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2013'11.10 (Sun)

「伝家の宝刀」(リク29)※誓いの道は8前編

このところ3日に1度の更新が定着しそうな英香です。
目がね、ちょっとしんどくなるんですよ。休み休みポチポチやってます。

更新です。内容的には「誓いの道は 7」の続きですが、リクエスト作品です。102「予感」も踏まえる 毎度独自脳内ワールドで申し訳ないですf^^*)。お付き合い下さると嬉しいです。

↓こちらから どうぞ

【More】

「伝家の宝刀」(リク29)※誓いの道は8前編



水戸から上野駅に降り立ったところで郁の携帯に着信があった。
「あれ、大兄だ。」
喧騒から離れてホームの端による。
『よう 郁、婚約おめでとう。』
第一声で祝われた。克宏から連絡がいったのだろう。
「へへ、ありがとう。」
『郁が結婚だとはな。どうだ、みんなで飲まないか?』
「みんなって?」
『兄弟みんなと 彼 堂上君とだよ。』
郁はつと堂上を見た。
「でもあたし達もう東京に戻ってきちゃったよ。」
『大丈夫。それぞれ仕事で東京に近いところに出てるらしいし。俺今千葉にいるからさ、アイツらも夕方には落ち合えるってよ。』
もう話がついているらしい。郁は堂上に経緯を説明する。
「元々明日は有給を貰ってるんだ、いいんじゃないか?挨拶も必要だし、ご足労願えるなんて申し訳ないくらいだ。」
両親への挨拶が済んだところだ。1日で郁の家族全員への面通しが出来れば話が早い。
「あ、じゃあ19時に。うん、店は中兄が知ってる。じゃあ。」
通話を終えると 郁は大きく息を吐いた。
「兄達は揃って落ち合ってから来るそうです。以前 中兄と食事した店でよかったですか?」
半年ほど前 真ん中の兄が訪ねて来た際に、半分上官として飲みに出た。その時は中途半端な話しかできなかったが、今日は正式に婚約者として挨拶することになる。
「ああ、じゃあ近くにホテルの予約を取ろうか。外泊届けも出してあることだし、ゆっくりしよう。」


先にチェックインを済ませ 荷物を置く。
部屋に入るとどちらともなくキスをした。
ベッドに並んで座ると 堂上は郁の左手を取った。薬指にはささやかな婚約指輪。結婚を提案した日に2人で選んだ指輪だ。
はめる機会がないからと高価な物を辞退した郁が 吸い寄せられるように目に付いた指輪は、郁の華奢な指に映えるデザインだった。まるではじめからそこに収まっていたかのように しっくり馴染んで見える指輪に言葉はいらなかった。
「似合ってる…」
そのまま押し倒そうと体重をかけてきた堂上を 郁は辛うじて押しとどめる。
「ちょ、あ 篤さんっ、時間!」
ベッドサイドの時計を指差されて堂上の眉間に皺が寄った。
「ちょっとだけ。」
構わず進めようとする堂上に、ちょっとなはずがないでしょう、と 郁がググッと押し返せば、仕方なく身を起こす。
「む、じゃ 後でな。覚悟しとけよ。」
酒は程々にしとけよ、と額にキスを落とす堂上の いつもより熱い吐息にドキリとさせられて、郁は真っ赤な顔を隠すように枕を押し付けた。


店に着くと予約された部屋に通され、程なく兄達も店内に入ってきた。
「大兄ちゃん!」
最初に顔を出した大兄に 郁は笑顔を見せた。
4人の兄弟が一同に集まるのは、郁が最後に実家に帰った6年前以来だという。
覚悟はしていたが、皆デカい。普段ガタイのいい特殊部隊の猛者どもに囲まれてはいるが、あらぬプレッシャーが掛かるのは 郁の身内だというオプションか。
「初めまして。堂上篤と申します。この度郁さんと婚約致しました。宜しくお願いします。」
堂上とともに郁も頭を下げる。両親の時よりは幾分肩の力を抜いて 照れるように。
「こちらこそ。今日は会えて嬉しいよ。」
それぞれが軽く自己紹介をして宴が始まる。
「俺は先に一緒に飲んでるんだよね。」
こうなる予感がバリバリだったよ、と中兄が自慢気に笑うと、最近知らされたと小兄は少々不貞腐れた。
「こんな規格外の妹を嫁さんにしてくれるなんてどんな男かと思ったら えらく真面目なんだな。」
気付けば郁の酒の世話をしている堂上に中兄からツッコミが入る。
「特殊部隊の班長だなんて頼もしい。」
「親父のお墨付きで あのお袋が折れたんだ、文句はない。大変だったろ?」
総じて気持ちよく迎え入れてもらえたようで、堂上は安堵した。
「篤君、でいいかな?」
「はい。」
酒もすすみ、程よく打ち解けてきた。長兄である大兄が 改まって堂上に向き合うと、堂上も背筋を伸ばした。
「ご存知の通り 少々お転婆が過ぎる妹だけど、俺達の可愛い末っ子だ。どうか幸せにな。」
「勿論です。」
「ガキの頃は取っ組み合いのケンカしてた妹も嫁に行くのかと思うと 感慨深いよ。兄貴としては複雑な感じだな。」
小兄は年が近い分 何かと接触が多かったのだろう。昔を思い出す遠い目をする。
「自分にも妹がいますので お気持ちはわかります。」
あの静かでない静佳も 近い将来そんな話が出るんだろう。あんな破天荒な妹でも 兄貴として幸せを願うのだ。
「お、妹いるんだ。やっぱり兄妹ゲンカの締めは投げっぱなしジャーマン?」
「いえ、ウチはそういうのは… 」
一般的にはやらない。
「笠原兄妹 伝家の宝刀 投げっぱなしジャーマンはな、」
語り出した大兄に郁は喰ってかかる。
「ちょ、変な話しないでよ。」
「まあまあ、必須だろ。」
中兄と小兄も教示に加わる。
少々酔いの回ってきた堂上もフムフムと聞き入り すっかり打ち解けたのだった。


今日中に帰らなくてはならないとの事で 兄達を駅まで見送ることにした。堂上に酒をセーブされていた郁の足取りはしっかりしている。
「じゃ、日取りが決まったら連絡くれな。」
「篤君、郁を宜しくな。」
「また飲もうな。」
久しぶりの兄妹の集いは、和気あいあいとした婚約祝いで 終始賑やかだった。
改札を抜けて手を振る兄達を見届けて 2人手を繋ぐ。
「いいお兄さん達だな。」
「はい。昔と変わらない…」
脳裏に浮かぶのは4人で過ごした幼き日々。大概がやんちゃなエピソードだが。
「いい1日だったよ。」
そう遠くないホテルまでの道のりを寄り添って歩く。晴れて婚約者として郁の家族に認められたのだ。
郁を幸せに、2人で歩む人生に責任を感じつつ この笑顔を守りたいと強く願う。

ホテルの部屋の鍵を開ける。カードキーを差し込めば 室内の照明がほのかに灯る。
上着をハンガーに掛けてクローゼットの中に吊るし、郁はベッドに近い窓に寄り 夜景を眺める。
何年も帰っていなかった実家の空気は 思ったほど辛くなかった。父母の理解と堂上の支えに感謝だ。
郁の後ろから堂上の腕が回されてきた。首筋に柔らかくキスを落とされた。街はクリスマス仕様のネオンに彩られている。上から見下ろす夜景は宝石を散りばめたように輝いていた。
「篤さん、今日は…」
有難うございます、と呟くところで 腰に回された堂上の腕が ガッチリ組まれた。
次の瞬間 郁はぐんと浮遊感と世界の逆転を感じて、気付けばベッドに放り出されていた。
「ぎゃっ」
到底色気のない声が絞り出される。
久しぶりに味わう 投げっぱなしジャーマンだ。暫しボーゼンとなる。
「成程、コレは爽快だ。」
仰向けになった郁の上に ドサリと堂上が覆い被さってきた。
「ちょっ、教官!?」
半ばパニックの郁がもがいていると、やがて耳に入ってきたのはスースーという息の音。そっと覗けば 気持ち良さそうに目を閉じている堂上の顔が。眉間の皺はない。
「…寝てる?」
ぐいっと郁自身を下から引き抜くが、正体無く眠っている堂上はそのまま寝息をたてている。
酔っていたのだ。3人分の酌を受け、3人がかりで教示された投げっぱなしジャーマンを試すほどに。
「ん、もうっ」
ぽすん と枕を堂上に喰らわす。
ん、と 身じろぐ堂上の頭を、いつも自分がされるように撫でる。
「お疲れ様でした。有難うございます。」
このままではスーツが皺になる。できる限り脱がしてシーツをかけると、自分も休む支度をして ちょっと悩んでから堂上の横に滑り込む。
「おやすみなさい。」
長い1日が終わる。
郁は堂上の髪にキスを落とすと この先も追いかけると誓った背中に頬を寄せて目を閉じた。


===============


リクエストは モカさんより
「篤さんが郁ちゃんのお兄ちゃん'sと対面からの
投げっぱなしジャーマンの話を聞く」
でした。
原作キャラなので 敢えて名前はつけませんでした。大中小でお届けします。
たくさん話題があったでしょうが、終わらないので短く畳ませてもらいました。
投げっぱなしジャーマンはしっかり受け継がねばね(o^^o)♪。
モカさん、大変お待たせしてました。楽しいリクエストを有難うございました(≧∇≦)/。
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 | 2013年11月10日(日) 10:36 |  | コメント編集

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 | 2013年11月12日(火) 19:37 |  | コメント編集

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 | 2013年11月13日(水) 14:31 |  | コメント編集

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