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2014'02.11 (Tue)

「宣言した後で」

雪に車がハマったのが 結構トラウマになってる英香です。
ハンドル握ると妙に緊張します。雪の残った道を避けて(いや、避けきんないけど)、大通りを回って移動しています。早く解けちゃってよ~(T_T)。

更新です。
前回「宣言」で あまりにも可哀想で残念だった堂上さんへプレゼント。
でも 頭の中のモノを文章にするのが、何だか今回難しく、ボキャの貧困さが身に染みて…。書いたら即アップ派なんですが、珍しく1日寝かしちゃいました。うん、待っても出てこないのが分かりました(x_x)。
てなわけで、前回の続きです。

↓こちらから どうぞ


【More】

「宣言した後で」


梅雨の晴れ間の訓練──。
気温が高く 湿度も高い、不快指数もうなぎのぼりだ。
休憩に冷たい水で顔を洗うと、郁は真新しいタオルを手に取った。
ぽふん、と顔を埋めると そのまま息を吸い込む。
「ん~~ 気持ちいい~~っ。」
郁はご機嫌に声をあげた。
「お、それが例のタオルだね。」
小牧がペットボトルの水を傾けて笑顔を向けてきた。
「はい。なんかいっぱい買ってもらいました。」
ああ、堂上の声が聞こえてきそうだね。タオルくらいいくらでも買ってやるってね、と小牧は黙って苦笑する。
郁の隣では篤が仏頂面の顔を洗っていた。
「はい、篤さん。」
郁は篤にもタオルを渡した。
「ちょっとだけカミツレのオイルを垂らしたの。キツくない?」
ふわりと甘く香るのは 馴染みの香り。柔らかな肌触りに 主張し過ぎず心地良い。
「ん、いいな。」
頭からガシガシ拭き上げる篤には 正直タオルの違いがわからない。まあ、郁がご機嫌にしているならヨシとする。

「昼間っから見せ付けるなよ 堂上。」
進藤も泥だらけの手を洗う。篤のタオルに手を伸ばしてきたが ひょいと避けた。
「今夜は飲み会だぞ。斎藤が親父になった祝いだ。」
「晴香は今日 ちび連れて友達んちに遊びに行っててさ。」
仕事が終わればすっ飛んで帰っている斎藤だ。すっかりデレデレのマイホームパパになっている。
「帰りにちょっと顔出すってよ。」
「いいですねぇ、楽しみです!」
教育期間中は なりを潜めていた特殊部隊の宴会だ。篤はハメを外さないよう祈るしかなかった。

子の誕生を祝うのは名目で、ただの宴会と化すのはお約束。
賑やかに酒が進む中、郁はちびちびサワーに口をつけていた。明日の堂上班は公休だ。篤と買い物がてらデートの予定なので、寝落ちして1日棒に振りたくないが ふわふわ気分に揺れていた。
篤は篤で玄田に捕まっていた。
「緒形に聞いたぞ。相変わらずの振り回されぶりだな。」
「放っといて下さいよ。」
篤は目を合わせないように空になった皿やジョッキを片す。
「手塚も笠原も立派に役目を果たした。うまく育ってるな。」
上官として部下を誉められるのは嬉しい。ここは素直に言葉を受けておく。
「火気規制もされて、今年は女子の防衛部希望者もちらほらと入ってきたからな。笠原の指導でどれだけ伸びてくるかだが──どうやら新しいビジョンも見えつつあるっ。」
玄田にバシンと背中を叩かれ、篤の体は傾いた。その耳元に吹き込む。
「隊の事は心配ない。お前らの人生設計を第一に考えればいいからな。」
篤が玄田の顔を見上げると、ニヤニヤした玄田に言葉なく軽く一礼した。

「斎藤~、坊ちゃんの到着だぞ~。」
座敷の入口に赤ん坊を抱いた晴香の姿。まだ赤ん坊を見ていなかった隊員達がわらわらと囲む。
玄田から解放された篤が郁の席に戻ってきた。残っていたビールの泡はすっかり消えてぬるくなっていたが、仕方なく飲み干す。
「郁、飲んでないだろな。」
「大丈夫。薄いの1杯だけ。」
郁は少々酒の残ったグラスを揺らして見せた。ほんのり上気した顔で、ぼんやり晴香の方を眺めた。

「よう堂上。俺らこのままタクシーで帰るんだが、ついでだからどうだ。」
同じ官舎だ。斎藤が赤ん坊を抱えて声をかけてきた。
終わりの見えない宴会だ。十分義理も果たしている。
「そうだな、明日は早めに出かけたいしな。」
篤は郁の頭にぽんと手を置いてから腰を浮かした。
「どうだ。堂上も抱いてみるか。」
そういえばまだだったよな、と斎藤が篤の腕に赤ん坊を預けようとした。慌てて篤も手を広げる。
「あ、やっ!」
とっさに郁が篤の袖を引いた。
!?
郁自身びっくりして手を離した。
「い、いえ。あの、なんでもないの。…どうぞ…。」
肩を竦めて微笑する郁を 篤は訝しんだ。
「ほらパパ、もうタクシー来てるみたいよ。」
ひょいと赤ん坊を抱き上げた晴香が 斎藤を急かした。
「堂上さんも出られる?」
「あ、はい。」
篤は 上着や郁の鞄を取りに席を立った。
「郁ちゃんも 行こ?」
晴香は何故か泣きそうになっている郁を促して店を出た。
「郁、どうした。酔ったのか?早いとこ休むか。」
追って出てきた篤が顔を覗き込んできた。
先にタクシーに乗り込んだ斎藤親子に続いて、篤も郁を促した。が、郁は篤の上着の裾を握りしめて動か
ない。
「郁?」
「堂上さん、郁ちゃん酔いさましてあげたら?。ね、郁ちゃん。」
何か言おうとした斎藤を制して 晴香が提案するとにっこりと手を振って、そのまま発車していった。

俯いたままの郁の手を取り、篤は近くの公園に向かう。寝落ちした郁を背負って帰る時のいつもの中継地点だ。
ベンチに郁を座らせて 自販機で水を買う。
「ごめんなさい。あたし……。」
篤は黙って隣に座った。
郁は暫く言葉を選んでいるようだった。
「篤さんに、よその赤ちゃん、抱っこして欲しくないって…思っちゃったの。」
篤は目を見張ると、ベンチの上の郁の手に自分の手を重ねた。
「へへ……何だろ、ヤキモチ?── 変だよね。ごめんね、抱っこしたかった?」
乾いた笑顔を見せる郁の額に、篤は軽く口付けた。
「いや、俺も───自分の子しか抱きたいとは思わないから。」
郁は ゆるゆると目を合わせた。
「俺に抱かしてくれないか。郁との子を、この腕に。」
篤の大きな手で、郁の手を包み込む。
郁の胸に込み上がる。
この人に抱かせてあげたい。抱いて欲しい。
ホントは思ってた。晴香のお腹を撫でる時、幸せそうな笑顔を受ける時。いつかあたしもって。
「あたし達の赤ちゃん。……でも…」
ふと 不安が過ぎる。
あたしにお母さんが務まるの?仕事は?育児は?
「郁、今日はこのまま外泊しないか?。いろんな話をしよう。」
郁の不安は俺が受け止めるから。いろんな夢を描こう。2人でしか描けない夢を語ろう。

その夢はきっと現実になる。

22:55  |  図書戦  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2014年02月12日(水) 13:41 |  | コメント編集

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 | 2014年02月13日(木) 21:09 |  | コメント編集

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