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2013'03.24 (Sun)

「読み聞かせて」(リク4)

車のナビと相性の悪い英香です。
部活の車出し。初めての場所なので前日に地図で確認。当日ナビをセットしてGO!。
割と分かりやすい場所なのでスムーズにいきました。で、いざ目的地の近くになったら 私の予想と違う路を指示されて頭は真っ白。え?え?と つい指示された路を曲がって 次のタイミングで曲がりきれずに直進したら……。切り返し出来る道でもなく、遠退くばかり。ま、道は繋がっていますのでたどりつけはしましたが、毎度道に迷う母ちゃんに娘は呆れ顔でした。ナビに頼ってばかりはいけません、よね(^^ゞ。
更新です。リクエスト内容は最後に。あら、題名でバレバレですねっ。スミマセン。王子様発覚後です。

↓こちらから どうぞ

【More】

「読み聞かせて」(リク4)


館内警備で堂上と郁は巡回していた。
「休日の割にいつもより利用者が少ないな。」
堂上がぐるりと見渡して言った。
「今日は公園の方でイベントやってるそうですよ。天気もいいですし そちらに集まってるんでしょうね。」
郁はガラス越しに高くなった青空を見ながら答えた。徐々にだが秋が深まってきた。

閲覧室にさしかかった時、後ろから軽い足音がパタパタと聞こえた。2人が振り向くと男の子が1人駆け寄って来るところだった。
「堂上先生!」
彼はこの春1年生に上がった図書館常連の男の子。昨年堂上が図書窃盗犯を確保した場面に遭遇し、その見事な姿に憧れ心酔しているのだ。初めどこで覚えたか「師匠」呼ばわりだったのを、何とか訂正して彼なりに納得のいく「堂上先生」に落ち着いたのだ。
「やあ、啓太くん。」
堂上は膝を折って啓太と視線を合わせて挨拶する。
「いい本が見付かったか?」
小さく頷く啓太に後ろから別の男の子達が声をかけた。
「へっ、こいつ変なんだぜ。男のくせに女が読む本ばっかり借りていくんだもんな。」
「そうそう、それに跳び箱だって跳べないし 弱っちいヤツだ。」
いかにも元気です というような男の子2人は 啓太と同級生らしい。比べて啓太は身体も小さく おとなしくて気持ちの優しい子だ。図書のイベントでも騒ぐ集団から一歩引いて 母親からあまり離れない様子を見せていた。
「ほら、こいつの持ってる本。くまさんだぜ。お花畑にくまさんなんて笑っちゃうよ。」
ゲラゲラ笑われて 啓太は真っ赤になって持っていた絵本を後ろに隠して俯いてしまった。
「ちょっと、笑うことないでしょ!。啓太君が何を読もうが自由じゃない。」
郁は腰に手をあてて嗜めた。
「郁ちゃんだって強くてカッコいい男の方がいいだろ?」
「そ、そんなことないよ。優しい人も素敵だよ。」
「強くなければ弱いんだよ。」
ぶんと拳を振り回す。そんな子供と郁のやりとりを見ていた堂上は、啓太の後ろから絵本を引き抜くとパラパラめくった。
「このくまは強いんだぞ。」
堂上の言葉に「えー」と声を上げる。
「だってそれ、幼稚園ん時ここでお姉さんに読んでもらったけど、全然戦わないよ。」
主人公の心優しいくまが 仲間達とお花畑をつくるという話だ。途中山を開発する人間も出てくる。
「そうか? じゃあ…」
堂上は児童室で胡坐をかくと 啓太を横に座らせ絵本を広げて読み出した。バカにしていた男の子達も仕方ない様子で覗き込む。
郁は目を丸くした。え?教官の読み聞かせですか?絵本ですか?くまさんですよ――似合わない。意外な組合わせに唖然としながら見学する事にした。
読み始めたところで イベント帰りらしい女の子の集団もやって来た。わらわらと集まって 小さな読み聞かせ会の形になる。
堂上の低くて張りのある声は 女性館員のそれとは違う。強調する言葉や間も意図的で いつの間にか男の子達が引き込まれているのが分かった。その見事な手法に郁は聞き惚れた。
「これは珍しい。」
郁の横から小牧が顔を出した。
「やっぱりそうですよね。教官が絵本だなんて。」
「はは、そうでもないよ。」
郁はキョトンとして小牧を見上げた。
「あの査問の間、部屋に籠もって何してるかと思ったら 童話を読んでたんだよ。絵本まで手をのばしてたから 案外アイツ詳しいんだよね。」
査問と童話といえば…。郁は改めて堂上の声に聴き入った。査問で苦しんでいた時、どんな心情で読んでいたんだろう。

絵本が閉じられると拍手があがる。堂上は顔をあげて 先ほどまで啓太をバカにしていた男の子に言った。
「このくまみたいに 花畑を守れるか?。仲間を守れるか?。このくまを弱虫と思うか?」
みんなはブンブンと首を振った。
「すっげー強い!」
「カッコいい!」
ニコニコ顔を見合せて興奮気味に啓太に駆け寄った。じゃれあう3人の男の子を見る堂上の目は優しい。
「この本はシリーズになってるから 続きを読むのもお薦めだな。」
「あ、借りたい。啓太、教えろよ。」
絵本コーナーに移動する。「ただ絵が可愛過ぎるんだよな~。」と話しながら。啓太も嬉しそうに案内した。

「読み方で随分違うもんですね。」
郁は堂上の隣に立った。
「あんまり誘導するものではないけどな、今日は特別だ。」
啓太は堂上が犯人を投げ飛ばす強さに憧れた。でも強さはそれだけではない事も知っている子だ。
郁はそっと堂上の横顔を見た。強いだけではないこの男を 改めて好きだと思う。まだまだ教わる事がある。
「教官の読み聞かせ、初めて聞きました。」
「どうせガラじゃないと思ってるよ。」
照れたように赤くなってギロリと睨む。
「昔は苦手だったよね。つっかえつっかえだったり 睨んで子供泣かせたり。でも不思議と子供が寄って来るのさ。」
くまさんは専門だしね、と小牧がにっこり笑うと 仏頂面を張り付けた堂上はさっさと児童室を後にした。
「誰かさんのお陰でこの分野も詳しくなったみたいだよ。」
小牧がこそっと郁に耳打ちした。

その頃手塚は――柴崎の指示で荷物の移動にかり出されていた。堂上の読み聞かせを参考にするチャンスを見逃したのは 後々後悔することになる。


=========


リクエストは まりもさんの「読み聞かせをする堂上教官と惚れなおす郁ちゃん」でした。
レアな堂上さんの読み聞かせですが、どうにも恥ずかしくて何げに直接表記出来ずなんですが(;^_^A。こんな感じになりましたが、まりもさん、リクエストありがとうございましたo(^-^)o。
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