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2013'07.31 (Wed)

「デート計画」(リク21)

こんばんは。お久しぶりの英香です。
不幸があって そのお手伝いをしていました。
そして長女の大会が…の話は明日にして、先ずは久々の更新です。
リク内容は最後に。
恋人期、ムツゴロウ前後のつもりです。

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【More】

「デート計画」(リク21)


昼休憩、少し時間が押すと食堂の席はいっぱいになる。堂上はトレイを持ってぐるりと見渡すと 郁が手を振っていた。隣は柴崎だ。
訓練後、シャワー室を1人で使う郁は堂上達より早く食堂に着く。混み合って遅くなりがちな男性陣のために席を確保していたのだ。
「ありがとな。ちょっと手間取った。」
男子シャワーのうち2ヶ所が故障中だ。

それぞれ定食をつつきながら談笑する。
「あら 笠原、そこどうしたの?」
柴崎が郁の左腕を指差した。腕の外側に打ち身の跡。
「ああ、コレは――。?覚え無いのよね。」
腕を擦って子首を傾げる郁に堂上はため息をついて言った。
「銃がぶつかった時だろう。構える時のもたつきは相変わらずだからな。」
そこからいつもの小言が始まる。大きな体を小さくしながら小言を受ける郁。2人のやり取りに 柴崎は「相変わらず よく見てること。」と肩を竦めた。

そんな堂上班を遠巻きにコソコソ話す者がいた。
「え?マジかよ。」
「2人で外出してるところを見たって奴等も結構いるぜ。」
「だってあんだけ啀み合ってたじゃん。」
「この前の事件ん時、名前呼びして追っかけていったらしいぞ。」
「別に前と変わんないように見えるけど…。」
数日前に起こった催涙ガス事件で とり残された子供を救出する一部始終を見た防衛員からの噂が広がっていた。その晩のロビーでのスキンケアの件も。
付き合っている事を隠し立てするつもりはないが 敢えて吹聴して回る必要もない。業務中の対応に一見変わりはなく、それまで知らなかったという隊員は多かった。しかも 以前が以前だった為か、俄かには信じられないと言う意見が大多数だ。
囮捜査を経て 郁の人気は急上昇した。その気で追えば急に女性らしく変貌を遂げていることに気付かされる。元々気さくで性格の良さには定評があるのだ。今では柴崎に並んで図書隊注目の独身女性だ。
既に上官に持っていかれていたとなれば悔しくて仕方がない。まだ間に合うならば手を打たねば。そこでその確認も兼ねての同期会が急に計画されたのだった。

「酒は入れるなよ。」
郁の日報に判を押した堂上が 手渡しながら釘を刺す。
「分かってます。明日も業務ですから早めに柴崎と帰って来る予定だし。」
当然柴崎狙いは多いので 手塚はガードがてらに使われるのは暗黙の決定事項。手塚もため息をつきながら帰寮準備をし、郁と共に同期会に出かけて行った。
「堂上~ 心配じゃねえんかよ。笠原狙いが結構いるって聞いてるぞ。」
進藤が書類を片手に堂上の肩を叩いた。
その書類から いつものように数枚差戻して堂上は仏頂面で返す。
「余計な心配は結構です。それより仕事して下さいよ、仕事。」
差戻された書類を手塚の机に置こうとした進藤をぎろりと睨む。
堂上とて心配していないわけではない。ただ郁の同期会に上官が顔を出したら興醒めするだけだろうし、柴崎達も一緒だ。手塚には酒の番を頼んでおいた。何かあったら連絡を寄越すだろう。
昼の食堂で 背後から聞こえて来た会話に苛立ちを感じない訳ではないし、この同期会で郁にちょっかい出したがっている奴等の存在は把握済みだ。堂上は大きくため息をついて書類の山に取り掛かった。

同期会は 駅の裏に最近できたという居酒屋。既に大半が集まっていた。
「お、来たな。先ずは飲み物注文しろよ――って、柴崎さんは?」
郁と手塚が店に入ると、幹事役の男が訊いてきた。
「急に用が入ったんだって、後から来るみたい。」
郁は会費を払いながら伝えた。
「あ 手塚君、こっちこっち。」
待ってましたとばかりに業務部の女性陣に引っ張られたのは手塚だ。クールに手で制していたが 構わず席に沈められて囲まれた。
滅多にこういう場に出て来ない手塚もまた恰好の餌食だ。特殊部隊のエリートとの同席をチャンスとばかりに手塚狙いの女性達が群がっていた。
「笠原! 酒は飲むなよ!」
視界に入る程度の遠くで叫ぶ声に郁は苦笑しながら腰を下ろした。
わらわらとその郁の周りに男性陣も集まりだす。
「笠原、何飲む?」
「コレ旨いぞ。」
「座布団もう1枚いる?」
朝から晩まで特殊部隊の中にいる。同期とはいえあまり顔を合わせない隊員も多いが、特殊部隊唯一の女性隊員である郁は有名だ。知らない隊員からも声がかかり、誰だっけと思いながらも暫し雑談に花を咲かせた。
「笠原はホントに飲まないのかよ。」
「だって明日も訓練が入ってるんだもん。」
「相変わらず絞られてるんだろ?よくやってるよな。」
徐々に違うメンバーも加わる。
「薬物常習者の人質事件の話も聞いたぞ。見事だったってな。」
――手腕だけでなく装いも話題になっていた。第二図書館の館員の中でも郁の人気はうなぎ登りである。
「へへ、関節は避ける余裕はあったから 上官の指導の賜物だよ。」
ふっと笑いながら烏龍茶に口をつける郁の仕草は可愛らしく、女の色香まで感じさせ、話の内容関係無しにドキリとさせるものがあった。
「いや、技もだけどさ、こう 何というか、笠原は綺麗になったよな。」
周りがどよめき出す。おまえも狙ってるのか。
先を越されまいと別の男も参戦する。
「うん、ちょっと化粧もするようになって女っぽくなった。」
「え、そうかなあ。」
似合ってるといいな、と照れる郁に畳み掛ける。
「キツい仕事してるんだ、息抜きしなきゃ。どっか遊びに行かないか?」
うーんと唸って、郁は唐揚げを頬張る。
「そうだね、水族館とかいきたいなぁ。」
定番のデートコースだ。
「お、いいねぇ。俺割引券手に入るぞ。」
男達は身を乗り出して頷いた。
郁は烏龍茶を飲み干して遠くを見て続ける。
「公園でのんびりもいいかも。」
「たまには芝生で昼寝もいいさ。俺、車出せるから遠出できるぞ。」
抜け駆けすんなよ、とその男は突かれる。
郁は烏龍茶のおかわりを頼んだ。
「この前は映画に行ったからぁ…。」
「へー、映画もいいな。新作観に行こうぜ。」
「買ってもらったワンピースで出掛けようっかなあ。」
郁はおもむろに携帯を取り出した。
「? どこに?」
ちらりと隊員は郁の携帯を見た。
「きょーかん。」
場が静まり返る。
「あら、わざわざ連絡入れなくても教官 そこにいるわよ。送って貰ってきたから。」
「あ、柴崎。」
宴会場の入口には柴崎が立っていた。
「あんたのデート計画は外まで丸聞こえだわよ。続きは教官となさい。」
「あ、教官来てるんだ。」
郁はいそいそと帰り支度を始めた。
「あー、柴崎さん…。教官って――。」
男達はキョロキョロ挙動不審だ。
「勿論堂上教官よ。すぐソコで ぜーんぶ聞いてたわね。自分の彼女のデート計画。」
はいそこ空けて、と柴崎は手塚の隣に座った。
ということは 自分達の誘い文句も全部聞こえていたということで。
サーと血の気の引く音がした。
俺達 殺される?
「じゃっ」、と郁の出ていった戸を凝視する。今に鬼が戸を破ってやってくるのではないかと皆腰が引けている。が、いつまでたっても何も起こらない。
ここは2階の宴会場。ふと1人が窓の外を見て、誰ともなしに手招いた。
店からほど近いガードレールにもたれた形の堂上と向かい合わせの郁の姿があった。
2人は談笑していた。つと堂上に寄った郁は、額を突き合わせるようにして同じ携帯の画面を覗く。やがて堂上は郁に微笑んで手を引くと、駅と反対側の街に2人消えていった。
「…なあ 手塚ぁ、職場じゃあの2人 どんなんだ?」
「ん?普通――だけど 俺、最近記憶とんでるんだよな…。」
「ああ、分かる気がする――。」
窓から見下ろしていた隊員達は 狐か狸に化かされているんじゃないかと、今度は見上げて月を仰いだ。


==========


リクエストは りつさんより
「恋人期 同期会・同窓会で 惚気で虫を退治みたいな 甘いのが読みたいです。」
でした。
本題に入るのが長過ぎて 甘くしそびれた感じです。堂上さんに頑張って惚気てもらおうと考えてみても今一思い浮かばず(/_\;)。結局郁ちゃん任せです。
りつさん、こうなりました。楽しかったです。リクエスト有難うございました\(^O^)/。
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 | 2013年08月01日(木) 02:37 |  | コメント編集

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 | 2013年08月01日(木) 09:50 |  | コメント編集

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