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2013'09.17 (Tue)

「光を拾って」1

無駄な足掻きをしていた英香です。
壊れた携帯のデータを何とかパソコンで起こそうと試みてみましたが、やっぱり読み込めず。ああ、一話分が微妙に思い出せない。話は決まってるんですが、前はどう進めていたか気になってなかなか書き出せずにいて更新出来ませんでした。ま、何とか追いついたので 前のは忘れることにします。

昨日の台風の報道には心が痛みました。どの地域の被害も目を覆いたくなる程ですが、京都嵐山にはよく遊びに行っていたので、信じられない光景にテレビに釘付け。主人とのデートに好んで連れて行ってもらったりしていました。観光シーズン前の惨事にお見舞い申し上げます。
職場の皆も無事かなあ、なんて心配です。

遅くなりました。更新です。No.100なんですよ(^_^)v。時期を「誓いの道は 4」の後に設定してみました。婚約中になります。オリキャラがいつもより黒いですが、お付き合い下さいね。

↓こちらから どうぞ




【More】

「光を拾って」1


武蔵野第一図書館から徒歩近いところに新しいレストランがオープンし、郁と柴崎はランチに来ていた。
「いよいよ動き出すって感じね。両親に婚約者を紹介かあ~。あとは、あんたのお母さんがどう出てくるか だわね。」
「うう…。」
郁は食後のロイヤルミルクティーを口に付けながら肩を竦めた。
いくら「連れていらっしゃい」と言われたからといっても 即承諾 とは思えない。これをチャンスと退職を迫られたり、最悪「戦闘職種」だからと結婚自体を反対される可能性大だ。頭に血が上った挙げ句 堂上にどんな罵声を浴びせるか……。県展前の寿子であればそんな心配をがっつりするところだ。
父に促されて電話で話すことは出来るようになった。それでもまだぎこちなさが残っている。
母の頑なさは郁自身にも引き継がれている自覚は──堂上からも指摘されていることだが。
「堂上教官の両親は了承済みなんでしょ?」
「ん、もう何度も遊びに行ってるし、茨城の両親に挨拶してから改めておいでって言われてる。」
堂上からは何も心配ないとのことだ。むしろ漸く申し込んだのか とあきれられたとも言っていた。
「あの堅物教官の親にしてはフレンドリーよね。でも良かったじゃない、気に入られてて。」
「へへ。」
未だ信じられない気がする。こんなガサツな大女が、少しでも望まれるなんて。嬉しいけど申し訳ないような、くすぐったいけど何だか…。

郁が百面相をしていると 柴崎がテーブルの下で足を蹴ってきた。
「何よ…」
その視線を追うと、隣のテーブルの男が妙な動きをしていた。食事を終えて席を立ち 椅子に掛けていた上着を手にする──ついでのように、後ろの女性が椅子に掛けていたハンドバッグも一緒に手にした。
置き引きだ。
上着に包み込んで郁達の横を通っていく男を、郁は足を引っ掛けて倒した。
「な、何すんだよ!」
30歳前後であろう。痩せ型だがサングラスをかけて凄んでみせる。
「こっちはランチを楽しんでるの。そんな事されて気持ちいい筈ないじゃない。」
座ったままの郁が男の上着を引っ張れば 女物のバッグが転がり落ちた。
「あ、ソレ私の!?」
持ち主の女性が叫ぶのと同時に男は踵を返した。
ザッと郁が立ち塞がる。
「食事中でしょ。埃をたてたくないの。」
威圧感で男を制す。思ったより背の高かった郁に、男は怯んだ。
直ぐに男の店員が来て置き引き犯を取り押さえると、周りの客からも拍手が起こった。

「益々堂上教官に似てきたわね、あんた。コレで結婚したらどうなるんだか。」
店側からお礼にとデザートをつけてもらってホクホクの郁に、半ば感心し半ば呆れて柴崎がニヤニヤ笑う。
デザートを頬張る姿はあどけなく、犯人を前にすれば凄みが出、ソレでいて堂上の話題となれば乙女な表情を見せる郁。あんたといると飽きないわ、柴崎もおこぼれのデザートに手を着けた。
コレはほんの数日前。


このところ業務部を中心に沸いていた。
「中林二正、今日はお昼どうされます?」
午前の業務が終わる頃、カウンター奥で声があがった。
「そうだな、今日は食堂に行こうかな。」
「きゃ、私もご一緒していいですか?」
「あ、私も!」
中林と呼ばれた男性館員に 4・5人の女性館員が群がった。キャピキャピと盛り上がる一団に他の男性館員は苦る。
その日 郁は館内警備だった。「柴崎、誰?アレ。」
ランチを一緒にしようとカウンターを覗き、ススッと寄った郁に 柴崎は説明する。
「中林秀哉二正。中部図書基地から先日異動して来たの。かなり優秀みたいで幹部候補なんだって。なかなかのイケメンで観ての通り只今女子の人気の的だわね。それから──」
「図書隊の華に評価してもらえるなんて光栄だな。」
いつの間にか中林が近くに来ていた。身長は手塚並みに高く、業務部のわりにガッチリしている。女性館員が騒ぐだけあって 彫りの深い整った目鼻立ちで、小牧とはまた違った人当たりの良さげな男だ。
「よろしければ君も一緒に食事を──おや、そちらの女性は。」
中林は郁を見て眉を上げた。
「笠原郁三等図書正です。」
ぺこりとお辞儀をした。
「君、先日レストランで置き引き犯と対峙した女性だよね。」
郁と柴崎は顔を見合わせた。
「俺、たまたまあの店にいたんだよ。見事な撃退だったから、てっきり婦警さんか何かと思ってた。ここで会えるなんて、運命かな。」
破顔して、戸惑う郁の手を取った。
「あまり見かけないよな。まあ、俺自身配属されて日が浅いけどね。」
中林は肩を竦めた。 
このところ特別訓練が続いていた堂上班は館内業務は久し振りだったのだ。
「あ、あたしは──」
部署が違うことを伝えるところで、中林を待っていた他の女性館員が媚びるように呼びかけた。
「中林二正、行きましょうよ~。」
「ああ、直ぐ行くよ。君達も…。」
中林の誘いに柴崎は笑顔で返す。
「私達はまだ業務が残っていますので。」
「そうか、残念だな。またの機会を楽しみにしてるよ。」
中林も笑顔で答え、女性館員達と食事に出て行った。
柴崎はその集団を見送ると 郁に向き合った。
「笠原、あんたは中林二正に近付かない事ね。」
「?どうして?。」
柴崎は綺麗な眉間に皺を寄せる。
「……女の感、ね。軽い男はいけ好かないだけ。」
首を傾げる郁を尻目に思案する。面倒な事にならなきゃいいけど、とため息をついた。


堂上は 小牧と手塚と共に食堂にいた。郁は柴崎のところに寄るということで別行動だ。夜は堂上と出掛ける事が多い分、こうして昼間に女同士 何かと相談しているらしい。
「時々は笠原さんを返しておかないとね。柴崎さんの機嫌を損なう訳にはいかないから。」とは小牧の助言だ。確かに柴崎を敵に回したくない。郁の一番の理解者であり、協力者なのだから。
男3人で食事をとっていると、賑やかなグループが入って来た。女性に囲まれた男性が1人。その中心にいる男・中林二正を見て 堂上の表情が陰ったように手塚は見えた。同時に小牧も眉をひそめ、堂上をチラリと見た。
微妙に俯いた堂上に中林も気付き、女性達を制して近寄って来た。
「よお、堂上 久し振り。元気そうだな。──まだ図書隊にいたのか。どんな顔して特殊部隊に居座ってるのかと思ったら 相変わらず不景気な面だな。」
後半は堂上に身を寄せて囁くように。
「っおまえ!」
耳に入ったその言葉に 手塚は腰を浮かせた。
「若いね。部下かい?。君も堂上が上官だなんて気の毒に。」
見下すような中林の目に カッとなった手塚を横から小牧が押さえ込む。
「おお怖。さすが堂上の部下だな。直情径行は得策ではないよ。」
長身から斜に構える中林を堂上は一瞥すると、無言で席を立った。
「中林二正、どうされたんですか?」
女性館員の声に振り返った中林はにこやかに笑う。
「いや、知り合いでね。久し振りだから挨拶したんだ。」
打って変わった穏やかな表情の格差に手塚は目を見張った。笑顔を振りまく男の背を凝視し、小牧をうかがう。
「帰って来たんだ…。」
珍しく眉を顰める小牧の表情に、手塚は不安を募らせた。
22:18  |  図書戦  |  TB(0)  |  CM(3)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2013年09月17日(火) 22:57 |  | コメント編集

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 | 2013年09月18日(水) 18:09 |  | コメント編集

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 | 2013年09月20日(金) 11:28 |  | コメント編集

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