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2013'10.20 (Sun)

「堂上郁」(フリー配布)

こんばんは、すっかり乗り遅れた英香です。
1日車のハンドルを握る事が多くて 準備が遅れました。出来れば早めに とは思ったものの、こんな時間。
昨日はいろんなサイトで素敵な作品が読めて幸せでした。で、我が家は1日ずれております(;^_^A。もうね、関係なくスルーでもって感じですが、題名からして意識バリバリですので まあ 暖かくお見守り下さると有難いです。
フリー配布とか?は、やった事無いし 需要は分かりませんが、右に習えということで。可愛がって頂ければ一言お声掛けをお願いします(/ω\*)。何時でもどうぞ。
更新です。なんと新婚さんです。で、堂上さんの「篤」表記に妙に違和感なんですが(〃ω〃)。記念日だからいいか。

↓こちらから どうぞ。


【More】

「堂上郁」


総務部に呼び出された郁は封筒を手渡された。
郁はその場で封を開けて覗いて見た。途端 真っ赤になる。
「ふふ、おめでと。」
ニッコリ微笑まれて更に茹だる。
郁は声も出ずにこくこく頷くと、封筒を抱えて廊下に出た。暫くその場に立ち尽くす。
「どうした 笠原。」
数人に声を掛けられ漸く我に返る。
「ハッ、な なんでもありません!」
郁は足早にロッカールームに飛び込んだ。
後ろ手にドアを閉めると 抱き締めていた封筒をじっと見る。
中に入っているのは──「堂上郁」と表記されたネームプレートが数種類。

手続き上 少し早目に籍を入れた。空きが出た官舎には先に堂上が引っ越し、結婚式は目前に迫っている。
同じ職場 しかも同じ班に2人堂上がいては呼び分けに不便とのことで、非公式には旧姓で呼ぶことになりそうだ。実際照れもあり、笠原と呼ばれる方が気が楽だ。
しかしこうして「堂上」のプレートを手にしてみると その重みと実感がじわじわと湧いてくる。
郁はキョロキョロと見回した。無論ここは郁専用ロッカールーム。誰もいない。
自分のロッカーの前に佇み凝視する。扉には「笠原郁」のネームプレート。──ゴクリと唾を飲み込むと 震える手で付け替えた。「堂上郁」のネームプレートに。
ひゃー。
正視できない。郁は暫く1人悶えていた。

式も無事終え 官舎から夫婦で出勤する。
今日は館内業務の日。スーツのポケットに「堂上」の名札。出勤前の身だしなみチェックに玄関脇の鏡を見ると 名札も視界に入る。思わず頬を緩ますと、夫となった篤がポンと頭に手を置いた。
「行くぞ。」
官舎では篤の声は甘い。軽く唇を合わせると玄関を開けて揃って外に出た。


結婚したとはいえ業務は変わりなく、訓練・警備・館内 書庫業務に明け暮れる。
「笠原、そこの書類取ってくれ。」
「リクエスト検索頼むぞ 笠原。」
「笠原、あっちの棚を動かして。」
「はい!。」
公式には「堂上三正」だが他部署の下士官以外は皆 違和感の無い「笠原」のままだ。
事務室に戻り 席に着く。
「…郁。」
提出した書類を篤が郁に差し戻した。署名欄をトントンとさり気なく指で叩く。
「あ…。」
こうして時折書類署名に自ら笠原と書いては篤に指摘される以外は普段通り──。


「堂上班、ちょっと入れ。」
玄田が事務室に向かって声を掛けた。
来月に行われるイベント警備に関する打ち合わせだ。隊長室のテーブルに広げられた見取り図を指さしながら煮詰めていく。他班のシフト表と照らし合わせているのは割り振りに長けている篤だ。小牧を中心に手塚と郁で細かい警備配置の意見を出し合っていた。
そこへ緒形と進藤がドアを開けて入ってきた。
「おい、堂上。」
「「はい。」」
篤と郁が同時に振り返る。
「………」
一同 郁を見た。
「あ、ま 間違えましたっ。」
郁は真っ赤になって首を竦めた。
「いや、間違ってない──。」
篤はそう言うと口元を左手で覆った。ほんのりと耳が赤い。
「うわー、なんか初々しいもん見た。」
進藤がニヤニヤと顎をさする。緒形も穏やかな笑みを浮かべている。
「たまんないね、堂上。」
ニヤけた顔を必死に立て直そうとしている篤の肩に手を置いて、小牧も遠慮なく腹を抱えた。
「よーしよし、立派な嫁になったな。」
玄田はドギマギしている郁の頭をガシガシと掻き混ぜる。
「まだ先の話になるが、手塚と笠原に来年度の錬成教官の打診があった。一応前向きに検討すると返事をしておいたぞ。」
「え?俺達がですか?」
「今年度も特殊部隊には新規隊員が入らなかったからな。班編成の変更もないし、かと言っていつまでも下っ端じゃ指導経験を積む場がないしな。」
手塚と郁は顔を見合わせた。
「しかしいきなり教官役は…。」
戸惑いを見せる手塚に小牧は笑顔を向けた。
「十分務まると思うから話が回ってきたんだよ。実際手塚の座学知識は教官レベルだしね。笠原さんにも女性教官の役目が期待されてるよ。」
小牧の話に郁は目を見張り、篤の顔を伺った。
「…知ってた?」
初めて聞いた話だ。
「そう判断したから隊長に一任した。」
顔色の戻った篤がしっかりと頷く。──郁の背筋は自然と伸びる。
「順調にいけば来春には 2代目『堂上教官』の誕生だな。」
緒形の言葉にドキリとした。
長年呼びなれた呼称を自分に向けられるのか。
あたしにそんな資格があるの?。務まるの?。篤さんに恥かかせないでやれる?。
でも 少しは認めてもらえているらしい。あの背中を追いかけてきた事を。
「──うれし。」
ポツリと零した言葉と共に 溢れる笑顔はその場の者を魅了する。
「…お前、恥ずかしいな。」
「え?何がよ!失礼なっ。」
意味がわからず手塚に噛み付く郁を横目に 小牧は篤に耳打ちをした。
「こりゃ いろんな意味で心配事が増えるね、ご主人さん。」
篤の眉間の皺が深くなる。コイツを若い狼の群れに放り込むのかと思うと面白くはない。旦那としては。
「ま、お前の場合は問題山積みだけどな。精進しろよ。」
篤の手が郁の頭に乗る。
「む、分かってる。でもいいお手本が目の前にいるからさ。」
可愛いことを言ってくれるが、ちょっと待て。郁にとっての錬成教官といえば…。

翌春 鬼軍曹の怒号が響く。篤はこっそりグラウンドの新人達に手を合わせた。



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 | 2013年10月20日(日) 22:02 |  | コメント編集

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 | 2013年10月20日(日) 23:24 |  | コメント編集

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