All archives    Admin

07月≪ 2020年08月 ≫09月

12345678910111213141516171819202122232425262728293031

2014'02.05 (Wed)

「宣言」

婆さんに謝られました。

で、理由は。昨日 娘を塾に送って行く時、最近調子の良い婆さんが 洗い物をしてくれました。
小中学校は毎日お箸セットを持って行きます。それを洗うつもりで一緒にテーブルに置いてあった 台所の電気のリモコンを洗っちゃったみたいで。
あらホント、反応しない。電池の蓋開けて乾かしても復活しませんでした。おずおずと「これで…」とお金を出してきましたが、予備のがあるし。
「まぁ、よく(勘違い)あるよねー。」いや、ないか。あ、でも私も昔 携帯と間違えてテレビのリモコン持って出たことあるし。嫁も姑もおっちょこちょいです。

更新です。
いつの間にかカテゴリ図書戦、200を超えてました。
寂しいのは、カテゴリ分けするだけして放置してある「八雲」と「S&M」シリーズ。多分書かないので、消しちゃう前に名前だけご登場。先輩特殊部隊隊員の斎藤(八雲)一正夫婦に名前だけあてました。知らない方はスルーして下さいね。ホント名前だけなので、全然知らなくてOKです。
ああ、犀川先生と萌絵ちゃんなんて名前も出て来なかったよ(T_T)。
てなわけで、結婚後です。

↓こちらから どうぞ


【More】

「宣言」


新人図書隊員達の教育期間が終了した。
郁が初めての錬成教官という大役を果たして一息ついた、6月の後半。特殊部隊事務室も通常業務が戻ってきた。

すこぶるご機嫌の斎藤が鼻歌を歌いながら机に向かっている。時折携帯画面を気にしながら仕事をこなしていた。
「お、斎藤。いよいよだな。」
訓練から帰ってきた進藤が声をかけた。堂上班も同じく射撃訓練をしてきたところだ。
「斎藤一正は何かいいことあるんですか?」
郁も斎藤のにやけたような 落ち着かなそうな笑顔につられる。
よくぞ訊いてくれたと クルリと椅子を回して破顔した。
「里帰りしてた嫁さんと赤ん坊が戻ってくるんだよ。」
なかなか子に恵まれずにいたが 待望の男の子が誕生したと報告があったのは先月の半ば。図書隊は新人研修でバタバタしていたので、出産前後は暫く実家で過ごしていたのだ。
「あ 今日なんですね!あたしも早く会いたいな。」
階は違うが同じ棟の官舎である斎藤家とは交流が多い。妻の晴香は明るく 少々おっちょこちょいなところがあるが 郁とは気が合い、よく遊びに行っていた。大きくなっていくお腹を触らせてもらっては 郁も我が事のように出産を楽しみにしていたのだ。
「アイツも笠原に早く会わせたいらしくて、昼休みに事務室に寄るって連絡があってさ…」
緒形がドアを開けて入ってきた。
「斎藤、奥さんの凱旋だぞ。」
背の高い緒形の影からひょこっと顔を出したのは、斎藤の妻 晴香だ。
「ただいま。」
斎藤は椅子から勢いよく立ち上がり、「おかえり」と晴香の元にすっ飛んで行った。手を延ばしかけてハタと気付き、パタパタと身なりを整えて 改めて晴香の腕の中をのぞき込んだ。
そこには おくるみに包まれた小さな小さな赤ん坊。
晴香の肩を抱き、息を凝らして暫く眺めてから 静かに赤ん坊を受け取った。
わらわらとその場の隊員達も集まってきた。
「可愛いなあ。」
「目元なんて斎藤にそっくりだ。」
「口元は奥さんだな。」
屈強な男たちも赤ん坊の前では形無しだ。つぶしてしまいそうで 誰も手は出せないが、どの顔も目尻が下がる。
「ほら、笠原。」
「え、いいんですか?」
晴香がにこやかに夫の腕から郁の腕へ移し替える。
「早く郁ちゃんに抱っこしてもらいたかったの。」
赤ん坊は郁の腕で小さく身動ぎし 大きくあくびをした。
「ひゃ~ ちっちゃ~い。」
郁は目を細め、小さな命を慈しむように抱きかかえた。その姿に篤はドキリとする。
大変でしたか?。女性2人の出産の状況などの会話に男が入れるわけもなく、男たちは好き勝手に盛り上がる。
将来は医者か弁護士か、はたまた特殊部隊で鍛えてやろうか。明るい話題はすぐさま飲み会の計画へと発展していく。
堂上と小牧は一歩外で眺めていた。
どこから見ても赤ん坊を抱く郁は母の顔だ。
結婚して2年、そろそろと考えなくもない。錬成教官の話がきた時もだが、職業柄 無計画なことは出来ないと承知している。郁にとって 妊娠出産は身体にも仕事にも影響が大きいのだから。
「郁ちゃんもそのうちお母さんになるのよ。」
晴香の言葉が篤の耳にも聞こえてきた。郁が真っ赤になっている。
児童室での子供のあしらいには定評のある郁だ。子供好きである郁の腕に 篤とて自分たちの子を抱かせたいと思うのだ。
進藤が篤の横に立つ。
「子供っていいもんだぞ。」
子煩悩な進藤が篤の肩を軽く叩いた。

「あ、目が開いた。手、小さい。」
起きた赤ん坊が小さな腕を動かした。晴香は郁から赤ん坊を抱き上げてあやす。
「おっぱいはあげたばかりなんだけど。郁ちゃん、鞄からタオルとってくれる?お口が…。」
郁はブルーのタオルを手に、赤ん坊のよだれを優しく拭き取った。
「……いいなあ。」
郁がぼそりと呟いた。
「柔らか~い。」
再び口元にタオルをあてる。
晴香は赤ん坊の頬を優しくつついた。赤ん坊はその指を追うように唇を突き出す。
「うふ、欲しくなっちゃった?」
「え?やだ。あたし…」
「声に出てたわよ。」
晴香は艶やかに笑った。郁は肩を竦める。

周りの隊員もその言葉を聞き逃さなかった。ニヤニヤとした顔を篤に向け、視線を集中させられた篤はむずがゆさを感じた。
「まずは夫婦間で話し合いなね。」
小牧の気遣いに篤は無言で郁を見詰めた。

「でも あたしの一存では──」
「なんだ、笠原。ここに旦那がいるだろうが。」
「何なら 今相談してもいいんだぞ。」
次から次と上がる声に 篤の方が戸惑った。
「あんたら こんなプライベートな話に突っ込まないで下さい!」
篤の耳は真っ赤だ。
「いやいや、笠原は俺たちにとっても可愛い娘っ子だ。笠原が欲しいって言うんなら その望みを叶えてやりたいってのは通りだろ。」
「な、笠原。欲しいんだろ?」
「え?ま、まあ……欲しいんですけど……」
郁はチラッと篤を窺う。
「──っ……」
篤は進退窮まった。
「緒形副隊長、玄田隊長だって理解するよな。」
進藤のその言葉には郁が反応した。
「何で隊長が関係あるんですか? え、そんな規則があるんですか?」
篤は慌てる。
「いや、郁、それは──」
郁の錬成教官の話が来る前に話題にならなかった訳ではない。もっと言えば 女性隊員が所属するに当たって 郁が特殊部隊に入隊する前から、女性特有の問題には通達があった。男ばかりの職場だ。直属の上官となった堂上は、奥多摩訓練時などに配慮すべく指導されていた。
結婚後のことの指導があったわけではないが、そこはもう暗黙の了解というか、兎に角 今ここでそんな説明は出来ない──。
「あたしだって、たまってるんだから!」
「は?」
堂上、お前らお預けくらってるんか?
そんなに忙しかったのか、気の毒に。
でもそのセリフは男が言うんじゃないのか?
いろいろ臆測が飛び交う。
郁は顔を俯かせていた。
「篤さん、あたしやっぱり欲しいです。」
「あ、ああ……」
郁がずいっと篤に詰め寄った。
「だめですか?」
郁の勢いに篤は下がろうにも机が邪魔だ。真剣な郁の瞳に自分の顔が映っている。
篤は郁の頭に手を置いて、ぽんぽんと弾ませた。
「俺も そう 思ってた。」
負けだ。いつだって肝心なことは郁に言わせてしまう。篤は自嘲気味に微笑んだ。
わっ と、周りの隊員が沸いた。子作り宣言だ。斎藤も晴香と微笑み合った。
「じゃあ、早速今日!」
おいおい、続きは家帰ってからにしろよ。
「イ○ンに行きましょう!」
「は??」
その場の全員、例の如く声を失った。
「2階のエスカレーター脇に店舗が入ってるんです。」
進藤は複雑な顔をした。さすがの笠原も、赤ん坊はコウノトリが運んでくるとか、店で買ってくる なんて事を信じている訳ではないよな。篤を見れば 更に鳩が豆鉄砲喰らったような顔をしている。
「ね、晴香さん。コレそうでしょ?」
赤ん坊の口元を拭いたタオルを広げた。
「ブランドタオルで 結構高いんですよね。訓練でガシガシ汗拭くにはもったいないんだけど──」
ちょいちょいっと赤ん坊のよだれを拭き取る。
「肌触りも吸収力もサイコー!」
篤に満面の笑みを向ける。
「毎月ちょっとずつためてたし。錬成教官頑張ったご褒美もかねて、ね?」
何枚なら買ってもいい?。郁は可愛いく小首を傾げておねだりしている。

「へー、タオルも産着も同じブランドもんだな。」
斎藤は赤ん坊を覗いた。
「あ、ほら。赤ちゃん、肌弱いし、ね。」
えへへと晴香は微妙に笑う。
「高いんだ。」
斎藤はピクリと眉を上げた。
「ぐ……来月頑張る。」
しゅんとした晴香の頬をつついた。
「そうしてくれ、お母さん。」
斎藤はニコリと笑うと、晴香と一緒に堂上夫婦に目をやった。

郁がねえねえと腕を引いても、篤は天井を仰ぎ見たまま微動だにしない。
上戸に陥っている小牧以外は、さっさと業務に戻っていった。


=========


「運動部の女子にとってはタオルって命なの!」
娘の言い分です………。

17:37  |  図書戦  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
 | 2014年02月05日(水) 19:21 |  | コメント編集

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
 | 2014年02月08日(土) 22:55 |  | コメント編集

コメントを投稿する


 管理者だけに表示  (非公開コメント投稿可能)

▲PageTop

Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://746754.blog.fc2.com/tb.php/470-95a21fbe
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | BLOGTOP |