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2013'06.30 (Sun)

「計算外」1(リク16)

じめじめにもほどがある。
連日居間でナメクジ発見。なんで~と 割りばしで摘んで庭へポイ。この役目はチビが担当しています。

更新です。多分前中後編ですが念のためナンバーで。上官・部下で、危機辺り。
今回私にしては冒険です。展開に無理があるのは承知の上でお読み下さい。
リク内容は最後になるので後日です。

↓こちらから どうぞ


【More】

「計算外」1(リク16)


隊長室に堂上班が収拾されたのは昨日の午後だった。直前に警察から玄田隊長に面会があったとは聞いていたので、その関係と思われた。
「警察からの報告によると、我が武蔵野第一図書館内が 援助交際の待ち合わせ場所として使用されている案件が発覚したらしい。」
「出会い系サイトですか。」
小牧が促す。
「そうだ。しかし直接交渉の場ではなくて どうやらのってきた女性に客を取らせて 自分が儲けようという元締めが接触するらしい。」
最低な。子供達も利用するこの場所が そんな事に使われているなんて許せない。
「で だ。笠原。」
「待って下さい。それは他に婦警なり 適任はいるんじゃないですか?。」
玄田が指示を出す前に 堂上が反論する。
「俺達のシマで勝手なことしてる輩は こちらで叩きのめすしかあるまい。という訳でもう特殊部隊で預かってきた案件だ。」
「だからシマなんて言わんで下さい。…勝手な事を。」
文句と独り言が同時に出る。実際声を掛けられた時点で取り押さえられるのは強みだ。苦虫を噛むつぶした様な顔で郁を振り向き「やれるか?。」と聞かれれば「はい。」と応える選択肢しかなかった。

「ここの利用者ってことは、あたしの顔は知られてるんじゃないですかね。」
隊で支給された携帯で 既に話はついている。アクセスしたら即待ち合わせ。あまりに簡単なやり取りで犯罪に手を染める、その手口に正直哀しくなった。こんなに簡単に自分を差し出す女の子がいるという事実に。
「立派に勤まるよ、普段とは別人だもの。流石柴崎さんだね。」
例のごとく柴崎プロデュースで いかにも援助交際しますという格好だ。チャラチャラとした装飾を施し、捕物の妨げにならない様にショートパンツだが 惜し気もなく足を露にしてある。いつになく濃いめの化粧は目鼻立ちをくっきりさせ、普段の郁との違いは顕らかだ。
ちらりと郁は堂上の反応を伺うが、いつもの様に仏頂面を決め込んでいるから分かりにくい。
「さっさと片を付けてこい。但し危ないと思ったら無理はするな。」
「はい。」
証拠となる会話の録音をする為にUSBレコーダーも仕込み済みだ。今回は女性を連れ出すのが目的である為、猥褻行為に及ぶ可能性は低い。現行犯で捕まえるには証拠が必要だった。

メールで指示があったロビー奥の美術関連の特設書架の前に立つ。カウンターからは死角だ。互いにバンダナを手首に巻いているのが印しという。郁は赤いバンダナを巻いた左手で髪を掻き上げ、さりげなく書架を背に 人待ち顔で立っていた。
やがて1人の男が郁に近付いてきた。
「あの~。」
声をかけて来たのはほっそりした男。黒ぶちメガネの奥は気弱そうな瞳が揺れている。
手首にバンダナは――ない。
ターゲットではないのか。郁はチラリと横の書架で配架作業をしながらスタンバイしている堂上を見た。待ち合わせ時間まであと5分。別人物か――この様子を見られている可能性がある。それらしく振る舞う事にした。
「何です…何よ。あたしになんか用?」
下手な芝居だが 目一杯気だるく ふてぶてしく応対する。
「急なお願いなんですが、…写真のモデルになっていただけませんか?」
「はあ?」
何の脈絡もない要請に郁は素で声を出した。慌てて口元を手で塞ぐ。
「い、いきなり何の話よ。興味ないわ。あっち行って!」
ここで時間を取られるわけにいかない。
「1、2枚でいいんです。中庭で試し撮りを。」
男の手には初心者向きのカメラ雑誌。郁が立っている書架の特設コーナーに展示してある本だ。
「と、とてもお綺麗なのでカメラに収めてみたくて…。」
羞かしげに話す男に 郁はため息をついた。
「でも――。」
時間がないし 撮られる訳にいかない。
しかしいきなり手首を捕まれ、玄関に向かって強引に引っ張られた。堂上も移動した。
「あら笠原さんよね。」
すれ違うところで声をかけられ、郁が思わず振り向いた。待機していた堂上や小牧もギョッとした。
「珍しい格好してるじゃない。図書隊にいるのが勿体ないみたい。」
コロコロと笑って近づく中年女性は顔見知り。さり気なく小牧が女性を遮ろうとした。
「――図書隊員だったのか。囮か。」
その声に視線を向けると 手首を掴んでいる男が鋭い目で睨んでいる。
このカメラ男がターゲットだったのか。ひょろりとしたこの男なら――郁は身構えた。
「笠原!後ろだ!!」
堂上の鋭い声に体を捩ると 書架の間から別の男。あっという間に郁は後ろ手に拘束された。
「近寄るな、この女の顔に傷をつけるぞ!」
後ろから回された右手には小型ナイフ。ピタリと頬に当てられた。その手首には青いバンダナ。
堂上は足を止めた。
郁は抗おうとしたが ガッチリ腕を取られてびくともしない。鍛えられた男の体は大きく、逆に郁の身体ごと浮かせてジリジリと移動する。既に玄関に近い。捻られた腕の痛みに郁の顔は苦痛に歪む。
小牧は周辺の利用者を避難させ、堂上が狙撃準備をしている手塚に指示を出そうとインカムに手をかけた。
「おっと、下手な真似はするなよ。」
ナイフを郁の首に当てなおす。
「構いません!教官 指示を!」
郁の声がロビーに響く。
防衛員が包囲する中を2人の男は突破する。あまりにも早い展開だった。
男は玄関脇に停めてあった車に郁を押し込めるとエンジンをかけた。
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