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2014'01.11 (Sat)

「うさぎ」

こんにちは。
そろそろ通常にとは思ってますが、このところスマホの仕様を弄るのが癖になりまして。で、弄れば弄るほどドツボにはまるのはお約束。機械もん苦手なんだから変えなきゃいいのに 好奇心だけは旺盛なB。凝っては吠えるを繰り返しています。
飽きたら戻ってきますね。

更新です。恋人期の堂上さん開き直り後。短いです。
↓こちらから どうぞ


【More】

「うさぎ」


郁は館内警備後の 昼の休憩時間に本の検索をかけた。
「あー、まだ全部借りられてるなあ。」
画面の前で考え込んでいると、堂上が寄ってきた。
「何した?」
「む、違いますよ、借りたい本があったんです。」
画面を見るとある作者の小説の名前。
「ああ、ちょっと前のコラムに出てたな。」
先月の特設コーナーで取り上げた作家で、業務部発信の図書館報のコラムにも載っていた小説だ。
「そろそろ借りられるかと思ったんですけどね。」
10年程前の作品で 当時ベストセラーになった本だ。新作がドラマ化されるとあって、再度ブームになっているらしい。
「この本なら実家にあるぞ。今度帰りに寄ってくるか。」
正月に郁を両親に会わせてからは、次はいつ連れてくるんだとうるさくなった。息子会いたさより 確実に郁目当てだ。
次の公休デートに組み込むことに 郁も異論なく笑顔で了承した。

「ただいま。」
堂上家の玄関を開けると 奥から母親が出てきた。今日は早番だったという母は2人の訪問を待っていた。
「いらっしゃい。」
「こんにちは。」
郁は挨拶をして、買ってきたケーキを渡し、お正月のおせちを入れてもらったタッパーを返した。
「ご馳走様でした。おいしかったです。これ、ケーキです。」
「 あら、いいのに。ね、お夕飯一緒に食べるわよね。今日はすき焼きを用意するの。お父さんにお肉買って帰ってくるようにお願いしてあるから楽しみにしててね。」
「わ、豪華だ。嬉しいです。」
すっかり打ち解けて話す母と郁を眺めて堂上はお茶をいれはじめた。
「あ、教官!あたし淹れます。」
慌てた郁を母は笑って制した。
「あら、いいのよ。うちは普段私がいないもんだから 一通り自分でするようになってるから。」
コロコロと笑う母は のんびりした口調で郁をソファーに促した。家では天然に近い母だが 仕事に入ればベテラン看護師として取り仕切っているという。暖かみのある物腰はなるほどと思わせるものがあった。

「話しておいた本は 俺の部屋か?」
きりの良いところで 堂上が声をかけた。
「篤の部屋の本棚はそのままよ。参考書なんかは納戸にいれたんだけど、寮から送られてきた本はダンボールの中。」
「ん、了解。郁 見るか。」
「はい。」
まだ話したそうな母だったが、そろそろのんびりテンポに疲れが見えてきた郁を促して 2階の部屋に上がることにした。
母はひとまず満足したのか 夕食の準備をするために 台所に入っていった。

建て売りらしい狭い階段を上がった奥が堂上の部屋だ。
正月は酔っぱらっていたこともあり、郁は部屋の中をじっくり見てはいなかった。
荷物が減り やや殺風景ではあるが、漂う空気が何か孕んでいるようで 郁はニヤニヤ顔が緩んだ。
「…何だ。」
「へへ、ここで堂上教官は生活してたんだなあって。」
兄達とは また違った男の部屋。
本好きらしく 壁には大きめの本棚が組まれている。堂上は几帳面に作家ごとに並んだ本の中から目当ての小説を取り出すと、パラパラと捲った。
その姿が郁は好きだ。
文字を追うのに伏せた目が意外に睫毛が長いことを強調してどきりとさせられた。慌てて本棚に視線を移す。
「あ、こ これも面白そう! 」
勝手にわたわたする郁を後目に、堂上は小説を手にしてベッドに座った。
後ろから堂上の視線を感じて 郁の耳はじわじわ赤くなる。
「郁。」
振り向くと ポンポンとベッドを叩く堂上。
暫し躊躇してからチョンと隣に腰掛けた郁の手から本を抜き取り、小説と一緒にベッド脇に置いた。
堂上に覗き込まれて 郁はぎゅっと目を瞑った。
唇が優しく触れて 離れていく。薄く目を開けると 切なく真剣な顔をした堂上がいた。
「え…」
郁の肩から項を通って後頭部の髪に指を差し込んだ堂上は、はじめ 啄むようにキスをした。額を合わせて視線を交わらせると微笑み合い、少しずつそれを深くする。
角度を変える度に 郁の吐息が震えると、堂上の舌は更に激しくなる。
ここは堂上の家で 下には母親がいる。郁は懸命に声を殺すが やがて苦しくなってきた。それでも堂上は手を緩めない。堂上の開き直り以来、キスは時に容赦なく。郁が慣れないなりに応えようとするのは、堂上とのキスが好きだから。
気持ちいい、でも。
羞恥に耐えかね逃げを打つ郁の唇を執拗に追いかける堂上が、郁が縋って握りしめていたシャツから手を外させて指を絡ませると、郁は思わず声が漏れて肩を竦ませた。
そんな郁の肩越しにベッドが見える。

「篤~ 郁ちゃ~ん、お父さん帰ってきたわよ~。」
パッと離れた。
「──今行く。」
堂上はそう返事をして立ち上がった。
危ない。つい失念していた。テリトリーに入った兎を追うが如く攻めたててしまった。
チラリと郁を見れば、案の定茹だって真っ赤だ。
「…落ち着いてから下りてくればいいから。」
堂上が乱した郁の髪を手櫛で整えてやると、ジト目の郁の膝に本を置いて ガリガリと頭を掻きながら先に出て行った。
「反則なんですからね…」
郁はバクバクした胸を本を抱えて押さえ込んだ。


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久しぶりの更新で何書いてるんだか。
息子が彼女を連れてきたら 聞き耳たてないでいる自信はない(´Д`ι)アセアセ──ということで、高校生仕様?です。

12:40  |  図書戦  |  TB(0)  |  CM(1)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2014年01月11日(土) 15:19 |  | コメント編集

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