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2013'12.27 (Fri)

「重なる背中」

今年も残りわずか。
いろいろ目を瞑って、何だか普段通りの生活です。年賀状は今年もギリギリで書いていそうな気がします。学習しないんだな、これが。
ちびのサンタプレゼントがDSソフトなんで、ゲーム三昧じゃなんだし UNOを新調したら 結局コレばかり。また私も久々だからか熱くなるなる。1日中していました。
ま、元々DSの接触悪くて(お下がりだし)ゲーム自体続けられないんですよね。でも機械相手より人間相手の方が盛り上がります。夜は兄弟揃って騒いでいました。

更新です。さすがに手があく時間がなかなかなくて、随分前に途中で放っておいた話を発掘です。堂上さんは出て来ません(だから放ってあった)。郁ちゃん+小牧さん です。査問中になります。

↓こちらから どうぞ

【More】

「重なる背中」


昼休憩。慌ただしい書庫業務も一段落して 郁は外の空気を吸いに中庭に出た。
地下にいると外の天気は分からない。今日は清々しい晴天だ。
しかし未だ査問は続いており、この空のような気分には到底なれない。業務が忙しければ多少気が紛れるが、寮では風当たりが厳しい状況が続いていて疲弊が増すばかりだ。
昼食は柴崎と外に食べに出たり こうして1人コンビニ食で済ませたり。
班にガードしてもらって食堂で という時もあるが、それでも変わる周囲の空気と 堂上達に迷惑をかけている状況は心苦しく、気分転換を口実に今日も1人ベンチに座り もそもそと食べる。

中庭には利用者も足を運ぶ。今日のような日はぶらりと歩くにもってこいだ。残暑の日差しは適度な枝葉が遮ってくれる。仲良さげに肩を並べて散策しているのは カップルか若夫婦か。女性の預けきった笑顔を男性は嬉しそうに受けている。

そんな光景を視界の端に 郁はサンドイッチを1口かじる。
『大丈夫です。』
査問終了後に毎回堂上が気遣う言葉にそう答える。強がる事で踏ん張れる。頑張っているところを見て欲しい。負けない自分を誉めて欲しい。
『辛くなったら必ず俺に言え』という堂上の言葉をお守りに、まだいける 耐えてみたいと自分を奮い立たせる。みそっかすの意地をみせたかった。

カップルの笑い声が耳に入り 郁はぼんやりと眺めた。
「王子様がいたらな。」
ポツリと呟く。
王子様を想う事で乗り越えてきたことがたくさんある。
王子様はこの査問を耐えたのだ。
あの堂上も。
追いつきたい背中が耐えたのなら、追いつきたいと思う自分も耐えなくては格好がつかないじゃん。

「王子様が目の前にいたらどうするの?」
ふいに声をかけられて 郁は飛び上がった。
「ひゃあ、こ 小牧教官!」
小牧は後ろから回り込み、同じベンチに座った。
「お昼の買い出しの帰りだよ。堂上は手が離せないから書庫の休憩室で食べるって。」
はい、と郁の手にプリンが渡される。
ペコリと頭をさげて受け取った郁の顔はほんのり赤い。ダダ漏れ呟きは今更だが。
「笠原さんは頑張ってるよ。王子様だって感心するんじゃないかな。」
郁の査問のやり取りをテープで確認する中で、王子様が査問にかけられたと郁が知ったらしい。堂上の苦った顔を見るにとどめたがあの王子様は頑なに上官であろうとする。
「へへ、そうでしょうか。」
小牧の前ではさんざ恥をかいてるので 郁は開き直ってみる。

『奴が好きなのは5年前の三正であって俺じゃない!』
この査問の始まる前の部屋飲みで滑らせた言葉と堂上の痛そうな顔が思い浮かぶ。
堂上自身が未熟だと切り捨てた部分は、小牧は嫌いじゃなかった。自分が持ち合わせない 危ういが篤いエネルギーは時に眩しくて。
目の前の可愛い部下が大事に抱えているのはそんなエネルギー。2人を見ていると もどかしくも微笑ましいが、些か友人が気の毒に思えるのは彼女の罪ないダダ漏れ呟きが耳に入るからか。
「笠原さんの王子様ってどんな人物だと思う?」
こんな時支えて欲しいと望む王子様とは。珍しくちょっとした興味が湧いた。
「へ?。まあ、そのう…。」
さんざカッコいいとか憧れてるだとか口にしているが、具体的にというと言葉にしにくい。
「…正義の味方っていうか。困った時に助けてもらったし──。」
たとえ規則違反だったとしても、あの時の三正は正義の味方に見えた。
「図書隊員としても立派なんだろな、とか。」
郁はあの時の背中しか知らない。でも何故かそう確信出来る背中だったのだ。
目を閉じて想像する。もう何年も思い描いた王子様。
しかしその王子様が振り向くと──
「わあ!」
サンドイッチとプリンを両手に立ち上がった。
「どうしたの?」
小牧の声に郁は我に返った。
「いえいえいえ、何でもないです。」
真っ赤になった郁は ギクシャクとベンチに座りなおした。
いつからだろう、あんなに憧れていた王子様を思い浮かべる機会が減ったのは。
いつからだろう、振り向く堂上の眉間にシワを見るのが減ったのは。
いつからだろう、重なる感覚を持つようになったのは。今、何に重ねた?
「まさかまさか、あんなに口煩くないですよ~。」
ぶっ と小牧が噴出した。
──それじゃ 誰を思い浮かべたかバレバレだよ。
クククと笑う小牧に 真っ赤な顔の郁は怪訝な顔をした。

いつだって君を見ているよ。時に厳しく 時に過保護な程。
何だかんだ言ってお互い意識しまくりなのは周知の事実。
いつか公然と君を守る立場を手に入れる王子様の代わりに、今は堂上班の仲間として 俺達もサポートするから。
共に戦おう。
「これ、堂上に届けてくれる?」
「?はい。」
コンビニ袋から自分の分を取り出した。
郁を見送り、散策中のカップルに2人を重ねて笑みを浮かべると 弁当を広げる。
今日はいい天気だ。
小牧は青空を見上げた。
00:13  |  図書戦  |  TB(0)  |  CM(3)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2013年12月27日(金) 01:19 |  | コメント編集

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 | 2013年12月27日(金) 16:31 |  | コメント編集

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