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2013'10.03 (Thu)

「光を拾って」6

おお、思いっ切り寝落ちしていた英香です。時計見てびっくりしました。いかん、布団とちびの温もりは凶器だわ。
さて、どこを歩いても金木犀の香りが。確実に季節が廻っていますね。

慌てて更新です。朝まで待てばいいのに、出来るだけ昨日に近い更新にしたくて。
というのも、次回更新は10/4に間に合わせたいのです。はい、メインは見計らいの日 だったんですね。因みに去年の記念SSもどき  「憧れの恋」  にも次回かかってきますので、宜しければチラッと覗いておいてみてもいいかも──なんて、面倒くさい企画です。ちんたら小出ししてたのは半分日にち合わせだったんですね。ほら、自己満足なブログなのでご容赦を(>_<)ゞ。

改めて 更新です。次回で終わりたい。視点が定まっていないので同じような場面や説明が多いです。しかも前回と同じような引きで…。ま、いいか。すみません。夜中だからか言い訳が多いわ←関係ない。

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【More】

 「光を拾って」6


残業を終えた中林はコンビニに足を運んだ。
弁当とスープ代わりのカップラーメン、寝る前のビール。そしてコンビニに寄る度に手に取るのはチロルチョコレート1つ。
恵美の見舞いに行った時は 必ず渡していた。中でもきな粉餅のチョコレートがお気に入りだったな、と思い出す。レジを通って夜道を歩いた。
元々見慣れた景色だ。5・6年離れていたからって変わる景色でもない。ぶらぶら歩きながら寮に向かった。月の明るい夜だ。風は冷たい。
ふと公園に目を向けると見知った顔があった。
堂上篤と笠原郁。
どんなに努力しようが追いつけなかった男と、たまたま威勢のいい場面に出くわし 気になった女。
結局堂上と小牧に適うことなく卒業した。それぞれタイプも違うし 馴れ合う必要はなかったから存分に敵視した挙げ句、相手にもされないという屈辱を味わった。
但 在学後半に 堂上には妹の恵美の見舞いに何度か行って貰うことはあった。
堂上の何が気に入ったのか、今日は一緒じゃないのか 次はいつ来るのか、恵美は無邪気にきいてくる。中学生に有りがちな大人の男に憧れている──兄としては複雑だったが、単なる麻疹のようなもの、そんなこともあるか と理解はしていた。直ぐに熱も冷める。堂上の態度もあくまで「友人の妹」としての枠から出ていなかった。
ただ 面白くはない。
何かと邪魔な存在だった堂上を褒め称える恵美の笑顔が。
勉強を教えてもらった?。そんなのは兄ちゃんが教えてやる。
本を紹介してもらった?。毎日でも兄ちゃんが届けるさ。
安っぽい嫉妬を覚えた。納得出来ないヤキモチに思い至ると腹が立った。今まで親代わりとして大切にしてきた妹を 寄りによって気に入らない男にかっさらわれた気分がした。
その恵美の笑顔と同じ表情をする女。
自分の周りに集まる女は 媚びを売ることしかしないつまらない人種が多かった。何かと助けを求め かつ報酬を求める。しかしレストランで初めて見かけた郁は違った。真っ直ぐに相手と対峙し、自信に溢れた目は相手を射抜く。かといって女友達との会話の表情は可愛らしく いろんな側面を持ち合わせているのが窺われて一目で惹かれていた。
その笠原郁が、あの茨城で堂上が見計らいを行使し助けた女子高生で、今や再会を果たし 婚約までしているとは。

堂上達の会話が聞こえてきた。すっ と息を吸い込む。

「そこからは俺の方から話そうか?」



防衛部1年目の外部研修で 中林は茨城市立図書館に配属され、メンバーには堂上もいた。
実はその半年前から恵美の具合が悪化し、面会は家族だけという制限がかかっており、以降恵美に堂上を会わせていない。直前に窓からたまたま見えた堂上を追って走ったのがきっかけだ。理不尽とは分かっていたが、堂上には2度と恵美に近付くなと言い放った。以来堂上とは口をきいていなかった。
会ってやってくれと頼んだのも自分だし 来るなと言うのも自分。堂上は何も言わないが随分勝手だとは思う。しかし恵美に良かれと思う事には中林は容赦しなかった。
この研修中に 中林の元に1本の電話が入った。病院からだ。恵美の手術が決まったのだと。但し 成功率は高くはない。それでも一縷の望みに託すしかなかった。
公休を使って恵美の元へ駆けつけると、力のない笑顔を見せてくれた。いつになく気分が良いのかポツリポツリと言葉を紡ぐ。
ここでも堂上の名前が出た。半年も顔を出さない男の話。
「会いたいのか?」と訊けば静かな笑みで返された。
堂上が見舞いに来ていた時 どんな話をしていたかは分からない。恵美が恋をしているのかも──ただ堂上と会えばいい笑顔を見せてくれていたのは確かだ。


「手術に必要なのは 気力と体力だ。恵美に堂上を会わせてやることはプラスになると思ったよ。」
中林は街灯に背を預けて話した。
「近付くなと言った手前、頭を下げるつもりで茨城の寮に着くと、慌ただしい雰囲気だった。何事かと適当に人を捕まえて訊けば、堂上が独断で見計らいを行使したんだと。」
郁は堂上の横顔を見た。
地元の書店で良化特務機関の検閲にでくわし 堂上と出会った、あの日だ。
「堂上は強制的に研修を終了し、基地に戻って査問会に呼ばれることになった。見計らいを勝手に行使すればどうなるか、おまえが分からなかった訳ではないだろう?」
「…ああ。」
堂上が口を開いた。
「俺はその日に堂上に連絡を入れていた。恵美の手術が決まったのだと。」
中林の目に怒りの色が入った。
「行政派としてはかっこうの攻撃の的だ。暫くの間外出禁止も言い渡された。結果 恵美ちゃんの手術には到底間に合わなかった。約束してたのにな。手術の時は応援に行くって。」
そう言うと、堂上は自分の足元を見詰めた。
短絡的な行動を取った。しかし動かずにはいられなかったのだ。恵美との約束に思い至れなかった。

そこまで話すと中林は郁の方を向いた。郁は、自分と堂上との出会いの影で恵美の約束が果たされなかった事に心を痛めていた。
「笠原さんはあの後いろいろ問い合わせをしていたね。」
話をふられて郁は顔を上げた。
後日書店の店長に訊いたが分からないと返された。市立図書館にも出向いたが 守秘義務があるとかで教えて貰えなかった。ただ地元図書隊員ではないというだけ。

てか、何であたしが問い合わせしてた事知ってるの?

「情報をシャットアウトしていたのは俺だからね。」
その言葉に堂上も顔を上げた。
「何の話だ?」
「はは、あんな大騒ぎになったんだ。守秘義務云々よりも噂を探れば本人に辿り着く。そうならないように仕向けたんだ。勿論堂上にも 捜されてるなんて伝わらないようにね。」
中林は可笑しそうに笑う。
「助けて貰った女子高生がお礼を言いたいそうです、なんてちゃんちゃら可笑しいね。原則派の立場を危うくした考えなしの男は図書隊員として失格だ。恵美との約束を守れないような男に会わせてたまるか。ましてや礼だなんて──言われるような男じゃない!」

「でも追いかけて来ちゃったんですよ、その娘は。」

柴崎の声がした。
先ほどまで中林が立っていた公園の入口には柴崎と小牧が立っていた。
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 | 2013年10月03日(木) 06:18 |  | コメント編集

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 | 2013年10月03日(木) 10:05 |  | コメント編集

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 | 2013年10月04日(金) 13:35 |  | コメント編集

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