声の主は 業務部の2人。手には紙袋をそれぞれに抱えている。
「ん、ちょっと休憩。2人は?」
「私達は今日公休だったから チョコ買ってきたんだぁ。」
えへへ と紙袋を上にあげて見せた。紙袋には駅前の有名な洋菓子店のロゴが。
「あ、いいなあ~。そこ今限定チョコがいっぱい出てるんだよね。」
郁は想いを馳せた。去年も結局見送ったんだっけ。只のお礼を名目にするつもりでも。
「うん、いっぱい過ぎて目移りしちゃった。」
輝くような笑顔は満足な買い物が出来た証拠。彼女には確か 大学時代から付き合っている優しい彼氏がいるって聞いてる。
「いいのがあったんだ。良かったね。」
「うん。じゃあ部屋戻るね。笠原も急がないとお風呂しまっちゃうよ!」
2人はバタバタと女子寮に向かう。
「あ、ヤバっ。」
30分のロスだ。郁もあわてて部屋に向かった。

バレンタイン当日は夕方から稲嶺邸の警護だ。寮で早めの夕食を済ませてから 堂上と郁は稲嶺と帰宅する。堂上が運転手だ。郁は稲嶺の介助役をして乗り込むと、堂上の後ろでこっそりため息をついた。結局チョコは買えなかったなあ と。例え買えたとしても タイミングとかその後とか…いろいろ考えると現実的なシミュレーションが浮かばない。当たって砕けた経験しかないんだから。今砕けたら……。
ぶんぶんと頭を振る郁に
「どうかしましたか?」
と稲嶺が声をかけた。はっと前を向くと 堂上もルームミラーを介して睨んでいる。
「いえ、何でもないです。」
集中しなきゃ、と周囲に目を配った。

稲嶺邸で小牧・手塚組と引き継ぎをする。特に問題はなさそうだ。小牧達は帰り際に 珍しくまだ残っていたフクさんに呼び止められてから帰って行った。
稲嶺と当麻は夕食だ。その間に郁はフクさんにちょいちょいっと呼ばれてキッチンに入っていった。
「わあ~ チョコレートだあ。」
テーブルの上には 箱詰めされた小粒のショコラコレクション。
「今日はバレンタインデーっていうんでしょ?。今年は若い男性が出入りしてくれてるから 嬉しくておばちゃん買ってきちゃったの。」
小牧達には帰る時に渡したらしい。若返ったみたいよ、と笑う。
「私はもう帰るから、お茶を出す時にでも添えてくれる?」
と言って帰っていった。

食事が終わり 食器を片付ける。堂上は当麻から荷物を居間に運ぶように頼まれたので、書斎まで取りに行った。
郁は人数分のコーヒーを淹れる。
「綺麗だなあ~。」
香り豊かな色んなフレーバーのガナッシュが ビターチョコやミルクチョコで包まれている。丸や四角、ハートを型取ったものに 金箔が散りばめられたものも。
「選びたかった…。」
好きな人を想いながら。

トレイを持って廊下を歩くと、居間の前で堂上とかち合った。資料らしき本やファイルが入った段ボール箱を抱えている。当麻はノートパソコンを持って堂上の後ろを歩いて来た。
「いい香りだな。先生、一息いれてからお仕事されてはどうですか?」
「そうですね。」
当麻もにっこり笑って応じた。
堂上は郁を顎でしゃくって促す。
郁はボーと堂上の顔を見つめた。
「おい。」
再び促す堂上の声に 郁の意識が急浮上した。
「あっ はい!」
慌てて添えてあったハート型のチョコを摘むと 堂上の口に放り込む。
「!!」
目を白黒させて咀嚼する堂上の顔がみるみる赤くなるのを 郁は不思議に思って首を傾げた。
「笠原さん。堂上さんは戸を開けて欲しいそうですよ。」
当麻はクスクス笑って郁に声をかけた。
「え? あっ やだっ。」
堂上の両手は段ボール箱で塞がっているのだ。開けろという意味で促されたのを 何を勘違いしたのか。自分のしでかした事に気付いて郁は固まった。
茹で蛸のように真っ赤になった2人の間を、当麻が通って戸を開ける。
「どうぞ。」

楽しげに入ってきた当麻を居間にいた稲嶺はどうしたことかと迎えたが、後から入ってきた2人を見てある程度合点がいった。
郁の面接で2人の事情は知っている。人生経験も豊富にあれば自ずと察しはつくもの。当麻と視線を合わせて頬を緩める。毎日が緊張の連続である日々を送る中、微笑ましい2人を見守るのもいいものだと 稲嶺と当麻はこの一時を楽しんだ。
堂上と郁は言葉少なにコーヒーを啜る。口に運ぶチョコレートの甘さは あのハートのチョコに勝るものはなかった。
00:29  |  図書戦  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2013年02月15日(金) 09:29 |  | コメント編集

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 | 2013年02月21日(木) 00:02 |  | コメント編集

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