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2014'01.15 (Wed)

「あれから1年」

雪が降りそうで降らない。でもそれなりに冷たい風がうなる、そんな外。朝、布団の中で温かいちびを抱いていると、あっ─────と言う間に時間が!
飛び起きる毎日です。

さて、今日は旧成人の日であり、我らが堂郁の記念日の1つ。
てなわけの更新です。恋人期 居座り事件後の1月15日です。

最近 メール画面に文字数が出ない仕様になってしまい、お話の長さの目安が分かりませんの。ま、基本長くならない質ですが、更に物足りない長さかも…と 気にしてたりしますが、ま いいか。と そのまま更新します。
↓こちらから どうぞ


【More】

「あれから1年」


寮の建物の陰でキスをする。
寮生同士のカップルの定番だ。
「他の奴らもやってること、俺たちがやって何が悪い」
堂上の開き直りの宣言以来、健全なだけのつかの間のデートに、甘いオプションがつくようになってすぐに迎えた1月15日。

酔っ払いの居座り騒動も解決し、普段と変わらぬ勤務。
テレビでは現在の敦賀原子力発電所が映し出されていた。
大規模な襲撃を受けた発電所は幸いにも安全装置が働き 放射能漏れは起こさず、現在までに早急に復旧作業が進められてきた。すでに三号機四号機は稼働に問題なく、二号機も早々に安全宣言がなされた。ヘリが突き刺さった施設は解体され、新築作業も大詰めだと レポーターが中継している。

「あれから1年なんですね。」
昼の食堂で堂上班は昼食をとっていた。食堂備え付けのテレビに流れるニュースは昨年の事件を振り返っている。
テロリストの参考文献にされた作家として良化隊の標的となった当麻を匿ったのを皮きりに 図書隊歴史上最大の事件が始まった日。
「隊長の方に折口さんを通して挨拶があったそうだ。もう執筆活動も安定されたらしい。」
堂上の報告に郁も安堵する。怒涛の出来事が脳裏をよぎった。世間ではすっかり過去の事件として扱っているのが、ちょっぴり寂しかった。

食事を済ますと 堂上と郁は2人中庭に出た。雪はないが風は冷たい。温かい飲み物を手にぶらぶら歩く。
国を揺るがす事件に関わったが、あれから自分の身の回りも大きく変わった。
あの日まだ上官だった堂上は、今では彼氏でもある。
業務中厳しいのは変わりないが、時折見せる彼氏の顔は心臓に悪いほどだ。この顔を初めて意識して見たのはいつからだったか。
「教官。」
「なんだ?」
缶コーヒーを傾けていた堂上が顔を向けた。ほら、甘い。
「もしあの時──あの カミツレのお茶を飲みに行った時…」
溢れそうだった気持ちをぶつけたなら、どうなっていたんだろう。埒もない仮定の世界。
郁は昔から自分が突撃していくタイプだった。
でも堂上に突撃したとして──相手にされなかったら?玉砕したら?──それまでの幼い恋とは違うと確信して 負の想像に捕らわれるとなかなか言い出せないと思っていたはずなのに、堂上の柔らかな表情につられてつい勘違いしそうになったあの日。
「もし──」
「俺が交際を申し込んでたら、おまえ どうした?」
「へ?」
今 正に自分が訊こうと思っていた質問を堂上に言われて、一瞬にして思考が停止した。
「…誰が?」
「俺が」
「誰に?」
「おまえに」
「何を?」
「…交際を」
まさかまさか。
あのレストランで、映画の後で。事件が発生せず 普通のデートみたいな時間を過ごしたなら。それでもやっぱり突撃するのは自分 としか想像出来なくて。
「おまえ、有り得ないと思ってるだろう。」
眉間に皺を寄せる堂上の前で コクコクと頷く郁をペシリと叩いた。
「俺は 何とも思ってない女と2人でお茶する趣味はない。」
ふてくされた顔の堂上を凝視する。
「え…じゃあ…」
「ま、俺も想像出来んがな。」
えー ずるいーと口を尖らした郁の鼻をつまんで堂上は苦笑した。郁の冷たくなっている鼻が少し赤くなった。
堂上が固めた決意はあの日形にはならなかった。
お互いに意識していたのは手に取るように感じてはいた、と思う。──しかし互いに不安も拭えないでいた。
期待していいのか 脈があると思っていいのか、郁には区別する経験値はなかったし、堂上には王子様という壁が立ち塞がっていた。 がっちり蓋をしたはずの過去。名前を付けたら飛び出してきそうで あえて見ないようにしていた想い。
散々小牧に 無駄だ 面倒くさいと言われながらも、頑なに認めようとはしなかったのに。いつの間にか郁の存在がすべてになった。
あの日は互いの関係を変えるつもりでいた。伝える言葉があった。

「絶対あたしばっかりが好きなんだから。」
ぷっと膨れた郁は くるりと背中を向け、寒さにぶるりと震えた。
「冷えますね。中に入りましょ!」
小走りで庁舎に向かいかけた郁に、堂上は声をかけた。
「郁、」
あの日伝えられなかった 始まりの言葉。
「す──

ぶえっくしょんっっ!

きだよ、の声は 郁の特大くしゃみでかき消された。
「……」
「うーさぶっ。?何ですか、教官。」
自らを掻き抱くように腕をさする郁に、堂上の眉間の皺は三割増しだ。
「ほら、こっち来い。温めてやる。」
グイッと腕を掴んで庁舎の陰に引き込み 郁を抱き締めた。
「俺にとっては ハイリスク・ローリターンじゃないからな。」
固まる郁をますます強く抱き締める。
「痛い痛いっ、ちょ 教官、怒ってます?何で何で?」
「煩い、黙れ。」
騒ぐ郁の唇を塞ぐ。

今日は2人のカミツレデート記念日。

13:15  |  図書戦  |  TB(0)  |  CM(5)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2014年01月15日(水) 14:18 |  | コメント編集

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 | 2014年01月15日(水) 14:28 |  | コメント編集

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 | 2014年01月15日(水) 22:47 |  | コメント編集

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 | 2014年01月16日(木) 00:01 |  | コメント編集

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 | 2014年01月16日(木) 23:04 |  | コメント編集

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