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2013'05.17 (Fri)

「新しい構想」

暑い日でした。
チビは村内の公園まで遠足。昨日の夜帰宅したので確認しなかったのですが、弁当用に買ってあったものがない…。そりゃ冷蔵庫に入ってるのは見付けりゃ食べるわな。プチトマトとかキャラクターのカマボコとかで誤魔化すつもりだったのに、全体に茶色い弁当の出来上がり。ま、男の子なのでうるさく言わないのが助かります。
えと、先に更新します。コメントお礼は明日に。
バタバタした中で萌えられる状況でもないはずが、堂郁に支えられてるのも事実。ブログやってて良かった、と個人的に救われています。現実逃避にもってこいヽ(´▽`)/?。
ちょっと何が書きたかったか微妙です。何回かに分けて書いたので迷走しています(^^ゞが、徐々に軌道修正していこうと思ってる経過ですのよってことで。最後はくすりと笑って下さい。意図、分かりますか(^m^)。
上官・部下の革命中、稲嶺邸脱出ごです。

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【More】

「新しい構想」


稲嶺邸から基地まで無事良化特務機関から逃走した当麻は 寮の客室で執筆を再開した。何せ隣は図書館だ。豊富な資料を自由に使える。
持ち込んだ端末で蔵書を検索して 警護する隊員が秘書代わりに取りにいく。これはこれで本人は快適に仕事をこなしていた。書いている間は幸せだ。
しかし ふと現状を思い出す。
デビューした頃はまだ良化法は成立していなかった。しかし既に単語レベルの自主規制が当たり前になっており、自由に書けていたとは言えなかった。本当に書きたかったものとはなんだろう。保身の為に書かなかったものが沢山ある。多岐に渡る思想があって然るべきなのに 言葉を規制して何が遺せるのだろう。
稲嶺邸に身を潜め 稲嶺と語らい、図書隊の理念を深く考え その働きを間近に見ることで、自分の中で何かが変わってきている。守ってもらうばかりではいけない、自分も一緒に作家として闘うことを覚悟していた。

今日の当麻の警護は堂上と郁だった。保護の開示後は防衛部でも警護を担当するようになったが、中心となるのはやはり特殊部隊だ。
「先日の逃走劇はスリリングでした。まさか作中の人物のような事を自分が体験するとは思っていませんでしたが。」
お茶を淹れて入ってきた郁に笑いかける。あの稲嶺邸からの脱出を得難い経験ととらえられる肝の座り具合は郁には意外だった。
郁は初見では フツーのおじさんだなあと思った程度だったが、警護で接するうちに 作家にありがちな気難しさも差程ない当麻が好きになった。作風よりも少々気弱そうに見えていたが、このところ顔つきが変わってきたようだ。痩せた、とも言えるが。
「いえ、手荒な事をしました。私もびっくりな作戦で どうなるかと思いましたよ。」
一般人にはかなりストレスがかかっただろうなあ、と思う。
「お互い閉所恐怖症ですからね。」
当麻の言葉で思い出されたのは あのコンテナに乗り込んだ車の中の出来事。
堂上に握られた右手。そしてつい絡めてしまった指。
1人ボッと赤くなる顔を自覚した。
「先生、頼まれていらした資料です。」
ノックの後に入って来たのは堂上だ。
「――おまえ、先生の邪魔するんじゃないぞ。」
クッと眉をひそめて郁に目配せした。
「いえいえ、笠原さんに話し相手になってもらった方が適度に気が紛れていいんですよ。かえっていいアイディアが浮かびます。」
堂上からファイリングされた資料を受け取ると机の上に置いた。
「歴史…ですか?」
ちらりと見えた項目に 郁は赤らめた顔を抑える為にもあえて声を出した。当麻は緻密な謀略物の作品が多い。企業や官僚等の世界を背景にした現代が舞台である物語が有名だ。
「あくまで資料、なんですがね。いろんな戦いの歴史を知るのもいいんですよ。ここでは検閲に引っ掛かるような資料が閲覧出来るので便利に使わせてもらってますよ。」
当麻の横に積みあがっている本はジャンルもバラバラだ。しかし時代背景を変えて執筆途中だった小説を手直ししているらしい。構想を練るのに知識の吸収は検閲されませんからね、と苦笑いだ。
「先生の新作、楽しみです。 私達も闘いますから大丈夫ですよ。」
郁はドンと胸を叩く。
「だからぺーぺーが大口たたくな。」
堂上の一言に郁がぺろりと舌を出す。
そんな2人を見ながら当麻は呟いた。
「ああ、知力・武術に長けた武将に、闘う姫―――いいかもしれませんね。」
聞き取れなかった郁が首を傾げる。
「笠原さんを見てると、キャラ読み出来る登場人物が浮かびますよ。」
当麻がにこりとすると郁は照れた。
「わあ、モデルにしてもらえるかも。」
「先生は喜劇でもお書きになるおつもりですか。」
ひどーいとむくれる郁に当麻は笑った。

「では隣に控えていますので 何かありましたら声をかけて下さい。」
堂上と郁は退室して警備に戻った。
様子を探りながらだが、基本場所を変えただけの事務仕事。ただ狭い部屋に2人きり、というシチュエーションに意識するなといわれても所詮無理なもの。
マウスを動かす堂上の手に目がいった。
絡めた指の感触が思い起こされる。
あの手のぬくもりに救われてきた。7年たっても、茨城で検閲に遭ったあの日の、軽く叩かれた手の感触は忘れられない。ことある毎に差し伸べられてきた堂上の手を ただの上官の手に思えなくなっている。拳骨や平手打ちは痛かったけど、触れたい 触れてほしいと願ってしまうのは、このところの堂上の態度に問題があるのだ――と八つ当たりしたくなる。どうせ気のせいだし、一方的なもんなんだけどさっと伸びをした。
「なんだ、百面相か?。赤くなったり不貞腐れたり。」
突然かけられた堂上の声に「ひゃっ」と意識を引き戻された。
「あ あたし声に…。」
「出してなかったが かなり面白かったぞ。暇そうだからこれをやる。」
新しいデータを渡されて郁はげんなりだ。
事務室に顔を出してくる
という堂上が、すれ違い様当たり前のように郁の頭に手を乗せた。
「――今更ですけど教官って、頭撫でたりするの 癖ですよね。」
堂上の手の下から上目遣いでぼそりと呟く。
「嫌 だったか…。」
頭から離れようとする手を郁の手が追う。
「この手があるから頑張れます。ちゃんと褒めて下さいね。」
以前に比べて躊躇なく触れ合えるのは お互いの意識の変化か。
「入力ミスが無ければな。」
くしゃりと掻き混ぜて軽く叩いた。
廊下に出ると呟いた。
「闘う姫か。」
不思議と付き纏う『姫』の呼称。所謂普通の姫ではないなと苦笑する。
頭に乗せる、手を繋ぐ、指を絡める―引き寄せる。大概堪えられなくなっている自覚もある。闘う姫なら共にいられるか。扉の向こうの姫に想いを馳せた。

当麻の指がキーを滑るようにたたく。戦国の世で互いに支え合って生き抜く2人を。思想を守って闘う2人を。時代に埋もれた人物にヒーロー像が重なった。
数年後 大河ドラマになる物語が、ここから紡ぎだされる。
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