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2013'03.13 (Wed)

「あなたに伝えたい」5(完)

ホッとした英香です。
無事 卒業式に出席出来ました\(^O^)/。
昨夜は39.5度まで上がり、諦めていたんですが、解熱剤を可能な限り飲み 朝には(無理やり?)解熱。調子も良さげで 出席を決めました。
先生は、証書だけ受け取って後は保健室でもとか 順番変えて最初に呼ぼうかとか提案してくれたのですが、何とか普通にOK。
終わってから「気持ち悪い」ってんで、さっさと帰ってシャワー浴びました。余韻には浸れませんでしたが、無事で良かったです。
はじめまして のクローバーさん。心配して頂きありがとうございました。世の中花粉症じゃない人の方が少ないかも(^^ゞですね。クローバーさんもお大事にお過ごし下さい。
さて、更新です。最終話は長くなる、です(*_*)。こんな感じになりました。ご感想いただけたら幸いです。

↓こちらから どうぞ

【More】

「あなたに伝えたい」5(完)


突然館内中に火災報知器の警報が響き渡った。
「何があったの!?」
「火事か!」
「煙が!」
バタバタと人が行き交う。
「利用者の誘導を!」
図書館員は防衛部の指示を受けて 迅速に利用者を館外に避難させた。佐藤は足の不自由な高齢者の介助をしつつ非常口に向かう。
『ロビー宅配荷物受取り場より催涙弾が発火!至急退避!』
館内放送が響く。佐藤は上着を老人に被せて漸く外に出る。ハンカチで鼻と口を塞いだが、露出した肌に刺激が刺さり 涙で前が見えない。待機していた防衛員から顔を洗うよう 用意されたバケツの水まで誘導された。
顔を洗っていると近くの防衛員が叫んだ。
「笠原が子供の救出に向かったぞ!防護服無しで無茶だ!」
佐藤が見た時は 郁が正面玄関をこじ開けて突入するところ。
「郁!待て!、郁!」
辺りを切り裂くような声が響いた。「誰かタオル寄越せ!」と怒鳴ると面食らった図書館員がタオルを渡し、堂上はそれをバケツの水で濡らすとそのまま後を追う。
「堂上!指揮権!」
小牧が叫ぶと
「小牧!後は頼む!」
と顔を覆いながら飛び込んで行った。
「なんだ?。今名前呼びしてなかったか?」
「あんな慌てた堂上二正 初めて見た。」
2人の交際を知らない防衛員たちは口々に囁いた。
「昔の堂上に戻ったみたいだな。」
佐藤の隣にいたベテラン防衛員だけがクスクス笑っていた。


郁と堂上によって 無事に子供が救出されたのは、事件発生から約1時間。防護服を待っていたらそれ以上に時間を要したであろう ということだった。
子供を守る為に全身濡れた堂上が 着替えと休憩に入るところを佐藤は追った。
郁は小牧の指示で 堂上に毛布を渡しに行く途中、見知らぬ男性に引き止められた。走り詰めていたのであろう、彼は汗だくだった。

「堂上二正!」
佐藤は堂上に叫んだ。
「どうしてあんな無茶をしたんですか!。笠原さんですね。笠原さんがあなたを危険なめに合わせるんですね!」
「…笠原は関係ないだろうが。」
「だって『らしく』ありません。」
堂上は佐藤を見た。
「俺らしくって何だ?。お前は俺の何を知ってるんだ?」
「堂上二正はいつも冷静で落ち着いていて…」
「そんなものは作り物だ。俺は元々こんなだぞ。郁に近い。」
身体ごと佐藤に向くと しっかり視線を合わせた。
「確かにアイツは無茶だし無謀だ。考え無しに反射で動くから目が離せん。しかし俺達にとってはフラッグシップだ。俺はアイツに引っ張られるがそれでいい結果が出ることもある。そしてそんな郁を抑える事も伸ばす事も俺なら出来ると思っている。公私ともにな。パートナーってそういうものじゃないか?」
佐藤はじっと聞いていた。
「佐藤、お前にもそんなパートナーが居るんじゃないのか?」
「そんな人――」
いない と続くところで声が聞こえた。
「佐藤!」
1人の男性が立っていた。隣には郁。
「…久保さん…。」
「無事か!?」
佐藤に近寄り怪我の有無を検分する。
「なんで ここに…。」
困惑する佐藤に郁が言う。
「事件を知って、第二図書館から心配で来たんですって。」
「職場放棄してしまったよ。」
眼鏡の奥で優しそうな目を細めた久保は、怪我の無い事に安堵の息を溢した。
「どうして私なんかを心配するの?。どうでもいいんじゃないの?。誰とでも寝てきた私なんか 汚ないと思ってるんでしょ。」
佐藤は久保を睨み付けた。
「汚ないだなんて思うものか。佐藤は綺麗だよ。見た目だけじゃない、心がね。」
「嘘。私はあなたに酷い事ばかりしたのに。じゃあ何で誘った時に抱いてくれなかったのよ!。私を好きじゃないからでしょっ。」
「好きだよ。君が優しい事を知っているから、仕事だっていつも一生懸命だって知っているから。」
佐藤はブンブンと頭を振る。
「嘘よ嘘!。じゃ 何で――」
「大事だからよ!」
叫んだのは郁だった。
「久保さんは貴方の事が、本当に大切で…だからいい加減にはしたくないって…。違いますか?」
久保に、そして堂上に伏し目がちに視線を送る。
「そうだよ。」
久保は郁ににっこり笑う。
「佐藤、お前 ご丁寧にも俺の名前を出して出鱈目なメールを彼に送っただろう。」
堂上の言葉に佐藤は ハッとして顔を上げた。
『彼氏が出来たからもう連絡しないで。相手は特殊部隊の堂上篤二等図書正。あなたに適うわけないわ』
「彼は飛んで来たぞ。佐藤を幸せに出来る男か確かめにな。そして今日もお前が無事か確かめに来た。どうしてか分かるだろ?」
久保は堂上に面会した時に話していた。
佐藤の勤務態度は真面目で、異動後も 仕事に慣れるべく時間を惜しんでは柴崎に教えを請うた。利用者への対応も評判がいい。それは柴崎からも聞いている。ただ、寂しがりやなのだ。直ぐに肌を重ねたがるのも その寂しさを埋めるが為。久保はずっと前から理解していた。だからこそ安易に抱こうとはしなかった。心を繋ぐ為に。本当に愛し合う為に。すれ違いは生じたが、それでも佐藤を愛し続けていたのだ。
「こんな私を大事にしてくれるの?」
佐藤の目から涙が零れた。

堂上と郁は その場を離れた。
「あ、…堂上教官、毛布です。風邪ひくからって…。」
郁の差し出した毛布を 堂上は片手で受け取った。が、郁はその端を握ったままだ。
「私も…大事に、教官に大切にしてもらっています。」
「ん。」
堂上の手が上がったまま躊躇して触れて来ない。
郁は目を閉じて続ける。
「触って。――あたし堂上教官にもっと触って欲しいんです。」
郁の主張に「お前なぁ。」と呟いた。
「あたし、恥ずかしかったんです。ホントはもっと触れて欲しいのにそんな事考えるなんて変だって。」
でも伝えなきゃ。
「教官はあたしを大事にし過ぎます。あたし、壊れたりしませんよ。大丈夫です、心配しすぎ――」
堂上はゆっくり郁の頭に触れて その手を後頭部にまわすと、徐々に郁を引き寄せた。ばさりと毛布を落としてきつく抱き締める。
堂上の濡れたワイシャツは冷たかったが構わない。
すると郁の耳元で堂上が囁いた。

知ってる。
この声。この言葉。

郁は弾かれたように堂上の顔を見た。
「なん…で…」
郁の目に涙が滲む。郁の心の底にしまわれていた大切なもの。いつだって郁の奥で支えてくれていたもの。
堂上は柔らかく微笑むと 唇を寄せた。長く 深く――。
昼間の庁舎の陰。月は出ていない。

夜更けの呼び出しも復活した。寮の周回コースをぶらぶら歩く。
「――ところで、だ。」
「何ですか?」
「俺はお前の合意が取れたと思ってるんだが。」
郁の足がぴたりと止まる。
「と、時と場所を選んでいただけたら!」
真っ赤になって訴える。
「選ぶに決まってるだろが! お前は俺を何だと思ってるんだ!」
本気の拳骨が落ちた。
「あ、あの…。おでこのかぶれが綺麗に消えてからお願いします…。」
スキンケアはしたが 催涙ガスの影響は少なからずある。出来れば初めては綺麗でありたい。
「善処する。俺はそのままの郁がいい。いつもの郁が欲しい。あんまり緊張してくれるなよ。」
「はい…。」
優しく 激しいキスが戻ってきた。
だから いつも過ぎた初めてで やらかしてしまうのは、郁だけの責任ではないらしい。
13:52  |  図書戦  |  TB(0)  |  CM(1)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2013年09月12日(木) 14:34 |  | コメント編集

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