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2013'06.28 (Fri)

「1ピース」(リク15)

今日は1日涼しかったです。
中・高生組は期末テスト終了日。
長男は早速釣りに出掛けました。長女も部活再開で、図書戦音楽で練習してるみたいです(^^)v。早く帰って来てもどうせ勉強しないのでイライラするのよね。

更新です。
リク内容は最後に。
恋人期の回想?かな。No.77支えのオリキャラ堀田二正が出てきます。

↓こちらから どうぞ





【More】

「1ピース」(リク15)


朝の淡い光がカーテンの隙間から漏れ輝いている。
堂上の瞼がピクリと反応して ゆっくりと持ち上がった。スッキリした目覚めだ。
軽く伸びをしようとしたが隣の温もりを感じて止めた。
ベッドのスプリングで起こさぬように注意しながらうつ伏せになると、郁の寝顔を堪能すべく顔を向けた。
すやすやと眠るあどけない郁を眺める。頬にかかる髪を指先で払うと、その指から伝わる郁の温もりが心地よい。
触れたままそっと頬に滑らせると、郁は僅かに身動ぎした。
起したかと、動きを止めた手に眠ったまま「ん…」と擦り寄った郁の表情を見て 一瞬呆けた後に愛しさが沸き上がる。
こんなにも嬉しそうに 幸せそうに自分の横にいてくれる。このかけがえのない存在を あの頃は想像出来ていたのだろうか。


防衛部に所属して3年目に 小牧と揃って特殊部隊に任命された。図書大卒業時の首席と次席。訓練においても飛び抜けて秀でた存在だった2人は同期からも納得の人選であった。
しかし、成績 評定に文句の付けようがない小牧に対し、堂上は入隊したその年に査問にかけられている。しかも原則派を揺るがすような規則違反で。堂上の実力は知れ渡るところだが、密かに特殊部隊入りを狙っていた隊員には面白くないのも事実。
査問で離れていった友人。それでも終了後に何となく寄って来た隊員もいたが、その中には 未だわだかまりを持っている者もいる。
ちょっとしたところで出る厭味をスルーする技術は得た。実際 図書隊員としてあるまじき行動だったのだ。大いに反省し、未熟な自分を切り捨てる努力をしてきた。

「よう、堂上。特殊部隊入りだってな。エリート様だ。よく平気な顔して任命されたもんだな。」
寮の自販機でビールを買っていると 同期の防衛部の隊員2人に声を掛けられた。
こういう奴らは無視するに限る。
「はっ、エリート様は俺達みたいな平隊員とは口もきかないらしい。」
「いやいや、優秀な堂上二正も苦悩してるのだよ。」
ひひひと笑う彼等を一瞥して、ガコンと落ちてきたビールを取り出す。
「『勝手な見計らいなんてしなきゃ良かった。』『バカな女子校生が余計な事するからだ。』ってな。」
「そうそう、良化隊に1人突っ掛かるようなアバズレ女の為にエリート様が名誉を傷つけられたんだ。さっさとそんな事は忘れた方がいいよな。」
「上層部もすっかり忘れてらっしゃるそうだしな。どう取り入ったか俺達にも教えてほしいもんだ。」
堂上は、ギャハハと喋る隊員達に背を向けたまま寮に向かう。
「ふん。バカな女に正義面した奴でも特殊部隊になれるんならたかが知れてるな。」
カッとなった。自分の事をどう言われようが気にしない。しかしあの時の凛とした背中を蔑む言葉だけは我慢出来なかった。
無言で振り向き腕をあげようとした時、後ろからその腕を掴まれた。
「ほっ堀田二正。」
下品な笑いを引っ込めて2人の隊員は青ざめた。
「堂上の特殊部隊任命は正規の手続きを経て決定した。隊長はじめとした推薦も受けている。少なくともお前達より数倍優秀な隊員が特殊部隊の一員になるのに上層部から異存はなかった。他に、何か?。」
堀田は特殊部隊の若きエースだ。その迫力に押されて後退り、ゴニョゴニョ何か口の中で言うとその場を離れていった。
「……何で寮にいるんですか?。」
堂上は腕を下ろして堀田に体を向けた。少々バツが悪い。
「よくぞ訊いてくれた!。それがさあ~、久美子のヤツ ご懐妊なんだよ~。嬉しくて早速隊長にご報告ってな。」
破顔した堀田の目尻は 見たことのないほどとろけそうに下がっている。
「!おめでとうございます。」
堂上の肩から力が抜けた。
本当に嬉しそうな堀田が その笑顔のまま堂上に言った。
「お前は査問の事を、見計らいした事を忘れたいのか?。」
「……いえ、自分の未熟さを思い知りました。反省する良い材料です。」
堂上は顔を引き締める。
「彼女を助けた事は?」
「今でも後悔はありません。」
堀田は そうか、と堂上の肩を叩いた。
「お前さあ、気付いてる?」
「は?」
「…彼女に会いたいとかって、思わないか?」
「………。」
しょうがないなあ、という顔で堀田は玄関に向かった。身重の久美子が待つ官舎に帰るのだ。
「隊長だけじゃない。俺も、俺達特殊部隊全体が堂上の入隊を歓迎してるからな。ついてこいよ。」
「はい。」

あの時の女の子を忘れることはない。書架作業をすれば どんな本を読んでるのだろうかと彼女を思い出し、訓練をすれば 痛めた足に湿布した姿が思い浮かぶ。
いつか逢うとしたら 直ぐに分かる程度には脳に刻まれている。それは泣き顔であったり震えた肩であったり。
「笑顔、見てみたいな。」
逢える なんて思ってないはずなのに、そう呟く自分もいた。


「追いかけて来てくれて ありがとう。」
郁の寝顔に囁く。
初めこそ辛く当たった。あの時の自分が、あの時守りたいと思った女の子を危険な職に就かせたと思うと 自分の存在が憎かった。
出会わなければ良かった。
でもどんどん惹かれていく自分も止められなかった。

「ん… 」
今度は体全体をすり寄せてくる郁を 堂上は抱き込んだ。
額にキスを。頬に、鼻に、目尻にもキスを。
いきなり覚醒した郁が目を開けた。何か発する前にその唇を塞ぐ。
いいさ。再び出逢えたのは今を創造する為のピースの1つだっただけの事。郁との時間はすべて1つ1つが宝物のピース。何1つ欠けても完成しない。これからも集めていこう。
忘れていいピースは 何1つないのだから。


==========


リクエストは あ~ちゃん より
「スキマスイッチの『藍』という唄があります。最後のオチ?で 実はまだ見ぬ出逢っていない未来の恋人?を思っている唄でした。郁ちゃん入隊前の教官っぽいな~と。恋人・夫婦になってでも フッと逢う前を思い出して…」
というものでした。
唄の解釈も難しいところですが、コメントに合わせてみました。
堂上さんは郁ちゃんが追いかけて来なかったらどうしたんでしょうね。郁ちゃんに感謝しなければいけませんよ。
あ~ちゃん、リクエストありがとうございました。こんなんで いいかしら?。題名「藍」になんなくてごめんなさい(^人^)。
17:32  |  図書戦  |  TB(0)  |  CM(1)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

もっ…悶えました…!

笑顔、見てみたいな…!

この台詞にやられ悶えて夫に不信がられたのは私です(^q^)

何と申しますか、助け耐えた気持ちも、突き放そうとした気持ちも、そして壊されちゃった気持ちも、教官の気持ち全部が可愛くて愛しくて仕方ありません 笑
本当、いつまでも幸せな二人であって欲しいです。
素敵なお話ありがとうございます。
りぅ | 2013年06月29日(土) 10:46 | URL | コメント編集

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