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2012'10.25 (Thu)

「コインランドリー」

本文書いても題名が決まらず放置する英香です。
毎度一番悩むのは題名。結局気の利いた言葉が出ず、安直ですが 更新しておきます。上官部下期。県展中というか直前です。嫌がらせを受けてのコインランドリー紀行は 1日おきで計3回という我が家設定です。


↓こちらから どうぞ


【More】

「コインランドリー」


郁は携帯の履歴から番号を繰り出した。画面には「堂上教官」。少し呼吸を置いてボタンを押した。
コール3回で出た堂上に 見えないと分かっていてもペコリと頭を下げた。
「あの、洗濯の準備 出来ました。」
「ん、10分後に玄関な。」洗濯物を水浸しにされてから、堂上は1日おきにコインランドリーまで車を出すことになった。恐縮する郁に、いつものように「上官だからな。」と一言添えた。
案じてはいた。柴崎からの情報で寮内で郁の立場が悪いことを。しかし 査問の時と同様、今回も直接傍にいてやれないのだ。堂上はこうして対処するしかない自分にもどかしさを感じていた。
車では 一昨日よりも落ち着いた郁が、流れる外の景色を見て呟いた。
「変わったなぁ。」
4年振りの街の景色は 郁の記憶の中とは少し違った。
「あ、コンビニになってる。前は古いパン屋さんだったのに。あのおじさんがやってるのかなぁ。」
恋心を自覚した相手と2人きりなのが意識され、自然と口数が多くなった。
「あ、あたしが通っていた本屋さんも この近くなんですよねー…。」
チラリと堂上を伺うつもりが、自分が振った話題に自ら動揺して顔を上げられなくなった。
(ヤバイヤバイヤバイ!何言いだすのよ!。)
ハンドルを握った堂上が息を呑むのに気付かなかった。
ほどなく目的のコインランドリーに到着した。郁は洗濯物を抱えて降り、店内に入った。店内には人はなく、乾燥機を回すとゴウンゴウンと大きな音が響きだした。前回は滴が垂れるような状態だったが、今日はしっかり脱水をかけてきたから乾きはよさそうかな と考えてると堂上も入ってきた。
「教官、お手数かけます。」
「だから いいって。」
ポンポンと頭を叩いて椅子に座る。郁も椅子を引き寄せて隣に座った。
完了まで約40分。
現在の訓練状況や水戸の防衛員の環境など、これといって雰囲気のある話は無かったが、女子防衛員の歓迎ぶりの話には堂上の口元が綻んだ。
ふと会話が途切れて静かになった。堂上がガラス越しに外を眺めていると スースーと寝息が聞こえてきた。いつの間にか郁はテーブルに突っ伏して寝ていたのだ。
おまえ、それは無防備過ぎるだろう。ため息をついて頬杖越しに郁の寝顔を見やる。女子防衛員の先頭に立って指導をし、寮では悪意の視線を1人受けている。精神的にも肉体的にも疲労が出ているのだろう。乾燥終了まであと10分ある。少し寝かしておくか、と堂上は自分の上着を掛けてやった。
テーブルに置かれた郁の左手。「手、握ってもらっていいですか。」泣きそうな声に迷いなく重ねた手だ。抱きしめてやりたい衝動にも駆られたが そんな権利はない。でも支えてやりたかった。
つ と郁の手に指で触れてみる。冷たく冷えた感触に心が動く。温めるように手を重ねて軽く握ると 少し身じろぎしたが、瞼は閉じられたままだ。郁の顔にかかった髪を耳にかけてやる。
「ん、きょうかん…。」小さな寝言にドキリとした。背中から覆い被さるように郁の髪に唇を落とし、寝顔を覗き込もうとした時、前の道路を大きなトラックが走っていく音が耳に入った。
慌てて手を引くと その手で自分の顔を覆う。
「何やってんだ 俺は…。」
大きく息を吸い込んで自分を落ち着かせていると、終了ブザーが鳴り響いた。
「わっ、寝てました!?。」
ガバッと起き上がった郁から上着を引き剥がすと、
「帰るぞ!。よだれ拭いて準備しろ。」
と どかどかと足音をたてて外に出た。マズい。多分今は顔を合わせられない。車をまわしてくる短い間に何とか戻さねば、と熱くなった耳に冷えた風を受けながら駐車場をゆっくり歩いた。




題名は後で差し替えたいくらい。「リハビリ室」とか場所しか思い付けなひ…。その内思い付いたら、かな。
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