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2013'04.25 (Thu)

「憂鬱な時を」2

またまたパソコンが分からない英香です。
パソコンでこのブログのINDEXを見てみました。
……各連載の2以降は読めなくなってますか?Σ( ̄□ ̄;)。
カーソル合わせてクリックすると 黄色い吹き出しの!ってのが出て、別窓が開かないみたいな。あれ?前は開けてたような?。携帯からは普通に開くんだけど。パソコンからの方、連載読めますか?。それともうちのパソコンが変?。
お暇な方、開くかどうか教えて頂けると有難いです。…対処の仕方が自分に分かるかな?。ちょっと頑張ってみます。
更新です。続き。珍しく心情なんて書いちゃったから あまり進みませんでした。もちょっと長くして先を進めるべき?。ま、この辺が我が家並みということで。

↓こちらから どうぞ

【More】

「憂鬱な時を」2


午後は何事もなく業務が終わった。
小牧・手塚は帰寮し、郁も遅ればせながら日報を仕上げて提出する。
堂上のチェックを待ちながら 落ち着きなく視線をうろうろさせた。
「何だ。」
「い、いえ…別に。」
ん、と判を捺された日報を受け取り 帰る準備をする。
「久しぶりだな、残業のないのは。」
堂上も机の整頓をして椅子を片した。
――一緒に帰れるんだ と思うと、緊張しつつも嬉しかった。
庁舎を出て寮までの路。気になるのは食堂でのやり取りの先。結局その合コンには行くんだろうか。返事をしたんだろうか。
訊きたいことは山ほどあるのに 無言で並んで歩く。人一人分のこの距離が郁には遠い。
「た、隊長の具合はどうなんでしょうかね。」
無難な話題はそんなところ。
「気力体力共に怪物並みだからな。リハビリ始まるまで大人しくベッドに括り付けられればいいんだか…。」
大きなため息は 無理な話だと認識しているから出るのだろう。
「ところでお前は――夜とか眠れているのか?」
途中 躊躇しながら郁に確認を取る。県展後は時折声をかけてくれる。「大丈夫ですよ。」としか郁が返さない事も承知していながら。
今でも人を撃った感触は拭えない。血塗られた手の幻影に飛び起きる事もある。しかしあの時支えてくれた堂上の逞しい腕の温もりに救われた。この想いがあれば乗り越えられる。
「大丈夫です…けど…。」
「けど?」
この想いの行き場が無くなるかもしれない。まるで銃を突き付けられているような恐怖。好きでいられるだけでいいなんて言っていられない。この人の隣に誰かが立つのかと思うと胸が張り裂けそうだ。
明日なんて来なければいいのに。
「笠原 お腹空き過ぎて眠れそうにありません。」
「…よく食うよな。」
呆れたセリフに苦笑をのせて 堂上はペシリと郁の頭を軽く叩いた。
お疲れ と男子寮に入っていく堂上の後ろ姿を目で追った。眠らなければ明日にならなくてすむだろうか。
実際は眠れなくても翌日はやって来るのだが。


堂上は部屋に入り電気をつける。部屋着に着替えてボスンとベッドに腰掛けた。夕食は――何だか出かける気分ではなく、買い置きのカップラーメンでもいいか と仰向けに寝転びながらぼんやり思った。
大規模抗争を経験した郁は大きく成長した。細かな観察力で咄嗟に敵の居場所も突き止められ 冷静な判断力も身に付けた。身を守る為 本を守る為とはいえ、初めて人に銃を向け引き金を引いたという現実に動揺は隠せないが、特殊部隊隊員としての覚悟を見せられた。未だ脊髄で動くのはフォローすればいい。あいつの思考パターンは昔の自分に似ているのだから。
あの時の少女にこのような仕事をさせる為に出会ったわけではない。
しかし成長した郁は共に戦い 同じ光景を見たいと宣言するのだ。厳しい訓練に耐えて郁自身が選択した道が自分と重なるのなら――。
「俺も決めた。」
郁に先を越された感があるが、もう迷うつもりは無い。
軽い食事と風呂を済ませ、やってきた小牧と久しぶりに部屋飲みをしていると、ノックに続いて顔を出したのは木村だった。
「来たな。」
堂上の眉間の皺は3割増しだ。
「そんな顔すんなって。」
木村は持参したビールのプルタブを開けながら小牧の向かいに腰を下ろした。
「明日の夜 現地に一八三〇。可愛い子揃えてくれたらしいから絶対来いよ。」
堂上はビールを飲み干し 新しい缶を引き寄せた。
「俺の事は放っとけ。お前らだけでヨロシクやってくればいい。」
「まあまあ そう言うなよ。お前の事情は知ってるさ。でも向こうの上官にも頼まれたしな、俺にも事情があるって訳。会ってみるだけでいいからさ、損はないぜ。」
木村はアーモンドをひょいと口に入れる。
「ちんたらやってるお前が悪い。この際他にも目を向けてみたらどうだ?。どう転ぼうが構わないさ。俺たちゃチャンスをものにしたいだけだかんな。武田さんなんかスーツ新調するんだって課業後すっ飛んで店に直行したらしいぞ。断ったらマジで暴れるぜ、あの人。」
しれっと言う木村を睨んで堂上は大きなため息をついた。
「ったく、面倒な事を…。分かったから帰れ帰れ。」
堂上は不貞腐れてベッドに寝転んだ。
ついでに追い払われた小牧は廊下で木村に問いかけた。
「…何か企んでる?」
「まさか。純粋なる合コンのお誘いさ。」
「めんどくさい2人が更にめんどくさくなるのは見過ごせないんだけど。」
漸く堂上の気持ちが固まったのを感じている小牧にしたら 今他人が首を突っ込むのは得策ではないと思っている。
「言いたい事は分かるさ。でも知ってるだろ?。笠原だってこの前の囮捜査以来人気は急上昇。若い奴らなんて黙っちゃいないさ。お互いキープされてちゃ こっちだってやってらんないね。あの事を知らない奴らだって多いんだ。この程度で壊れるもんならそれまでって事だしな。違うか?」
にやりと小牧を見る木村に笑顔で返す。あの事とは当然堂上と郁を繋げた茨城での見計らいの事。しっかり箝口令を守るならば知らない振りをする。2人の応援なんてする必要はない。
「そうだな。」
可愛い部下を泣かすなよ。小牧は親友の部屋のドアに視線を送った。

明日の夜は波乱に見舞われるのか。今夜は静かに更けていった。

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