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2013'09.30 (Mon)

「光を拾って」5

日中は暑いくらいでした。只今代休のちびと公園に来ています。
昨日運動会だった学校が多かったからでしょうね、子供でいっぱいです。
なんで 勝手に遊ばせておいて、母ちゃんポチポチと更新準備です。
が、4時を過ぎると急に涼しくなって来ました。そろそろ帰りたいなあ。

更新です。もう今回途切れ途切れに書いてるってのもあって、場面コロコロの連載です。分かりにくいでしょうから、最後に通して読まないと分からないかも?というかそれでも分かりにくかったらすみません。予定ではあと2回。お付き合いしてもらえると嬉しいです。

↓こちらから どうぞ


【More】

「光を拾って」5


全館の照明を落としたカウンターの奥で 端末処理をしていた柴崎の横に中林が立った。今日は3日後に迫る子供用のイベント準備の為に 業務部数人が残業をしている。
柴崎が手を止めて見上げると中林はファイルを渡してきた。
「こちらも頼むよ。出たデータは俺の方に送ってくれるかな。」
「はい。」
柴崎が艶やかな笑みで対応した。中林は暫くその場に立っていた。
「?何か。」
小首を傾げた柴崎に肩をすくめ、中林は他の館員が離れて動いているのを確認しつつ 斜め後ろにある自席の椅子を引いて座った。
「笠原さんの事だけど。」
「笠原 ですか?」
「彼女、堂上とは──」
「婚約者同士です。」
「…そうか。」
遠い目をする中林に 柴崎はパソコンから目を離さずに言う。
「知らないふりをするのも大変ですよね。」
静かに柴崎の方に振り向いた。
「……ああ、君は──。」
多分 他の女性館員には見せない冷ややかな目。
「漸く実った恋なんです。もう邪魔はさせない。」
中林のもとに送られてきた添付ファイルは完璧なデータ処理をされたもの。
「早いね。」
「前もって準備していましたから。」
「流石だよ。……俺はあの2人を祝福するつもりはないね。」
中林はキーボードの上を滑らかに指を滑らせながら、仕事のついでのように宣言した。
「どんなに邪魔をしたって 出会うべき2人なら出会うし、結ばれるべき2人なら惹かれ合う。笠原見てたら運命とか あながちバカに出来ないものだと思いますよ。」
柴崎はパソコンの電源を落とした。
「冗談じゃない。そんな迷惑な運命なんて認めたくないね。」
中林はプリントアウトしたものをファイルに綴じて席を立つと そのままカウンターを抜けて出て行った。彼の目には何も映っていなかった。 
大きなため息を吐いて 柴崎は黒くなったパソコン画面を見詰めた。



中林は 地元名古屋では有名な進学校に通い、成績も優秀だった。
年の離れた妹と母子家庭。生まれつき心臓に問題のある妹は入退院を繰り返し、母は働き詰めだった。
図書大を選んだのは 確実な就職と奨学金制度。東京で妹の治療を受けさせる為に 上京する事を決めた。
入学時に親身になってくれた稲嶺司令の期待に応えるべく、あらゆる項目でトップに立つ──立てる自信とプライドがあった。その条件で親類からは借金もした。
しかし蓋を開ければトップには必ず別の名が上がっている。
足掻いても足掻いても届かない 適わない。こんな奴らがいるのかと嫉妬する。
しかし甘んじるわけにはいかない。妹を守る為にももっと高見に上らなければ。一般図書隊員を目指すだけではないのだから。

そんな中林の妬みの対象である1人が堂上だ。ひょんなことから接点を持ったが、その場限りのつもりだった。しかし特段愛想もよくない ひょうきんでもない堂上に、妹の恵美が懐いていく。恵美のリクエストもあって 数度堂上を誘って見舞いに訪れた。
1度は堂上単独で病室に入るところを見掛けた。その時覗き見た恵美の輝くような表情は、これまで見たことがなかったものだ。
幼いながらも抱いている恋心を見た気がした。中林は複雑な心境だった。



堂上はベンチの背にもたれて 中林とその妹との出合いを話した。
「仲のよい兄妹だったんですね。中林二正と恵美ちゃんって妹さん。」
郁は堂上の話を静かに聞いていた。
「でも、許さない なんてどうして言うんでしょう?」
郁に放った中林の言葉にはトゲがあった。
仏頂面だけど 接してみれば少女には堂上の優しさは伝わるものだ。恵美が憧れの対象として堂上を慕ったとしても不思議はない。郁の入隊時は小牧と毬江を「あり得ない」と言い切っていただけに、そんな幼い想いに気付くような機微は堂上が持ち合わせていなかっただろうと 容易に想像はつくが。
「何かあったんですか?」
先を促す郁の言葉に、暫しの戸惑い。
堂上は郁の頭に手を乗せた。
「図書大を卒業して俺達は防衛部に入隊した。その1年目、共に茨城に研修に出たんだ。」
「え?茨城 ですか!?」
郁は目を見張った。

「そこからは俺の方から話そうか?」
公園の入口に立っていたのは中林だった。


16:38  |  図書戦  |  TB(0)  |  CM(3)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2013年09月30日(月) 20:10 |  | コメント編集

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 | 2013年09月30日(月) 20:51 |  | コメント編集

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 | 2013年09月30日(月) 21:26 |  | コメント編集

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