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2013'11.03 (Sun)

「誓いの道は」7(リク8)

3連休だそうで。──また?
しかし月のモノで沈んでいます。頭痛にくる英香です。
更新します。続きの茨城編です。真面目に進めたら どこんちとも似たり寄ったりかも、って内容です。
自分の時は…結納の時とごっちゃに記憶されていて(--;)。
連休は仕事が入ったので、多分次の更新は休み明けてからです。

↓こちらからどうぞ

【More】

「誓いの道は」7(リク8)


タクシーは街を離れて閑静な住宅街へ。途中までは県展で辿った大通りだった。
郁が実家に帰るのは5年ぶりだ。
タクシーの中 郁の手を包む堂上の手に力が入る。
「緊張、してます?」
郁の質問に堂上は苦笑いだ。
「当たり前だろが。俺を何だと思ってる。普通緊張するもんだろが。」
眉間にシワを寄せる堂上に郁はくすりと笑う。
「──篤さんのご両親は…。」
「こっちは問題ない。そのつもりだったらしいからな。まずは茨城でしっかり挨拶してから改めて顔を出せだと。」
「す、すみません。うち、面倒で。」
「何言ってる、今更だろ。何度でも頭を下げるし いくらでも時間をかけるさ。納得…は難しいかもしれんが承諾を得んことには進まんからな。」
ポンと郁の手の上で弾ませるとタクシーは一軒の家の前で止まった。

インターホンを押すと父の声が聞こえて玄関が開けられる。
「お帰り 郁。堂上くん、よく来たね。」
父 克宏が2人を招き入れ、堂上は軽く挨拶をして玄関に入った。
久しぶりの実家の空気だ。綺麗好きな母により スッキリと片付いている玄関は、4人の子供たちがいた時もそうだった。
郁も靴を脱いで上がると 克宏の後ろで硬い表情をしている母 寿子と目が合った。
「あ…」
ただいま、と声を掛けようとしたが すっと寿子の目が逸らされた。
まだ 駄目なのか。
郁の不安が掻き立てられた。

居間に通され ソファーに座るよう促される。
「本日は急にお時間を作って頂き 有難うございます。」
堂上は礼をして用意していた手土産を渡し、克宏を前にして腰を下ろした。郁も隣に座る。
「いや、遠いところをよくおみえになった。図書隊は今お忙しいでしょうに。」
暫く言葉を交わしていると、寿子がお茶をいれて入ってきた。
「…どうぞ。」
ローテーブルにそれぞれ湯呑を置くと トレイを脇に寄せて克宏の隣に座った。
堂上はそれを見届けると居住まいを正し、意を決して切り出した。
「本日私は郁さんの上司としてではなく、堂上篤一個人として ご両親にご報告とお願いがあって参りました。」
寿子の肩が大きく揺れたのが分かった。
「郁さんとはプライベートで良いお付き合いをさせて頂いてきました。先日結婚を申し込み、受け入れてもらいました。」
提案と、つい先ほどプロポーズを追加したのだが。
「その上で、本日ご両親にその報告と、結婚の承諾を頂きたいと思い お邪魔しました。どうぞ、2人の結婚を認めていただけませんか。」
堂上が頭を下げると 慌てて郁もならった。
返答がない。
堂上の背中に汗がつたわる。
頭を下げたままの沈黙の中、スヌーズの時計の針の音が聞こえるようだった。

「いいんじゃないかな。」
「は?」
克宏の言葉に間の抜けた声を出した堂上が口元を覆う。いや、声を出したのは郁だった。こちらは口を開けたまま父を凝視している。
「娘を宜しくお願いします。」
頭を下げる克宏に 堂上は慌てて改めて頭を下げ直す。
正直拍子抜けした。半分信じられない面持ちで郁と顔を見合わせた。
具体的な話に入って それまで黙っていた寿子が口を開いた。
「私は反対だわ。」
「母さん。」
克宏は妻を諌めたが、寿子は構わず続ける。
「図書隊を続けたままで結婚するつもりなの?。職業としてどんなに立派でも、家庭を持った女性がいるべき場所ではないでしょ。」
ああ、まだこの人はこんな事言うのか。郁は拳に力が入った。
克宏は2年をかけて 妻に図書隊の理念を説明し、娘への理解を促した。寿子は娘に自分のエゴを押し付けない努力をするようになった。
それでももたげる娘への過度の圧迫。
微かに期待していたのだ。結婚を期に家庭に入ることを。そしてその世界から離れることを。
郁は仕事を続けるという。しかも相手が戦闘職種ならば その世界から引き離せない。
「堂上さんは平気なんですか?。愛する人が危険な場所に立つことが。連れて行けるんですか?。命を落とすかもしれないのに。」
寿子は顔を両手で覆う。
「あなたがこの子をおいていってしまうかもしれないのに。」
「お母さん!」
「あなたをおいていってしまうことだって──」
「お母さん!!」
郁の腰が浮いた。

「承知の上です。」

ヒステリックな寿子の前で 堂上は落ち着いた声で答えた。
「実際 妻と子を遺して逝った隊員もいます。」
「ひっ」
「教官!?」
何も今言わなくても、郁は堂上を縋るように見詰めた。克宏は口を挟まない。
「私たちは図書を守る為に銃を取り戦っています。それは事実で、そんな世界に身を置いています。…私も 郁さんをこの世界から遠ざけようと考えた時期がありました。」
「え?」
郁は驚いた。何の話?。
「じゃあ 丁度いいじゃないの。あなたからもせめて郁に家庭に入るように──」
「しかしいくら扱いてもへこたれない、どこまでも食らいついてくる。かなりの根性の持ち主でした。自身で選んだ道です。ならばと彼女を鍛え抜いたのは私です。戦うためだけでなく命を守る訓練をしています。そして今、特殊部隊になくてはならない存在です。」
郁の手を握る。
「私の人生にもなくてはならない存在です。どんな光景でも最後まで一緒に見ると言ってくれました。私もそうありたい。そう誓います。」
「あたしは篤さんとこれからも共に守っていきたいの。待ってるだけだなんて耐えられない。それがあたしなの。」
堂上と郁の真摯な目は 寿子から外されない。
「──分かりました。あなたを信じるしかないのですね。」
寿子は頭を垂れた。
「郁は素晴らしい人の元にいくんだよ。彼らの覚悟はこの目で見た。堂上くんなら郁を幸せにしてくれるさ。」
県展で身を呈して郁を守った彼なら。
「近い将来 抗争における火気の使用を禁止する法が整備されます。ご心配には変わりありませんが、これからは格段に危険性は低くなるでしょう。」
これは気休めだろうか。

「──郁、あなたの好きだったものを作ったの。食べていって。」
寿子はトレイを持って台所に下がった。心落ち着かせる時間が必要か。
父が長い時間をかけて説得していたのだろう。決して納得している雰囲気ではないが、承諾は得られた。理解は徐々に得られればいい。
克宏と堂上がスケジュール帳を突き合わせながら話しているのを 郁はぼーと眺めていた。
暫くして運ばれてきたのは、紅茶と寿子手作りのアップルパイ。
「わあ、懐かしい。」
子供の頃、休日によく焼いてくれていた特製アップルパイの香りが部屋に満ちた。
「これは美味しそうですね。」
堂上はその芳ばしく焼けたパイに破顔した。
母のアップルパイはゴロゴロと贅沢にリンゴを入れたボリュームあるパイだ。途端に郁のお腹が空腹を訴える。食事が喉を通らないからと ほとんど何も食べていないのだ。
「いただきます。」
口に広がる甘酸っぱい風味。変わらぬ母の味。愛情いっぱいなアップルパイ。
「お母さん。」
郁はフォークを置いた。
「あたしね、リンゴの皮むきは同室の友達に合格点をもらえるようになったの。あたしにもコレ、焼けるようになると思う?」
寿子は郁を正面から見た。今日 初めてかもしれない。寿子から郁の目を見たのは。
「教えてもらえる?」
「もちろんよ。」
寿子の胸はいっぱいになった。
「郁、その紙袋は?」
克宏は郁の横に置いてある紙袋を指さした。
「あ、コレは来る途中汚しちゃった服で…」
オフホワイトのフレアスーツ。
「貸してみなさい。」
寿子はスーツを手に取り検分する。
「このくらいの汚れはね──」
手際よく汚れを払い 染みを抜く。
「流石 主婦。」
「あなたもなるのよ。──郁、着て見せてくれる?」

着替えた郁は 見違えるように美しく。
「女の子らしくなるには 母さんなんかより必要な人がいたのね。心配しなくても もう十分女の子なのね。」
戦闘職種だろうが ズボンだろうが、今の郁はどこから見ても女の子だ。堂上の隣に立つ郁は穏やかで幸せそうに笑っている。オフホワイトのウエディングドレスを身にまとって。
「堂上さん、郁を幸せにしてあげて下さい。愛してあげて下さい。私たちの分まで。」
「十分愛されてますよ。ご両親の愛情でいっぱいだ。」
有難うございました、と2人挨拶をして帰路についた。


「ホッとしました。」
帰りの電車の中、郁は座席に身を沈ませていた。
「親父さん、相当説得してくれてたんだろうな。」
多くを語らなかったが、父として娘を嫁に出すことに複雑な想いがあるだろうに。母との確執を大きくしてしまった贖罪もあるかもしれない。
でも。多分 堂上の人柄を見抜き信じてくれていたのだ。ずっと以前から。
「郁。」
堂上は膝の上にのっていた郁の左手をとった。
「受け取ってくれるか。」
差し出されたのは小さな小箱。
「晴れて公認の婚約者だ。」
薬指に光る 2人で選んだ婚約指輪。

繋がれた手はこの先も永遠に。


===========


で、何を忘れたのかといえば、婚約指輪を渡すシチュエーションだったのです。
私は婚約指輪は要らないよって断ったのでもらわなかったんですよ。装飾品には興味ないから勿体無いって。
もう 多分思い出さないかも。で、さらりと渡しちゃいました。
さて、残った有休どうしましょう。忙しい職場に戻ろうか。でもこの人達、有休消化してるんでしょうか。労働基準法に引っかからないようにね〜。
ちなみにアップルパイは我が家の夜食用によく登場します。勿論冷凍パイシート使用。リンゴオンリーのシンプルパイが好きです。
10:02  |  図書戦  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2013年11月03日(日) 11:57 |  | コメント編集

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 | 2013年11月04日(月) 08:33 |  | コメント編集

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