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2012'10.01 (Mon)

「病室にて」

台風は寝ている間に通過して行きました。風が強いなぁと感じる程度で、大きな影響はありませんでした。おかげ様で、天災には強い地域でありがたいです。
更新です。恋人初期。入院時。私は初々しい郁ちゃんが大好きです。それを忍耐強く紳士に振る舞う堂上さんが我が家の仕様です。


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「病室にて」


病室のドアの前で 深呼吸。この先には堂上がいる。郁は「よし」と 気合いを入れてノックをし、ドアを開けた。
「笠原、入ります。」
「固いわ、アホゥ。」
セリフに合わない甘い顔で迎えられた。
「あ、足、もういいんですね。」
吊されていた堂上の右足が、布団の中に収まっていた。郁はハニカミながらベッドの横に椅子を寄せて座った。
被弾の衝撃で受けた 筋肉や組織の損傷は多大であった。動脈まで傷つけていた為、致命傷となってもおかしくなかったが、今 こうして笑顔を向けてくれている。始めの内は 感染症や低体温からきた呼吸循環器系の発熱に苦しんでいたものの、持ち前の体力があるからであろう、幸い感染症も重篤にならず 順調に回復している。医者からも感心されるその回復力に 郁も安堵する。
見舞い時間は比較的夜間まで出来るので、課業後はせっせと顔を出すようにしている。せっかく想いが通じたのだ。なるべく近くに居たい。業務であった話、最近読んだ本の話。話題は尽きない。
が、ふと 会話が途切れる。見舞い時間にはまだ余裕があるとはいえ、暗くなって1人で帰すのは堂上がよしとしない。戦闘職種の大女ですよ――と言う郁に 「彼氏として心配だ」と堂々と言える様になった関係が、堂上は嬉しい。くるくると表情を変えながら話す郁をずっと見ていたいが、そろそろ帰る時間だ。
郁が急に顔を俯け、もじもじとし始めた。
「あの…、そろそろ 帰りますね?。」
ほんのり頬を赤く染めている。
堂上には分かっている。急に郁が大人しくなった理由を。
病室を出る間際にキスをする。それは暗黙の了解のように。帰る という事は、これからする行為を意識せざるを得ない。まだまだ慣れない郁は、期待と羞恥とが交ざり合い 挙動不審に陥る。
その様子に堂上は愛おしさが込み上げる。
「郁――。」
郁の手を取り引き寄せると、ベッドの上に座らせた。足が下りている分、今までより身体の向きを変えやすい堂上は、負傷していない足を曲げて郁に体を傾けた。これまで郁が腰を屈めてしていたキスとは違う。啄むようにした後、浅く舌を差し入れ ちゅっと下唇を吸い上げた。いつもと違うキスに郁の肩が跳ねたが、嫌がっていないことに堂上は安堵した。無理はしない。逃げられたらこの足だ。追いかけるのは不可能だから。
唇を放して するりと左手で頬を撫でると 郁が嬉しそうに目を細める。最後にもう一度触れるだけのキスを落とした。
名残惜しいのはお互いで、「また来ます。」
と郁は病室をあとにした。唇に温もりを残したまま。
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