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2013'07.04 (Thu)

「計算外」3完(リク16)

あ、3回で終われちゃった英香です。
こうなると 前中後編にしとくんだったと、案外こだわってしまう自分がいますが ま よしとしましょうか。
えと、「波を寄せて1」の漢字間違えを訂正しました。ご指摘ありがとうございました(^^)。また教えて下さい。…いっぱいありそうですが、こそっと直させて貰います。
更新です。もっと丁寧に描写すれば迫力出るのでしょうが、ここは読みながら脳内補完フル活用を推奨する形をばm(__)m。スミマセン。
続きです。上官・部下の県展前辺り。

↓こちらから どうぞ


【More】

「計算外」3完(リク16)


特殊部隊対策室に無線が入った。
「斡旋先の男が特定されたもようです。警察のブラックリストに載ってるグループの1人ですね。」
手塚は報告する若い刑事の手元からメモをひったくる。
「よし、手塚。行ってこい。ここは俺達に任せろ。」
緒形が後を引き継ぐ。
「警察も向かっているんだぞ。」
平賀の言葉に手塚は視線を流すが、玄田に一礼して廊下に飛び出した。自分のバイクが速い。

その時、郁のGPS信号が途絶えた。


男の手は 郁の剥き出しの足を撫でる。
「強がれるのは助けが来ると思っているからか?」
身を縮めていた郁がぴくりと身動ぎした。無言で睨み付ける。
男は体を起こすと、ソファーの背にもたれてクッと笑う。
「残念だな。」
胸ポケットから取り出したのは 2つに破壊された携帯電話。郁が後方支援部から支給された携帯だ。
「こんな物をいつまでも放っておく訳ないだろ?。」
郁は目を見張った。いつの間にかショートパンツのポケットから抜き取られていたのだ。
「移動中に壊したから この場所まで辿り着けない。甘かったな。」
ゴミ箱に投げ入れられる様子を見て、郁は唇を噛んだ。ザッと血の気が引く音が 耳の奥に聞こえた。
「図書隊はあんた達みたいのに屈しないわ。」
負けない。自分に出来るのは無事で待つ事。郁は目だけで室内を見回した。
その顎を 男は捕えると目を細める。
「かなりの上物だ。このまま引き渡すのは惜しいな。――こんな格好してるのが悪い。男を誘ってるようなものだ。」
郁の装いは正にそのようなもの。囮なのだから。
ソファーの隅で足を折り畳んで身を固くするが、後ろ手に拘束された上半身は華奢なレースを施したキャミソールに 薄手の上着を羽織っただけ。身を捩って体の向きを変えても 装飾品が揺れて、かえって誘うような動きにしかならない。
男はその上着を肩から外すと 郁の鎖骨を舐め上げた。
郁の背中に虫酸が走る。

ガン。
玄関の外で音がした。続いてガチャガチャと鍵を開ける音。
「チッ、早いな。」
もう話がついたのか と舌打ちする。
ソファーから立ち上がり玄関に向かうと、勢いよく戸が開けられ カメラ男が文字通り飛んできた。

「笠原!」
なだれ込むように入ってきたのは堂上と小牧。
折り重なって倒れた2人だが、体の大きなバンダナの男は細身のカメラ男を払い除けて立ち上がる。
「貴様ら――」
俯せに倒れたカメラ男の腕を小牧が持ち上げる。素早く足払いをかけ、その勢いのまま振り子のように半回転させ 体重をかけて柱に打ち付けた。男はズルズルと崩れ落ちた。
一方 堂上は腰を落としてバンダナ男の懐にあっという間に飛び込んだ。しかし男は堂上の背中に肘を振り下ろす。
体格差が有り過ぎる。
「堂上教官!」
郁の声に堂上はその肘を掻い潜って反転すると、下から男の顎を蹴りあげた。続く2人の繰り出す拳の交戦に息を飲む。
速い。
いつもの堂上とは違う。郁と組んでいた訓練の手合いとは比べ物にならない。
しかし部屋は狭く動きが取りにくい。
郁はソファーから飛び降りると男に向けてゴミ箱を蹴った。
ゴミ箱に足を取られた隙を逃さず 堂上が渾身の拳を男の頬に打ち込むと、大きな音をたてて男は吹き飛んでいった。

「堂上二正!」
手塚と警官が飛び込んで来た時には 犯人は拘束されていた。
「久々の喧嘩堂上だね。」
肩で息をする堂上と小牧はハイタッチした。
堂上は郁の後ろに回ると 下ろされた上着を肩に掛けて、拘束してあるガムテープを丁寧に剥がす。
「携帯、壊されたんです。どうしてここが……?」
郁の問いに 堂上は、掛けた上着の後ろ襟から小型USBレコーダーを引き出した。
「携帯のGPS信号が途絶えると発信させる仕込みがしてあるそうだ。さすが柴崎だな。部屋は手塚が斡旋先の男から聞き出した。」
レコーダーを手塚に放る。
「アイツ 最新機種を要求してたみたいですよ。」
「彼女の用意周到さは見習った方がいいね。」
堂上班の面々には 事件解決による安堵の空気が流れていた。
郁はペコリと頭を下げて敬礼した。
「申し訳ありませんでした。でも笠原郁、生還いたしました!」
目一杯 明るい声を張り上げた。
「「「………」」」
小牧は堂上の肩を叩いてから手塚を促した。
「俺達は警察と行くよ。笠原さんは落ち着いてから堂上と後でおいで。調書はそれからだ。」
「え、大丈夫です。」
出ていく小牧に敬礼したまま首を傾げた。
「笠原。」
堂上が声をかけた。
「…敬礼はいらない。俺達は今、有給休暇中で 仕事で来たわけじゃない。」
郁の手を取り、敬礼を外した堂上の手がそのまま郁の頬を撫でる。そこで初めて自分が涙を流している事に気付いた郁は、ぐっと込み上げる何かを感じ、その場にへたり込んだ。
郁の涙を拭い、堂上は躊躇しながら――訊いた。
「何も…されなかったか?」
暫しの沈黙。郁は堂上をゆるゆると見上げた。その顔に影が落ちる。
流れる涙はそのままに、郁の唇が塞がれた。堂上の唇によって。
驚き固まる郁を抱き締め 再び塞ぐ。今度は深く。
「こんなこと――されなかったか?」
唇を離して耳元に囁く。
抵抗しない郁は――堂上の背中に手を回すとシャツを握り締め、何度も何度も首を横に振る。
「来てくれるって 信じてました。」
言ってもいいだろうか。
「こっ……恐かった。」
ぎゅっと堂上の腕に力が入る。
「恐い思いをさせてすまなかった。笠原。俺は今、ただの男として お前を取り戻しに来た。」
涙に濡れる郁の頬を両手で包むと、その瞳を見つめて囁く。

――好きだ。どんな時でもお前を守りたい。

郁から溢れるのは 涙だけではなくなった。

――あたしも、好きです。

郁の言葉を飲み込む様に重ねた唇は、角度を変えて繰り返される。

急速に想いが繋がった2人には 嬉しい計算外。ここから始まる物語もある。


==========


リクエストははるぽめさんより
「囮捜査の囮になった郁ちゃんが犯人に拘束されてしまい、堂上教官をはじめとする特殊部隊の皆がどうにかして救出しようと奮闘する。」
でした。
犯人は体を鍛えていて かなりの腕の持ち主という設定で郁ちゃんピンチ!でお願いします。
という内容を頂いたので、岡田教官並の堂上さんを目指してみました。
勝手に盛り上がってフライングという、こちらも計算外で締括ってみました(^^ゞ。
なんかね、1度フライング書いたらハードル下がったような気がします(*/ω\*)。
はるぽめさん、リクエストありがとうございました\(^O^)/。他の皆の活躍まで回りきれなかったけど 楽しく書けてよかったです。
08:16  |  図書戦  |  TB(0)  |  CM(3)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2013年07月04日(木) 16:01 |  | コメント編集

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 | 2013年07月04日(木) 17:06 |  | コメント編集

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 | 2013年07月07日(日) 01:32 |  | コメント編集

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