All archives    Admin

07月≪ 2020年08月 ≫09月

12345678910111213141516171819202122232425262728293031

2013'05.29 (Wed)

「支え 番外編」2(完)

今日は涼しかったです。こんな日は草刈りに最適――なんですが ついさぼってしまいました。
犬の毛が生え変わる時期です。ブラッシングすると子犬が産まれたくらいの量の毛の山が。いっそ羊の様に丸刈りにしたい…。
さて、なんかうまく纏められず消化不良。本編をいじったつけが回った気がする。計画変更はするものではない との教訓ですか。でもいつか書きたいと思っていた話だったので、書けてよかったです。
更新です。これで完了のつもり。

↓こちらから どうぞ

(と、下書きのまま放置してたら日付変わっちゃいました。ショック。もう少し早く確認するんだった(T_T)。忘れてた。)
改めて
↓こちらから どうぞ


【More】

「支え 番外編」2(完)


住宅街の一角、少しかしこまった家屋が堀田の実家だ。
チャイムを鳴らすと 久美子と愛が出迎えてくれた。小学校に通う愛は随分活発になった。久しぶりに会う堂上達に臆することなく
笑顔を振りまくのは、幸せな生活を送っている証拠だろう。
「よく来てくださったわね。この度はご婚約おめでとうございます。」
久美子がお茶をいれてテーブルに促した。
「ありがとうございます。」
仏壇にお供え物をした堂上と郁は久美子に改めて挨拶と報告をした。
「英司さんもね、あの時の女の子にとっても会いたがっていたから きっと喜んでると思うわ。『だから言っただろ』ってね。」

当時 査問後の堂上の様子を見て堀田夫婦は堂上の中で何かが変わったと感じたらしい。
確かにそれ迄の短絡的かつ軽率な言葉や行動はなくなった。冷静に物事を考え対処する、一図書隊員として優秀な人材へ。元々図書大最後の代の卒業生で次席だ。更なる成長ととるべきであろう。
しかし英司は少々残念がっていたという。
「つまらないよ。」
夫婦2人での会話の中で ぽつりと呟く英司の横顔は、どことなく寂しげだったのだ。
堂上が切り捨てたものの中に本来の堂上がいた。切り捨てたと思っていても 押さえ込んでいるだけのものもある。
「キーポイントは茨城の女子高生だろうな。」
そう語る英司は楽しそうだったと久美子は記憶している。
体は小さいが、訓練を積み上げ身体も出来、精神的にも成長した堂上に敵無し、に見えても突けばポロリと出る昔の影。そこが楽しくて弄りたくもなるのが 大人のガキの集団・特殊部隊なのかもしれない。

堂上は、毎年命日になると手を合わせに来てくれた。その彼女が堂上を追いかけて入隊してきたと報告しに来たのは4年以上前か。当初困惑気味だったが、次第に解されていくのが目に見えて分かった。頑なだった蓋が外されるまで もどかしかったがそれも必然だったのだろう。堂上が彼女を見つめる目は 逝ってしまった英司の目と同じ。
堂上の顔を覚えていなかったとか、錬成訓練では堂上にドロップキックをお見舞いしたとか どんな笑い話かと面食らったが、そんな報告をする堂上に『色が戻ってきた』と久美子は感じたのだ。
久美子が初めて会った郁は、一途に堂上を追いかけて来ただけあって 真っ直ぐ前を向く女性だった。

今堂上は庭に出て、愛が遊んでいるのを眺めている。テーブルに残った郁に久美子は話し掛けた。
「堂上君のことだから、どうせ私達に支えられてきたって言ってるんでしょ?」
「はい、尊敬する先輩夫婦だったって。辛い時に寄り添って貰えたって。」
私も会いたかったな、と遺影を見つめる。
「ふふ、本当に彼を支えてたのは別の人よ。」
「え?、他にもいるんですか?」
久美子は頬杖ついて郁に微笑む。
「『反省はしてるけど後悔はしていない。』堂上君はどんなに責められようが揺るがなかったの。彼の魂に貴女の姿が焼き付いたのね。英司さんが言ってた。アイツが立っていられるのは 本を守ろうと懸命に行動した彼女に恥じない自分でいる為だろうって。」
私達はそのお手伝いをしただけ、と久美子は目を細めた。
「出会った時から彼を支えているのは 郁さん、貴女よ。」
「そんな…私の方が支えてもらってばかりで――。」郁は熱くなった頬を両手で包んだ。
「あら、お互いを支えあってこそのパートナーよ。そこは自信を持たなきゃ。貴方を得て、益々強くなるわ。本腰入れた堂上君をしっかり受け止めなきゃダメよ。」
綺麗なウインクを決めて久美子は笑う。

玄関のチャイムが鳴った。
「お父さんだ!」
仕事で遅れて来ると聞いていた。愛は玄関に迎えに走った。
庭から戻った堂上が眉をしかめる。
「楽しそうだな。いらん事は聞かなくていいぞ。」
昔のやんちゃ話でも久美子が聞かせていると思ったのだろう。
「それは追々教えて貰いますね。」
郁はクスクス笑った。
久美子より年下だという再婚相手は愛に慈しんで接しているのがよくわかった。暫く一緒に過ごして堂上と郁は堀田家を後にした。

「幸せそうですね。」
「ああ、英司さんも安心だろ。」
堂上は郁の手を取って歩く。
「郁。」
握った手に力をこめた。
「俺達は お互いいつ何が起きるか分からない。だが――俺はおまえの手を離すつもりはない。」
「あたしもです。」
ぴたりと止まって向き合った。
「この手を離すな。全力で着いてこい。郁がいる限り俺は前を向いていられる。」
「はい。」
失う事を恐れていては何も得られないのだから。
「取り敢えず 朝帰りは決定だ。」
「は?」
脈絡のないセリフに郁の目は点になる。
「いかん、スイッチが入った。このまま寮には戻れん。」
ちょっとちょっとと狼狽える郁の手を引いて堂上は歩きだす。

精々守る為に闘うさ。この手に入れる事が守る事。迷う理由はないのだから。
墓前に誓った事は実践するのみ。2人で生きると――。
00:21  |  図書戦  |  TB(0)  |  CM(3)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
 | 2013年05月29日(水) 01:56 |  | コメント編集

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
 | 2013年05月29日(水) 18:32 |  | コメント編集

感動です

感動して、ドキドキしています。
祈りの儀式と、このお話は、参りました。
こんなに心を揺さぶられるなんて。
二人の絆の強さ、物語に流れる崇高な空気、うまく言葉にできないですが、泣きそうです。
常上にとって、郁がどれほど大きい存在であったかを、第三者の言葉からこれほど深く感じとれた作品は初めてです。

くまちょこ | 2013年06月27日(木) 23:59 | URL | コメント編集

コメントを投稿する


 管理者だけに表示  (非公開コメント投稿可能)

▲PageTop

Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://746754.blog.fc2.com/tb.php/268-bd4d6d30
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | BLOGTOP |