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2013'08.09 (Fri)

「偽りの樹」中編

今日もあっちっちの中でプールサイドにいる英香です。
折り畳みのバケツ持参で水の中に足を突っ込んでます。対策しつつ 意味のない監視です。ちびだけ置いて家に帰る勇気はない。村の監視員はただいるだけだしさ。
ま、この時間でポチポチできるから それなりに有意義です。
更新です。大した中身ないのに中・後編に分かれちゃいました。

↓こちらから どうぞ


【More】

「偽りの樹」中編


午後の郁は 常に涙目だった。
業務は館内警備。バディは小牧だったが、小牧は首を傾げるばかりだ。
郁は小牧の横にぴったり着いて歩き、辺りをキョロキョロ見回す。不振者を探しているようにも見えるが、何かに怯えているようだ。
「笠原さん、どうかしたの?」
小牧の声にぶんぶんと頭を振る。
「ナ、ナンデモナイデス。」
書架の間から人が現れる度にビクリとする。
いや、何でもなくないだろう。
いつの間にか小牧の影に隠れながら巡回する郁に 肩を竦めた。

郁は日報を速攻で書き上げ 手塚を必捕まえて帰寮していった。
「今日の笠原さん、いつにも増しておかしいね。」
残業のある堂上に 小牧が言った。
「…だよな。」
昼休憩に小池に告白されたのは知っている。が、告白されたにしては妙な反応だ。あの怯えようは あの桜の樹の伝説に関係があるのか?。
「悪い、後で部屋に行っていいか?」
「りょーかい、班長。」
仕上げたファイルを堂上に提出すると、小牧は先に帰寮していった。
「さて、どうしたもんかな。」
堂上は携帯を取り出した。

「何よ。あんた具合でも悪いの?」
部屋に入った柴崎は 光々と電気を灯して布団に包まっている郁に声をかけた。
「しぃばぁさぁきぃ~~。」
ガバッと起きだして 郁は柴崎に抱きついた。
「ちょっと どうしたのよ!」
郁は青い顔で訴える。
「あたし 呪われちゃうよお。」
「はぁ?呪われる?」
小池から聞いた話をびくびくしながら説明する郁に 柴崎は大きくため息をついた。
「それは図書館七大都市伝説の1つ『偽りの樹』だわね。」
「…地下書庫じゃなくて?」
「図書館にもあるのよ。以前は結構整備されてて、歴代図書隊員達の逢引き場所として有名だったらしいわよ。大分廃れちゃったみたいだけど。」
「ホントなんだあ~。」
再び頭から布団を被り ガタガタ震える郁に、柴崎は意地悪く訊いてみた。
「で、なんて嘘を言ったのよ。」
「そ…それは――。」
ん? といい顔で訊かれて郁は白状する。
「じゃあ 好きな人は堂上教官かと訊かれて 『違う』って言って逃げて来たわけね。そりゃ大嘘だわ。」
成る程、それでこの状態。教官が探りを入れる訳だ。
いっそそうだと言ったなら簡単だったのに、と柴崎は苦笑した。
真っ赤な顔で吐いた郁が カタンとの音に血の気も失せた。
「猫ね。」
植え込みを伝ってベランダまで来る猫がいる。柴崎の言葉にホッとした郁が窓を開けて猫の頭を撫でると
気持ち良さそうにニャーと一声鳴いた。
「呪いを解くにはどうしたらいいの?」
猫を見送った郁は 分厚いカーテンを引いた。

小牧の部屋をノックする。堂上の部屋で飲む事が多いが たまには逆もある。中に入ると 先に手塚も来ていた。
堂上は持ってきた半ダースのビールを冷蔵庫に入れると、代わりに冷えたビールを1本取り出した。
「お疲れ様。早速だけど 笠原さん、何かあったの?」
小牧の問いに、堂上はプルタブを開けながら腰を下ろした。
「どうやら同期の小池に告白されたらしいんだが。」
堂上は手塚に振った。同期なら手塚も知った男だろう。
「小池ですか?。…ああ、割とおとなしい奴ですね。確かオカルト好きで有名だったかと。」
「オカルト?」
「夏になると仲間で集まって部屋で怪談話をするのが恒例らしいです。」
「なんだそれ。」
そこに堂上の携帯にメールが着信した。柴崎だ。
「……『偽りの樹』って知ってるか?」
堂上は詳しい内容までは知らなかった。
「ああ、図書館の七大都市伝説か。堂上はそういうの疎いもんな。」
「悪かったな。」
ぐっとビールを飲み干した。
「中庭の一番奥の桜の樹の前で嘘をつくと呪われるって話だよ。好きな相手の本心が訊けるって昔は有名だったらしいよ。半分脅しだよね。――って、笠原さんは呪いに怯えてるんだ。」
告白されて断る分には嘘いらないよね?、との小牧の話に 昼間の郁の言葉が蘇る。
『違う!教官じゃない!』
アレが嘘で呪いに怯えているならば――都合のいい想像も掠めるが 先ずは郁の恐怖を取り除いてやるのが先だろう。幸い告白された事はすっかり抜け落ちてるみたいだし、と新しいビールに手を付けた。


翌日午前は訓練だった。
大勢の中にいる分には恐怖は薄らぐ。呪いを忘れようと必死に訓練に打ち込む郁の目の下には隈があったのは 昨日眠れていない証拠だろう。
午後は内勤。事務室内でのパソコン業務だが、寝不足気味の郁はミスを連発。果たして残業と相成った。
それからだ。郁の周りで不思議な現象が起こったのは――。

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 | 2013年08月09日(金) 15:49 |  | コメント編集

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 | 2013年08月09日(金) 16:32 |  | コメント編集

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 | 2013年08月09日(金) 23:03 |  | コメント編集

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