All archives    Admin

07月≪ 2020年08月 ≫09月

12345678910111213141516171819202122232425262728293031

2013'09.22 (Sun)

「光を拾って」3

三連休中日です。
昨日は釣りに付き合いました。…網持ちですね。
今日は公園です。私的にはわざわざ出掛けなくても と思うんですが、婆さんの手前放っておくと「可哀想」となるのでね。(出不精の母)
長女は部活三昧なので計画しなくてもいいのですが。長男は明日友達と2人で東京まで出掛けるそうです。彼は無目的に行動します。徐々に距離を伸ばして遂に大都会へ。ホント 何しに行くのかは不明です。

更新です。
話がポンポンとびますが、付いて来て下さると嬉しいです。頭の中では簡単な話だったのになあ、と。そろそろ堂上さん側書かないと とは思っているのですが、辿り着いていませんの。取り敢えずここまで。

↓こちらから どうぞ


【More】

「光を拾って」3


翌日の訓練。
グラウンド奥にある障害物を使った武装障害走。各隊員砂塵だらけになりながら汗を流す。
「キッツい。」
小休憩に郁はヘルメットを外して熱を逃がした。装備を着けたままの訓練は 真夏でなくても華奢な郁には特に負担だが、だからといって優遇されるはずもない。抗争は男女体格関係ないのだから。
頭から水をかぶった手塚がタオルでガシガシ拭き上げる。
「?堂上一正は…。」
各々水分をとったり腰を下ろして身体を休める中、堂上は黙々と走っていた。その姿を郁はヘルメットを胸に抱えてじっと見ている。
堂上は自分に厳しく 追い込むことで何かを消化するタイプ。他隊員達もそんな時の堂上には声を掛けることはない。言ったところで聴く筈もないからだ。
「笠原さん、コレ持って行ってあげるといいよ。水分はとっておかなきゃだからね。」
ニコリと笑って小牧が郁にペットボトルの水を渡した。
「はい。」
郁は受け取ると直ぐに堂上に駆け寄って行った。
郁に気付いた堂上が足を止める。受け取ったペットボトルを手にグラウンドの脇に寄って2人並んで腰を落とした。会話は聞こえないが 郁の髪についた芝でも払っているのだろう、そんな仕草の堂上は穏やかだ。
「あの状態の堂上を止められるのは笠原だけだな。」
「見せつけるねえ。」
「いい夫婦になるんじゃないか。」
特殊部隊きってのバカップルを暫し眺めて進藤が腰を上げた。
「よし、ちょっくらからかって来るか。」
賑やかで平和な訓練光景だった。


他図書基地からの異動ではあるが、幹部候補でもある中林は各会議の書記役を担う。元々2年半──2年は防衛部、半年は業務部 どちらにもここ関東基地で所属していただけに、社交的な中林は顔も広く、パイプもしっかりしている。
会議室を出たところで呼び止められた。
防衛部の三監で、中林が防衛部時代の上官だ。
「よう、よく戻ってきたな 中林。」
「はっ。お世話になります。」
中林は敬礼で応えた。
2人並んで廊下を歩く。
「向こうでも業務部でかなり頑張ったようだな。もう防衛部に戻る気はないのか?。まだ鍛えてるんだろ、いい体つきをしている。」
「いえ、業務部は奥が深いです。俺には合っていると思います…。」
「そうか。まあ 図書大卒はどちらにも長けているからな、お前くらい優秀ならどちらでも幹部候補になってただろうし。」
この三監には当時いろいろ相談に乗って貰っていた。顔に似合わず柔和な話し方をする男で、上官として慕っていた。
「──特殊部隊には入れませんでしたが。」
ついポツリと呟いた。
「なんだ、まだ拘ってたのか。小牧と堂上はまた別だ、選抜の理由はそれぞれある。実際2人の活躍は目覚ましい。お前 学生ん時は堂上とは親しかったって聞いたぞ。あいつの実力知ってるだろう。」
中林は口を噤んだ。当麻の事件は全国の図書隊でも注目された。堂上が大きく関わったのを聞いて悔しく思い、階級にも差が出たことに焦りを感じた。未だ堂上を意識し、拘っている自分がいる。どうしても適わないのか──あんな奴に。親しかったって?あんなの虚像だ。
「あいつも漸くまとまったからな。」
「まとまったって?」
「聞いてないのか?婚約したんだよ。なんと見計らいの時に助けた女の子だ。」
「!会えたんですか?」
「はは、彼女が追いかけて来たんだよ。王子様ってな。」
愉快そうに笑う三監とは逆に中林は眉間に皺を寄せて唇を噛む。
「本当に知らないのか。有名な話だぞ。堂上の顔も覚えてないままにここまで追いかけて来たんだ。」
中林は敢えて特殊部隊の話題は避けてきた。特に堂上の情報は耳に入る前にシャットアウトした。聞けば腹立たしい。それでも流れ聴いてしまうのは賛辞の噂。
「その彼女が 笠原さ。」
「え!?」



中林・堂上が図書大3年生の時だった。
都内の病院のロビーで 中林は意外な人物と遭遇した。堂上篤だ。
中林の8つ下の妹は病院に長く入院していた。その見舞いに訪れた際に見知った背中を見かけたのだ。
自分より随分背は低いが がっしりとした体つき。背筋の通った歩き姿は病気や怪我とは無縁に見える。思わず声をかけた。
「堂上?」
振り向いた相手はまさしく堂上。お互い連むことはなかったが顔くらいは知っている。俗に言う『目の上のたんこぶ』。それまで常にトップでやってきた中林にとって、どう頑張っても抜かせない存在だ。
「なんだ、どこか悪いのか?」
ここは気さくな中林、気軽に話しかけた。
「いや、母親がここに勤めている。ちょっと届け物をしただけだ。」
聞けば堂上の母親はこの病院の看護師だという。今日はたまたま家族に頼まれて顔を出しただけらしい。男の会話だ 細かいことは訊かないが。
「そうか。俺は妹の見舞いだ。長いことここに世話になってる。」
「妹?」
「ああ、昔から身体が弱くてさ。ここにいい医者がいるっていうんで 転院してきた。」
心臓外科の医師は有名だ。順番待ちはあるが、それでも縋りたかった。実家は名古屋だが、年の離れた妹を全力で守りたいと思って自分も東京まで出てきたのだ。
「そうか。──俺にも妹がいる。普段は面倒ばかり押し付ける小煩いだけの妹だが、病気となると心配は尽きないだろうな。妹さんの回復を願うよ。」
これも意外だった。中林は堂上のことをどちらかといえば我関せずの態度をとると思っていたが、仏頂面に似合わず案外いい奴かもしれない。
「良ければ会っていってくれないか?。なかなか知り合いを作れなくて寂しいみたいでさ。」
妹の気分転換にいいかもしれない。これまでも友人を紹介したことがあった。
しかしこれを後悔することになるとは この時の中林は思わなかった。
16:46  |  図書戦  |  TB(0)  |  CM(3)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
 | 2013年09月22日(日) 17:25 |  | コメント編集

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
 | 2013年09月22日(日) 19:21 |  | コメント編集

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
 | 2013年09月23日(月) 06:27 |  | コメント編集

コメントを投稿する


 管理者だけに表示  (非公開コメント投稿可能)

▲PageTop

Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://746754.blog.fc2.com/tb.php/372-1bdb81d0
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | BLOGTOP |