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2013'12.31 (Tue)

「来年も」

こんばんは。
紅白見ながらです。
今年もあと1時間ほどで終わります。毎日毎日堂郁妄想していた1年でした。そんな同類の方々に支えて頂きながら続けてきました。ホント、コメント・拍手は励みになります。
来年もぼちぼち続けられればお付き合い願います。

今年最後の更新をこそっと。
主人の目を盗みながらなので、短いし 何だかな なんですが。
来年もこんな感じにゆるいお話であそぼうかと。宜しくお願いいたします。
皆さん、良いお年を(≧∇≦)/。

↓こちらから どうぞ

【More】

「来年も」

今日は12月31日、大晦日だ。
図書館は休館だが 防衛方は警備が欠かせない。今年最後の勤務があった。もっとも ローテーションで連休を取る為、人員はいつもより少なめだが。

休館で人気のない図書館を巡回する。昼間とはいえ少なめの電源では薄暗く、足音だけが館内に響いた。
堂上と郁は各部屋くまなく異常がないか確認すると、事務室のある庁舎に向かう。
「結局今年も茨城には顔出さないのか?」
「ええ、ちょっと まだ…」
堂上班は明日の元旦から3日間が休みになっている。
たまには実家に電話を入れるようにはなったが、主には父親の携帯だ。未だ氷解した訳ではないので 直接母親とは話しにくい。言わないよう止められてはいるようだが、いつまた「そんな仕事はやめて…」という流れに持っていかれるか分からないのだ。それでも父親に促されて 極たまに母に電話するようになった。
堂上は郁のそんな努力を見守ってくれる。
「柴崎も実家に帰ってるんだろ? 俺も正月くらいは顔出さないわけにいかないから──」
「大丈夫ですよ。誰もいないってわけじゃないですし、DVDも借りてあります。それに」
「ん、2日の朝には戻るから 初詣にでも行ってみるか。」
わあ、暇を持て余していた去年までが嘘みたいだ。彼氏と初詣とか──まるで恋人同士みたい。
郁は頬を染めて黙って俯く。
いつの間にか少し遅れて歩いていた郁を堂上は振り返った。
「あのな、恋人同士なんだよ。」
「ひゃ」
郁は両手で口元を覆った。
ふわふわしたり不安になったり、未だ自信が持てなかったりする郁をグイッと引っ張ってくれる。
言葉はぶっきらぼうでも 向けられるのは甘い顔。
肩を並べて庁舎に入った。
「へへ、バーゲンとかも行きたいな。」
事務室に入る前に甘えてみると、ぽんと頭を撫でられた。

残っていた隊員で蕎麦をとって食べた。
「じゃ、良いお年を。」
小牧も手塚も今日中に実家に帰るという。事務室内に残っていた隊員も 今日は早々に帰路につく。
郁は堂上の仕事が終わるのを待っていた。
ファイルを閉じて仕事を終える。郁が淹れたコーヒーを口に含めると 爽やかな苦味が広がった。ちらりと郁を見ると、多分甘ったるいであろうコーヒーを啜っている。
クスリ。
不意に郁の顔が綻んだ。
「なんだ。」
「あ、終わったんですか?お疲れ様でした。──いえね、」
郁はマグカップを両手で包むようにしてひと口飲む。
「この前の正月休みは、その…教官と カミツレのお茶を飲みに行くことばかり考えていたかな、って。」
1人で過ごす3日間の長いこと。柴崎もいない寮の部屋で テレビを見たり本を読んだり。その合間にカレンダーの15日をつついてみてはドキドキしてた。
「の割に 当日バタバタしちゃいましたけど。」
遅刻しちゃったんですよね、とペロリと舌を出した。

今年はいろいろな出来事があった。原発事件がなかったら あの時関係が変わっていたのだろうか。
堂上は荷物を整理して帰り支度を整え、郁はマグカップを洗って堂上の隣に立つと、輝く笑顔を向けた。
結果的には待たせたことになったが、今ここに愛しい存在がある。だから全てが正解だ。
するりと郁の頬を撫でて事務室を出た。
堂上は明日朝一で実家に帰る。
まだ一緒にいたいと思うのはお互いで。
人の少なくなっている敷地内。寮に向かいながら珍しく堂上は郁の手を取った。玄関に入る前にくいっと手を引いて寮を周回するコースに入ろうとした。
すると闇の先で 更に黒い人影が見えた。ギクリと身構えたが 聞こえてきたのはかすかな喘ぎ声。
2人後ろ足で引き返して玄関前に立つ。
「……」
ゆっくりと目があって苦笑する。
考えることはどのカップルも同じ。
もっと一緒にいたい。
もっと近くにいたい。
もっと もっと もっと来年は。

「じゃ、2日にな。」
「はい。今年もお世話になりました。良いお年を。」
「良い年を。」
共に重ねていこう。
名残惜しげに離した手は また直ぐに繋がる為に宙を泳いだ。郁のその指に堂上はキスを贈って男子寮に消えていった。
「ズルイ…」
今夜はこの手を抱えて年を越そう。
郁は熱く火照った指に唇で触れた。

来年も───



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 | 2014年01月01日(水) 00:14 |  | コメント編集

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