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2013'06.07 (Fri)

「待つ」(リク9)

こんにちは。
今日は主人の伯父夫婦の病院に付き添っていた英香です。2人世帯なので嫁さんの代行です。
80歳超のご夫婦ですが、とっても仲が良いんですよ。憧れます。
更新です。早速のリクエストです。ありがとうございます。
リク内容は後ろに。
あと、敢えて前回も表記していませんでしたが。こんなの貰っても困るでしょうが、一応リクエストSSはリク主さんにお贈りします(・_・|。ありがとうの気持ちが伝わればいいな、と思います。

↓こちらから どうぞ


【More】

「待つ」(リク9)


意識が浮上する。
暗い虚無の世界から 何かに引き起こされる様に。

機械的に瞼が開くと目に差し込むのは ただの白。音も色もない只の空間。眩しさにくらみ、焦点を合わせるのにゆっくり2・3度瞬きをする。
その間に流れ込んでくるのは 激しい雨の光景と当麻の顔――そして。
反射的に起き上がろうとするが 身体が鉛のようでいうことをきかない。肩を押される力を感じてその先を見れば 白衣を纏った知らない女性。
違う。
バタバタと 足音や戸を開ける音に周りを見渡せば、ここは…病院らしい。白い天井とカーテンに区切られた空間に機材が並び、自分に繋がれている。
生きている。
まだ朦朧とした意識を総動員すると、辛うじて指先だけが動いた。
処置の為か 医師や看護師らが忙しなく動いていたが、やがて見知った顔が近付いてきた。
「お帰り、堂上。」
怒ったような 安堵したような複雑な顔をした小牧だ。久しぶりなその顔は 心配かけた顔。
「ここは新宿の救急病院。右大腿部貫通銃創で手術は成功。失血と低体温で肺炎を心配してるところだ。安静にしてろよ。」
小牧は必要事項だけ端的に知らせてくれる。しかし それ以上に知りたい情報がある。嫌な汗が吹き出した。
「笠原さんなら無事だよ。当麻先生の英国総領事館駆け込みも達成された。任務完了してこっちに向かってる。安心して休んでろよ。」
――そうか。やったか。
別れ際の郁の顔が脳裏に浮かぶ。
――早く此処へ来い。無事な姿を見せろ。よくやったと言ってやりたい。それからだ。
堂上は再び目を閉じた。


病室の戸をノックする音がした。
「はい。」
堂上の返事に入ってきたのは小牧だ。
「やあ、大分顔色戻ってきたね。熱は。」
紙袋を下げた小牧が入ってきた。
「…だいぶ下がった。」
小牧が身の回りの物を手際よく整理する。何度となく病院に世話になる友人を持った彼はそつがない。
堂上が小牧の後ろの空間に視線を遣るのを見て、クスリと笑う。
「残念ながら俺1人だよ。笠原さんは呼び出し受けたりしてまだ報告書に埋もれてるよ。ま、大体片付いたんだけど。」
「べ、別に。事後処理は当然だ。」
ふい と窓の外に視線を送る。身体はまだ重い。
「関西図書隊からの報告によると、明日にでも当麻先生の申し入れた亡命希望を取り下げるそうだよ―ってのは、緒形副隊長から聞いたか。」
「ああ、大体のことはな。」
面会可能になってから、ある程度の経過報告を緒形がしに来てくれた。その後も進藤はじめ主だった関係者も顔を出して、煩いことこの上なかった。こっちは怪我人かつ病人だぞ、と言いたくなるような騒がせ方をしに来たが、彼等なりの見舞いだろう。似合わぬ花や手土産を持って、報告がてら色々喋って帰って行った。
「連日のパス報道は目まぐるしいよ。国際世論まで巻き込んで メディア良化法の痛手は避けられないね。よく成功させたよ。誉めてあげなきゃね。」
「本人が来なけりゃ誉められんだろが。」
「誉めるだけ?」
「………。」
小牧がサイドテーブルの引き出しに細々したものを仕分けして入れる。
「大阪から帰還した当日は 堂上の無事をその目で確かめたいって勢いだったんだよ、笠原さん。ま、報告義務とかが待ち構えてて 結局基地から出られなかったんだけどさ。」
小牧は堂上の枕元に椅子を持ってきて座った。
「何でか日に日に挙動不審になってるんだよね~、彼女。」
小牧はニコニコと目を細めている。
「誰かさんは日に日に機嫌悪くなってるみたいだけど?」
堂上は益々眉間に皺を寄せる。
「おまえ、最初目が覚めた時、起き上がったのを覚えてるか?。看護師さんが驚いてた。」
「?……いや。」
正直覚えていない。朦朧としていたし、身体はいうことをきかなかった。
「まだ無茶やってるとこだったんだな。笠原さんと一緒に。」
ああ、あの郁の背中を追おうとしたのかもしれない。階級章も渡して郁1人に任務を任せたつもりだったのに。
「上官として報告を受けんと終われない。」
「ソコまでは上官なんだ。その先は――なんて野暮なことは訊かないけどさ。」
小牧は立ち上がって帰る準備をする。
「明日は公休日だよ。一応手塚には来るなとは言ってあるからね。」
「ばっ、いらん気を回すな!」
小牧は軽く上戸に入りながら病室から出ていく。「報告まってるよ。」と手を振りながら。

どいつもこいつも言いたいこと言いやがって。
緒形も進藤も斎藤も。こぞってアイツの成長を評価する。一言余分な台詞を付け足して。1番にそう思ってるのが誰だと言いたくなる。
さっさと来ればいい。「よくやった」なんていくらでも言ってやる。怖がるな。約束を果たせ。俺は無事だぞ。
カミツレのお茶を飲んだ日に止めたままの2人の関係を変えるには、おまえという鍵が必要だ。
一方的に奪ったままで済ませてたまるか。こっちは待つしか手段がないのだ。来るのが遅いおまえが悪い。機嫌が悪くなるくらい許せ。
ベッドの中ではろくな言葉しか浮かんで来ない。
「サービス期間は延長せんぞ。」
堂上はベッドを起こして窓の外に想いを馳せた。
早く来い。

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リクエストは エッグプラントさんより
「革命時期で任務完了後に郁が病院へなかなか行けなかった間、堂上さんの機嫌が悪くなるあたり。どんなふうに機嫌の悪さが強くなっていったか 周囲の人のエピソードや堂上の心情を含めて読んでみたいです。」
でした。あれ?小牧しか出てこない。進藤さん出すとハチャメチャになりそうでしたので(^^ゞってことにしておきましょうか。
徐々にって感じが表現しきれませんでしたが、こんなお話になりました。翌日郁ちゃんが来るんですね(*/ω\*)。
エッグプラントさん、リクエストありがとうございました!。
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