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2014'01.30 (Thu)

「0に戻した後は」4

朝は青空だったんですが次第にどんより。雨、になりそうです。
先日、県外の新体操の大会に男子のみ参加したそうです。男子は全国大会にいく強豪チームなんです。
そこで他校の女子新体操の選手の曲が、長女と同じ曲だったよ、と教えてくれたそうです。つまりは図書戦の音楽。どうやらlibrary war。
おお、同じく親子して図書戦ファンなのかしら、と嬉しくなりました。
同じように苦労して1分半に編集したのね、と勝手に親近感。何ヶ所かを繋ぎ合わせてるので、全く同じじゃないだろう曲と演技。見たかったなあ、と思いました。ハイレベルな選手しか出場出来ない大会です。見事だったろうな。

更新です。原作を弄った流れのまま。いいのか?
取り敢えず一区切りです。後は不定期に単発連載の形を取る予定です。
↓こちらから どうぞ


【More】

「0に戻した後は」4


警視庁を訪ねて 痴漢・盗撮犯罪の手口について調査した。
市内の図書館や書店に犯人像を伝達すると、情報がちらほら舞い込んできた。
そして 毬江の事件から3週間ほどして、吉祥寺の武蔵野第2図書館から、それらしい人物が数日前から出没しているという連絡が入った。
確認をとり、1週間ほど泳がしてから作戦を実行する運びとなった。


「ちょいお嬢様風女子大生コンビって感じで攻めてみましたー!」
清楚な装いの柴崎は当然見映えよく。その後ろに全く隠れないが、小さくなった郁が現れた。
その仕立てが班全員の意表を衝いた。
レイヤーのキャミソールに薄手のカーディガン。レースをあしらったタイトのミニスカートから柄入りの白いパンストをはいた長い足が惜しげもなく晒されていた。
あの手塚でさえ目を見張る。
「この足はすっごい武器よ、マジで。筋肉の付き方も綺麗でラインも結構そそるし。白のパンストでもモデル並みに映えるなんてね~。」
柴崎は自分のコーディネートに満足げだ。
「ね、教官。そう思いません?」
どうだと言わんばかりに堂上に話を振った。
「いい!そんな武器必要ないっ!あたしの脚は速く走れたらそれでいいの!」
叫ぶように声を上げて 学生御用達のファイルケースで足を隠す。羞恥で身の置き所がないほどだ。
話を振られた堂上は腕を組んで郁をじっと見た。内心悲鳴を上げつつ 郁は困惑の表情で堂上のほうを窺った。
「ん、似合ってる。」
堂上は一言いうと郁に近付いた。郁は顔から火が出るほど真っ赤に染まる。
堂上の右手が郁の髪を耳に掛ける。びくりと竦んだ郁の耳に装着されているのは、小牧から預かった毬江の壊れた補聴器だ。
大切な彼女を辱められた小牧の心中は穏やかではないだろう。
「いいか、精々目立って引き寄せろ。俺がついてる。」
毬江が安心して図書館に通えるように。弱者を選んで卑劣な行為をする犯罪者には制裁を。
郁の覚悟は完了した。

「スミマセン、俺、柴崎のガードに就きます。」
手塚はくるりと踵をかえした。
「あ、そう?面白いのに。」
げんなりした顔の手塚を 小牧は「2人とも綺麗だよ」と誉め言葉をかけながら見送った。
男性陣は先に館内で布陣をくむ。犯人が現れたと連絡を得てから 郁と柴崎は館内に入っていった。


男の視線は感じられた。しかし直接確認できないこの状況は郁には大変なストレスだ。柴崎の事も心配だ。
ここは仲間を信頼するしかない。
郁は人気の少ない図書館分類学のコーナーに入っていった。
暫く入門書を読み入っていると、近すぎる位置に影が差した。夏でもないのに酸っぱいような油っぽいような独特な体臭が湧いてくる。足元には盗撮用と思われるショルダーバッグが置かれていた。
かかった!。
タイミングを計っていると、後ろからぞっとするような感触が太腿を撫でる。
郁は声を出さずに男の手を払ったが、構わず撫で上げてきた。振り返ってキッと睨んでも あろうことか男は薄笑いを浮かべながら両手を使ってスカートの中にまで侵入させてきた。
郁の背筋に虫酸が走る。
「何してくれてんのよ この変態ッ!!」
怒鳴りながら触りたくない男の腕を掴んで片足を跳ね上げようとした。
あたしスカート!
履き慣れない華奢な靴で足首がよれて潰れた。男がバランスを崩して郁に覆い被さってくる。
「何やってんだ貴様!」
その怒声は普段より凄みが増していた。
郁が目にしたのは堂上が払い腰を極めたところ。無様な男に小牧が手錠をかけた。ついでのように拳をお見舞いして。
大丈夫かと駆け寄った堂上が、郁の足を検分する。挫いたように見えたらしい。
勝手に触れていた郁の足を、堂上は慌てて離した。耳が赤い。
「ったく、そんなカッコでいきなり投げる体勢に入るな。サービスなら俺の前だけにしろ。」
「なっ…」
パクパクと口を開けている郁の後ろで犯人を捕捉した小牧が「ブッ」と噴いた。
堂上に睨まれて 小牧は犯人を引っ立てる。これからこってり追及して調書をとることになる。犯人を見据える小牧の表情が能面のようになった。


足に異常のなかった郁は堂上と連れ立って現場を離れた。第2図書館は第1図書館に次ぐ規模をほこる。
建物を出て、堂上が暫く訊き辛そうに逡巡してから訊いた。
「何かされたか。」
「足を触られました。あとスカートの中に手を──」
堂上の表情は険しくなり、拳がきつく握られた気がした。
「それだけです。全然──」
堂上の視界に 小刻みに震える郁の指先が入った。
「──大したことなんて…」
「大したことじゃないとか言うな!」
堂上は怒ったように大声を出した。郁は息を飲んだ。
堂上の目は郁を捉えて離さない。
「あたしは戦闘職種の大女ですよ。あんな低俗で卑劣な男の1人や2人──」
「すまない、大声を出した。お前はよくやった。」
堂上の痛そうな表情を見て、初めて自分が涙を流していることに気付いた。
「あれ? 変だな…」
郁は慌てて涙を拭う。
「笠原。───ほら。」
「?」

『そんな時、男の俺には どうしてやればいいのかなんて分からなかったんだよ。』
事件発覚後、小牧が部屋飲みに来て こぼしていた。
毬江の心の傷を思えば、安易にふれてはいけないような。
彼女が望むことならなんでもしてやりたいのに。
あの小牧が自嘲気味にビールを呷った。

堂上は郁に向かって腕を広げた。
「無理にとは言わん。使いたきゃ使え。」
「え…あの……」
郁はカチンと固まった。キョロキョロと辺りを窺う。
堂上に小牧のような資格があるわけではない。しかし涙もろいくせに弱音を吐くことをしないこの部下は、抱え込むだけ抱え込んで勝手に1人で泣くに違いない。
ほれほれと体を揺する堂上に、郁は暫く躊躇してから おずおずと近付いた。
「失礼、します…。」
妙な挨拶をして 堂上が開けた空間に身をおさめると、ふわりと優しく包まれた。
自分より低い位置にある肩に手を置いてから その上に頬を寄せる。ポンポンと背中を弾む堂上の手は、先ほどの男の手と大違いだ。
目を閉じて堂上の体温を感じられるようになった頃には、郁はその胸に身を委ねるように力を抜いた。もう震えは残っていない。
「あったかい。──安心できます。」
「そうか。」
堂上は郁の腰に手を回した。
「お父さんみたい。」
「違うだろが!」
すかさず拳骨が落ちてきた。
「痛ーいっ。」
頭をさする郁を残して、堂上は駐車場に向かった。基地に戻る為に。
郁は痛みに涙を浮かべながらその背を追う。
──嘘です。お父さんと違ってドキドキしました。


毬江が笑顔で図書館に戻ってきた。その胸には銀色のホイッスルが揺れていた。


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 | 2014年01月30日(木) 15:30 |  | コメント編集

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 | 2014年01月30日(木) 19:21 |  | コメント編集

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 | 2014年01月31日(金) 13:35 |  | コメント編集

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