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2013'02.21 (Thu)

「月に誓う」中編

買えましたよ!前売り券\(^O^)/。今 無事手元に!。
このところの 余りにもヘタレな日記、申し訳ありませんでした。読んでて気分害してたらスミマセン。イライラしますよね。凄い反省m(__)m。でも背中を押してくれるコメントも有り難くて。
多分察してる方もいるでしょうが、私は初めての場所と人に過敏な赤面症。いい大人が情けない(^^ゞ。
来るもの拒まずのフレンドリーな一面もあるのですが、自分からの最初の一歩だけ汗や震えと闘います。
今日は買ってからしか更新しないぞ!と決めて。
無記名で売り場を教えてくれた方、有難うございました。グッズ売り場に前売り券ってありました。入口で躊躇してたから見えてなかったんですね。ちゃんと出てました!。きすけさんの通りカンペ作って。
でも困った事が。支払いする時から 今度は顔のニヤニヤが抑えられないっ。背中の汗と平静を保つのに必死でした。
無事ポストカードを手に 更新です。郁ちゃんの恐怖症と自分がリンクしてる不思議な巡り合わせ。意図はなかったんですが?。

↓こちらから どうぞ

【More】

「月に誓う」中編


深夜 カーテンの向こうでガバッと起きる気配がある。粗い息遣い。同室の者を起こさないように声を殺して。
気付いてないとでも思ってるのかしら。柴崎はここ数日の郁の様子を堂上達に伝えた。
「お風呂でも 足を入念に洗ってるんです。多分犯人に触られたところを。無意識でしょうけど 時間をかけて擦るんです。黙ってると赤くなるほどに。適当に声をかけて止めさせてたんですが。」
業務中 男性と会話する程度では支障なさそうだったからそっとしておいたのだと柴崎は言う。しかしどうやら重症化する兆しが見えてきたなら何かしら手をうたないと、と。
郁が医務室に行っている間、昼の食堂で柴崎に事情を聞き出していた。そこへ戻って来た郁の様子に変わりはない、ように思えた。ごく自然に郁の頭に触れたこの手が払われるまでは。

午後は地下書庫での業務だった為、忙しく走り回って時間を過ごした。しかし業務は多岐に渡り、男性隊員 男性利用者と接する機会も多い為、このまま放っておいても解決にはならない。
郁自身も違和感を自覚しつつあった。
書庫での作業中に小さなミスがあった。いつもならそのタイミングで堂上の拳骨が落ちるはずが 言葉で注意されるだけ。作業時間終了時には「お疲れ」と同時にくる頭にぽんと置かれる手が来ない。
寂しいと思う反面、背後に堂上達に立たれると感じるゾワゾワとしたもの。
「笠原一士、これを堂上二正に。」
男性図書館員に箱一杯のファイルを渡された時に 極軽く腕が触れ「ひゃっ!」と箱ごとひっくり返してしまい辺り一面にファイルが散らばった。
「す、スミマセン!」
「何やってんだ。」
離れていた堂上と小牧も駆けつけ、ファイルを手分けして集めて箱に納める。そこで堂上と郁が同時に出した手が触れた。
バッと手を引く郁の目に 堂上は怯えの色を捉えた。次にその目は驚きで見開かれる。差し出されたままの堂上の手に視線を落とした郁が 恐る恐る自身の手を伸ばしてくる。
「よせ」
堂上の制止を耳に入れず 郁は堂上の手をとった。
背筋に走る悪寒。嫌な汗が吹き出し 吐き気をもよおす。
堂上は手を振り払った。
「う…そ…。」
郁の顔は真っ青になった。

堂上は寮の自室に戻ると 備え付けの冷蔵庫から出したビールのプルタブを開けた。半分ほど中身を呷るとベッドに腰を下ろした。
『足を触られました』『スカートの中に手を入れられました』『全然たいしたことありません』
バカが。たいしたこと無い筈は無いだろう。囮とはいえ 触らせる事を許した訳ではないだろう。仕事だからと仕方なしに差し出したのだ。そして一番阿呆は俺だ。上官だからとそれを容認したのだ。何の権限がある。アイツを追い込むのはいつも俺だ。6年前も間違った背中を見せたことで こんな危険な世界に足を踏み込ませた。と、もう振り切った考えもが 改めて頭を擡げてくる。違う。アイツ自身が選んだ道だ。俺がどうこう言える事ではない。しかし―――。
まとまらない思考の渦に陥るのがノックの音で現実に戻った。戸を開けて覗いてきたのは半ダースのビールを提げた小牧だ。
「もう 始めてる?」
いつもの定位置に座ると遠慮なくつまみを広げた。
堂上は温くなった残りのビールを飲み干してから 滑るように床に座りなおした。新しい缶を手に取る。
「笠原さんのショックは大きそうだね。」
小牧もビールに口をつける。
「笠原には明日は1日内勤を割り当てたが…。正直どう対処すればいいのか分からん。心療内科か?。それで解決するのかどうか――。」
「笠原さんがそれを望むかな。彼女 自分は戦闘職種だからとか大女だからとか、ある意味自己認識出来てないしね。」
十分女の子なのに。
「毬江ちゃんが被害にあった時にさ、自分の非力さを思い知ったよ。男なんて所詮無力かと。」
小牧は空になった缶を弄ぶ。
袖を握る震える手。その震えを止めるのに自分が出来ることが分からない。何を最優先に考えるべきか。彼女が望んだことは――。

「はあ? ば、バカ言うな!。それは おまえと毬江ちゃんだから出来る技だろがっ。笠原にそんな相手がいるなら話は別だが 俺はまだ…。」
バッと口元を押さえるこの友人は 土壇場になるとポロリと溢す。普段なら一言揶揄する言葉でもかけるところだが、笠原さんの問題を考えれば言うべきでは無いだろう。めんどくさいことしてるから、とため息だけついておく。
「とにかくだ、一番は笠原さんの心の問題だ。時間は解決してくれるだけじゃない。かえって拗れる事だってある。彼女を苦しめたくないのはみんな同じだよ。よく考えてあげて、班長。」
小牧は缶をゴミ箱に放ると部屋を出ていった。

堂上はベッドを背もたれにして天井を仰ぐ。
自分を過信していた。小牧から初めて聞かされた時点では 自分には悪い反応はないんじゃないかと。何を根拠に と鼻で笑う。
郁の入隊当時には進んで嫌われる上官を選んだ。チビだ鬼教官だと、どうなじられようが平気だった。しかし あの怯えた目には――。拳を握って顔を覆う。
課業後 郁に日報を返す時、翌日業務を内勤にすると告げた。
「あたし、おかしいんですよね…。」
言葉の裏に『助けて』と聞こえた。

今も聞こえる。郁の声にならない心の叫びが。
12:09  |  図書戦  |  TB(0)  |  CM(1)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2013年02月22日(金) 10:42 |  | コメント編集

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