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2013'05.26 (Sun)

「支え 番外編」1

映画、5月いっぱいの公開ってところが多そうですかね。その後は規模を縮小しての公開って…。近くの映画館は わりかし閑散としてたので延長はないかなあ。でも「たまらない」をもう1度大画面で観ておきたいような――レディースDAYかなあ。
早くDVDを。初回限定版は何が付くんだろう(m'□'m)、なんて先走って期待してしまう。
更新です。超捏造。あ、書いてありませんでしたがオリキャラ有りです。「番外編」っていうには違和感?「補足編」?

↓こちらから どうぞ


【More】

「支え」番外編1


堂上と郁はお墓参りに来ていた。
お寺の門をくぐり本堂に手を合わせると 右手に回り堂上は迷うことなく奥に進む。
「来たよ。英司さん。」
『堀田家』とある墓石の前で立ち止まると 水を汲んだ桶を足元に置いた。
手入れの行き届いた墓だ。軽く周りの掃除をした後 郁が献花する。持って来た線香に火をつけ供えると 2人揃って手を合わせた。
「俺 結婚するよ。」
一言報告する。
「笠原郁です。不束者ですが宜しくお願いします。」
そう下げた郁の頭に、堂上は手を弾ませて微笑んだ。
堀田の実家は都内の外れにある。電車を乗り継いで降りた駅はのんびりした雰囲気だった。お寺は住宅街の中にこじんまりと門を構えてはいるが 中に入ると広い墓地が広がっていた。
堂上は暫く墓石に向かっていた。何か語り掛けているのであろう。郁も寄り添い静かに待った。
「英司さんはお前に会いたがってたよ。まあ、俺自身まさか再会するとは思ってなかったからな、半分からかいなんだが…。」
「からかい?」
「ん、いや まあ、漸く連れて来られてよかったよ。」
少々すれ違いもあったが無事に婚約までこぎつけた。今回は郁たっての提案で 堀田に婚約の報告にやってきたのだ。
英司の七回忌を終えて再婚した久美子は引っ越したが、連絡して堀田の実家で落ち合うことになっている。約束の時間まで昼食がてら店に寄ることにした。

「図書大の先輩後輩といっても3つ離れてるんですよね。あんまり接点って無くないですか?」
蕎麦屋に入って注文すると 郁は堂上に訊いてみた。
「まあな、きっかけは――下着ドロだったんだよ…。」
「下着ドロ!?」
大声をあげた郁を堂上は慌てて制し、郁は肩を竦めて先を促した。
「俺が1年で英司さんが4年の夏に たまたま女子寮に出没してた下着ドロに出くわしたんだよ。」
「なんでたまたま出くわすんですかっ。」
「俺はコンビニ帰り、英司さんは飲み会帰り。他意はない。」

ベランダに怪しい影を見付けた英司が追いかけた先に堂上がいて、協力して捕まえたのだという。お互い初顔合わせだったとは思えないコンビネーションに、以来英司の方から声をかけてくるようになったらしい。
英司が卒業しても図書大と図書隊の交流自体もあったし、OJTで顔も合わす。特に無茶をやらかす堂上は話題提供も多い。鼻っ柱の強い堂上をうまく手懐ける度量が英司にあったといえる。
堂上の方も「兄がいたらこんな感じか」と懐いていった。酒も教え込まれた。
堂上が入隊した年に 英司は長年付き合っていた久美子と結婚し、その秋に堂上が研修中に見計らいを勝手に行使し査問にかけられた。
『良化隊員に抵抗した女子高生を助けた。』
文面だけ見ればごく当たり前の行動だ。しかしその規則違反が図書隊原則派全体の立場を危うくし、糾弾される日々を送る事になった。
寮でも食堂でも居場所はなく まいっている時でも変わらず接してくれたのは堀田夫婦だ。
「そこで助けなかったら堂上じゃないだろう!」
官舎に呼んで食事をさせ 励ましてもくれた。
「但し そこで連絡先の交換はすべきだろうが!」
とのダメ出しも怠らない。
可愛かったんだろう、一目惚れか等 事ある毎に冷やかされはしたが、寮での小牧との出逢いを含め この期間を支えてもらったのは事実。

元々特殊部隊志望の英司は優秀であり、見事部隊入りを果たしていた。追って図書大最後の2トップだった堂上と小牧も特殊部隊に入り 公私ともに密に接していた。
そんな中、第一図書館で良化特務機関と衝突が起こり 抗争となったのだ。
今でも堂上の耳に残る。
「堀田二正 被弾!!」
まさか もう英司が戻らぬ人となるとは思ってもみなかった。

「抗争が終結して俺が病院に駆け付けた時にはもう…。久美子さんのお腹には愛ちゃんがいて、英司さんもそりゃあ楽しみにしてたんだ。」
注文していた天麩羅蕎麦が運ばれてきた。
「俺達の職種はいつも死と隣り合わせだ。頭では分かってるつもりだった。でも――。」

当然のようにやってくる未来は閉ざされた。本来なら今頃「お帰りなさい。」と温かく迎えられている筈だった。
目の前で悲しみに打ち拉がれる久美子にどうしてやる事も出来ない自分が悔しかった。ただ立ちすくみ 忙しく処置する病院職員の邪魔にならないよう、廊下の隅に移動しただけ。玄田隊長の悲痛な顔を どこか別の世界から覗いている感覚があった。

故人の時間が止まっても 明日という日はやってくる。
振り向いても見上げても 英司の姿はもうない。
堂上は査問以降 切り捨ててきた自分を、更に厳しく律して生きていくと誓った。気丈にも自らの足で立つ久美子の腕には 英司との子『愛』がいる。愛する者を残した者と 残された者。守る為に戦う意味を教えてくれ と英司に問うた。

堂上は、汁を吸って柔らかくなった天麩羅の衣を崩して あの頃に思いを巡らした。
目の前には堂上の愛する者がいる。自分の中に答えは出ていた。

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