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2013'11.14 (Thu)

「0に戻す」(リク30)

ご無沙汰しちゃいました。
婆さん入院したんでバタバタしてました。ちょっと急だったので(´Д`;)。もう落ち着いたので大丈夫です。

観ました?届いてるかたは観ましたよねっ。岡田教官に会いました?。
結局私はまだ殆ど観てないの(T-T)。
12日の夕方に届いて、仕方無く長女の帰りを待ち──塾に行かねばなので 未公開映像だけ観て え!!!Σ(゚ロ゚!(゚ペ?)???これだけ? と驚愕して、チビのドリフにチャンネル取られ、未だ時間が取れずです。
生殺し。

間が空いた更新です。リクエストのラストになります。キリよくNo.30です。
え?5ヶ月…大変お待たせしました。
7万hitお礼のリク祭りでしたが、お陰様でそろそろ15万hitになりそうです。ありゃ?明日くらいかしら。
相変わらず ゆる〜い感じのお話書いてますが、読んで貰えてると思うと嬉しいです。

↓こちらから どうぞ

【More】

「0に戻す」(リク30)


王子様に会えたら 言いたいことがたくさんあった。


手塚慧からの書留に入っていたのは、ご馳走すると言っていたあの時の食事代と思われる1万円札が2枚と便箋。
その便箋に書かれた文面に、郁の頭の中は真っ白になった。
『高校生以来の憧れの王子様が上官の女子になんかちょっかいを出すものじゃないね。』
どこをどう読んでもそれは堂上のことであり、指摘されれば色んな符合が一致して 今ではもう王子様は堂上の顔でしか思い浮かばない。

あたしは堂上教官をどう思ってるの。
堂上教官はあたしをどう思ってるの。

たどり着いた結論は、『堂上教官はあたしのことを嫌ってる』
そして自分がその結論に凄く傷付いていることに 更に動揺する。まるで自分が堂上を好き みたいな…。
どう対処すればいいか答えを見い出せないまま出勤し、その堂上を 迂闊にもその手紙を奪い取られそうになったはずみで投げ飛ばしてしまったのだ。
もう泥沼だ。
でも ぐちゃぐちゃに混乱していた気持ちが、小牧に吐露し 整理して貰ったことで少し落ち着いてきた。

王子様だったから、じゃなくて堂上を見てやって。

6年前の王子様としてでなく、今の堂上を見る───。


郁は堂上が運ばれた救護室の前に立った。
この向こうに追いかけ続けた王子様がいる。
でも 今自分が追いかけている背中って?
本当に追いかけたいと思ってる背中って?
自分にケジメがつけたかった。

そっとドアを開ける。
簡易処置室も兼ねた部屋は、怪我の多い職場なだけに充実している。常駐の医師は不在のようで留守だった。3台置かれた1番奥のベッドにカーテンが引かれている。
郁はかなり躊躇したが、1歩 1歩と近付いた。
心配することはない ただの脳震盪だよ、と小牧は言ってくれた。でも上官を投げ飛ばした事実は事実。謝らなくちゃ。そして──。

カーテンを覗くとベッドに横たわっている堂上がいた。
改めて顔を見る。
6年前 良化特務機関の検閲から郁を庇ってくれた三正。涙の膜の向こうで「この本を守ったのは君だ。」と本を差し出してくれた三正。図書隊を志すきっかけとなった三正。
憧れの象徴だった。
カーテンの中に1歩入ると郁は敬礼し、大きく息を吸うと覚悟を決めた。
「…んっ」
郁の目の前で堂上の眉間に皺が寄った。郁はそのまま固まる。
堂上は焦点の合わないまま身体を起こすと軽く頭を振った。眩暈が治まるまで右手で額を押さえていたが、落ち着くと人の気配を感じた。
ベッドの横で固まっている郁がいた。
目が覚めるとは思わなかった郁は、気まずそうに視線を逸らした後、意を決して堂上にガバリと頭を下げた。
「す、すみませんでした!」
堂上はぎょっとすると 記憶を遡って思い出す。手塚慧の手紙を取り合った挙句に投げ飛ばされたことを。
「脳震盪 起こさせちゃって…。」
そのセリフに堂上は不貞腐れたように吐き捨てた。
「この件については謝罪はいらん。俺が悪かった。」
郁は顔を上げられずにいた。
「公私混同だった。手塚慧がどんな私信を入れていようと お前が相談してこない以上は 上官だからって俺の出る幕じゃなかった。出過ぎた真似をしたな。」
その口ぶりが何だか突き放されたように感じて 縋るように堂上を見た。
「違うんです。…他の人にしたら些細なことだろうけど、あたしにとっては凄く恥ずかしくて──知られたくなかったんです。」
堂上は布団を寄せてベッドから足を下ろして座った。
「お前は嫌だったんだろ?俺に言う必要もないが、些細なことだなんていわんでいい。」
立ち上がりながら 郁の頭にポンと手を置くと、この話は終わりだとばかりにくしゃりと髪を掻き混ぜた。
堂上のやさしい手の下で、郁は顔を赤くした。ああ、あの時の手だ。
もしかすると堂上を好きになりそうな自分がいるかもしれない。

0に戻したい。

頭から離れる堂上の手を視界に入れて 郁は思わず宣言した。
「あたし 王子様から卒業します。」
カーテンを開けて出ようとしていた堂上はびくりと肩を揺らした。
郁は振り返った堂上を正面に 直立して敬礼した。
足が震える。心臓が飛び出しそうになるのを必死で抑える 。
「『笠原郁です!』」
…知ってる。怪訝な顔をする堂上に真っ直ぐ放つ。
「『6年前本屋であなたに助けてもらいました。』『あの時は有難うございました。』」
堂上は目を見張る。
「『あたし あなたを追いかけてここまで来ました!』」
「……」
「『ずっと』」
郁の目から涙が溢れた。
「『ずっとあなたに会いたかったです!』」
「お前…」
「手塚慧の手紙に書いてありました。」
「そんなのはデタラメ…」
郁は首を振る。もう確信しているのだと。そして敬礼した手を下ろし、ほう と息を吐いた。堂上の動揺は激しい。
「王子様に会ったら言おうと思ってました。」
「…あの時の三正はもういない。」
後先考えない軽率さ、感情に流される脆弱さ、そんな未熟でみっともない 出来損ないの過去の三正は。
ここにいるのは その欠点を切り捨てた別の男。郁が後生大事に抱えて来た過去の俺じゃない。礼を言われる筋合いはないし ましてや…。
「もういいんです。」
郁の顔は晴れやかだ。
「あれから6年経ちました。その間に色んなことがあって──苦労したり頑張った三正が堂上教官なんですよね。確かに王子様を追いかけてここまできたんですけど、あたし、ここに来て追いかけたいと思う背中を見つけたんです。他に言いたいことができたんです。」
自分にも変わったところがある。
「あたし 何も知らないで、教官を勝手に王子様にしちゃって 勝手に憧れちゃって……ひどい事ばかり言って 迷惑ばかりかけて…き、嫌われて当然かな、とか。」
くうっと喉の奥が締まる。

自然に王子様への憧れを忘れて 自然に好きになりたかった。

「でも、部下としてあたしを嫌ってないのなら、ちゃんと部下として努めます。だからもう王子様──」
「煩い。黙れ。」
怒濤の勢いで喋ったが、堂上の静かな声で遮られた。
煩い、黙れ。
そうだよね、やっぱり迷惑だよね。だって散々本人目の前に過去と比べたり好きだと言ったり──ましてや事実を知ったばかりで混乱しているあたまでは、昔王子様だった堂上を今自分がどう思っているのか分からないのだ。
「分かりました。もう言いません。──すみませんでした!」
もう顔を合わせられない。
郁は堂上の横をすり抜け その場を逃げ出そうとした。
「待て!お前は分かっていない!」
堂上は郁の腕を掴み 引き寄せた。ぶつけるように郁の頭を自らの肩に抱える。
「黙れというのは──お前、王子様は卒業したんだろが。だからもうその呼称を使うなってことであって。」
抱えた頭に頬を寄せる。
「俺は融通の利かない鬼教官だ。」
「知ってます。」
「入隊時からお前を扱いてきた。」
「おかげで少しは使えるようにしてもらいました。」
「口煩くて小言が多くて。」
「でも優しいのも知ってます。」
「ケンカ三昧だ。」
「お互い様です。」
「チビだし。」
「あたし大女です。」
ふっと笑って 堂上は郁の身体を離し、顔を覗き込む。真っ赤になった顔は6年前に助けた女子高生ではなく、厳しい訓練に耐え 特殊部隊隊員となって成長した『笠原郁』。
「嫌うわけ ないだろう?」
初めて聞く堂上の甘い声に郁はドキリとする。
「俺達は6年前から何も動いていなかったのかもな。」
郁が王子様のことで騒ぐ度に苛立ったのは、過去の欠点を律し多少は成長したと思っていた今の俺を 凛としたあの時の背中に否定されたのが刺さったのだ 。今の俺を認めて欲しかったからだ。
王子様を卒業し、6年を経た俺を見るのなら。
「あの、あたし、無謀にも 本人目の前にいろいろ言っちゃってるんですけど…。」
──あたしは今でもあの人に憧れてて 尊敬もしてて、あの人のことが好きなんです。
堂上はにやりと笑った。
「待つ。」
あれは王子様に向かって言う言葉。今の これからの郁が追いかける背中に言う言葉は、この混乱から抜け出した後だ。
取り敢えずは 上官として、部下として。その背中に恥じない自分になればいい。
「待つって…。」
あの時から6年経った今のその人を好きになりたい。王子様とは関係ない今の堂上を。
「答えを出したら」
「真っ先に堂上教官に報告します。」
郁の新たな宣言に堂上は満足げに微笑んだ。
「その時は答え合わせしてくれますか?」
器用に上目遣いで言う郁の頭を 堂上はぺしりと叩く。
「んな顔するな──前借りが欲しくなる。」
「!?」
茹で蛸のようになった郁を残して救護室を出る。
これからは攻めていくぞと宣言して。


=============


リクエストはyupopoさんより
「弓先生版なのですが、郁ちゃんが堂上さんをぶん投げたあと、小牧教官と話してから堂上さんの様子を見に行った時のお話を読みたいです。 寝ている堂上さんに敬礼して「笠原郁です。~ずっと あなたに会いたかったです。」というセリフを、目が覚めて起き上がっている堂上さんにもしも言ったらという設定なのですが、どうでしょうか。」
でした。
リクエスト最後を飾る素敵な設定。しかし、どうしよう。と、着地地点が迷走しまして。フライングにはこの2人には早いだろうし、と 我が家の奥手堂上はこの程度になりました。お硬さバリバリです。
原作ミックスしただけで目新しさはないかも なんですが、こうなりました。
yupopoさん、大変お待たせ致しました。これからの展開が気になりそうな素敵なリクエスト、有難うございました(≧∇≦)/。
14:17  |  図書戦  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2013年11月14日(木) 16:30 |  | コメント編集

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