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2014'02.14 (Fri)

「0に戻した後は」5

バレンタインです。が、雪 再び(x_x)。
どーする。少々げんなりです。
さて、我が家のバレンタイン。主人は毎年某ホテルの銘柄チョコを指定。トリュフ系とかは苦手で、シンプルな板がいいそうです。何年か前に買ったそのチョコが気に入ったらしく、そればかり。楽ですが、選ぶ楽しみはありません。
主人は一応教員ですが、最近の学生さんはあまり配らないってんで、貰ってくる数は少なくなりました。各部署さんたちも連名だし、ちょっと寂しそう。ま、おっさんだしね。女子大生から貰おうだなんて虫が良すぎるってもんよ。バブルの頃が異常だったのさ。

更新です。
あれ?バレンタインまで届かなかったよσ(^_^;。バレンタインちょっと前の話です。「0に戻したら」の続きなの。堂上さん、郁ちゃんが王子様の正体が分かったことを知っています。
昇任試験の日程がハッキリしてない?と思うので、あやふやな設定です。突っ込みはなしでお願いします( -人-)。

↓こちらから どうぞ


【More】

「0に戻した後は」5


士長を目指す昇任試験。
図書隊に入隊して1年10ヶ月が経つと その資格が得られる。
柴崎・手塚の資格所得は当然だが、行政派幹部からは図書隠蔽事件で査問にかけられた郁の試験資格に難色を示されたと聞いた。
「何も心配する事はない。」
直属の上官の推薦を要する試験資格だ。堂上は断固としてその嫌疑を退けたらしい。
直接そんな事は言わない人物だが、いつでも公正に部下を守ってくれる心強い上官だ。
その上官に見合う部下として取り組まねば。まずは。
「筆記試験だよね…。」
試験対策に 郁は頭を抱えた。


「筆記は空き時間で見てやるから気に病むな。」

班内から新人1人だけ落とすわけにいかないからな、と言われたのは数日前。
確かにそうだろうけど!。
王子様と分かった状態で 1対1の勉強会とかっ。
しかも何だか堂上の距離感が微妙に近い気がするしっ。
未だ戸惑いの中にいる郁には かなり試練の時間となっていた。

昇任試験期間中にはバレンタインデーが控えている。
郁は1人チョコレート売り場に来ていた。柴崎は「配ると喧嘩になるから」と 個人的にはチョコは渡さない。しかも今日は休日返上で 支所の『おはなし会』に参加しているのだ。
隊のみんなには 去年同様徳用チョコを大量に買った。50人もの男所帯の中に女が1人だ。ブーイングなんかは気にしていられない。これで十分だ。
ただ、郁は毎年1つだけ本命チョコを購入する。6年前から。
顔も名前も分からない、大切な本を検閲から守ってくれた王子様に。
食べてもらえることのないチョコを いつも枕元にあるあの本に。
「お供え物みたい。」と柴崎には笑われたが。
今年はちょっと違う。
ガラスケースを眺めながら思い浮かべるのは──あの時の三正の背中ではなくて、どうしても堂上の顔がチラつくのだ。
「どうしよう……」
無邪気に買っていた去年までのチョコとは違う。『王子様へのチョコ』を前に、郁は暫く立ち尽くしていた。

基本 郁の勉強を見るのは課業後だ。テキパキと自分の書類を処理して、試験対策を練ってくれる。郁の物覚えの悪さは織り込み済みだ。査問対策同様、書いて覚える式。徹底してのスパルタ補習が続いていた。
「よし、休憩入れるか。」
お手製の小テストを終えて 郁の頭はオーバーヒートだ。
「疲れた~。」
椅子の背もたれに身を預けて伸びをする。
「コーヒー淹れてきます!」
堂上が給湯室に向かおうとしたのを郁が制して席を立った。気分転換しないことには脳がおかしくなりそうだ。それに──
今は事務室に誰もいない。2人きりの空間に 意識するなという方が無理な話。

昨夜。
「堂上教官が王子様なんでしょ?。それ渡す相手が分かって良かったじゃない。」
ベッド脇に置いたのは シンプルな濃紺包装の小箱。シルバーのリボンを結んだ箱の中身は勿論チョコレート。
柴崎の言葉に 郁は真っ赤に染まる。
「や、だけど──」
散々本人目の前に過去の人物に入れ込んでたんだよ。あまつさえ、比べるようなことや酷いこといっぱい言って…傷つけた。
知っちゃったから はいどうぞ、なんて失礼なんじゃない?。
正体を知ったからこそ動けない。こんな事態は想定していなかった。

コーヒーを淹れながら 堂上をちらりと窺う。
郁の解答をチェックしているのだろう。背筋の伸びた背中が──かっこいいとかっ。確かに6年前の三正の背中と重なる。
まずい、もう早急に横滑りしてしまう。ドキドキと心臓が忙しない。
目が合って 慌てて堂上のカップを渡した。
「ん、ありがとな。」
郁に体を向けると、先ほどまでの厳しい指導ぶりとは打って変わった柔らかい表情を見せる。
その態勢は郁には破壊力がありすぎる。郁が王子様の正体を知ったのが分かってからというもの、堂上が時折甘い顔をするようになった。それはもう、170㎝戦闘職種女が乙女モードに入っちゃうくらいの。
郁は堂上の視線から逃げるように自分の席についてコーヒーをかき回した。
「実技はお前の得意分野だからな、後は──」
対策を練りながら堂上がコーヒーをすすって、思い切り吹き出した。
「何だこりゃ!砂糖いくつぶち込んだ!」
「ええっ!」
慌てて郁もすするとまるでコーヒー牛乳だ。
「すみません!淹れ直します!」
「もういい!脳ミソに糖分必要なのはお前だけだろが。」
言いつつ構わず飲み下す。
「…教官、甘いの苦手ですもんね。」
「お前と違って 前世クワガタじゃないからな。」
「ちょ!何ですか、失礼な!」
こうした軽口を叩いているのは心地いい。タン、と置いたカップからコーヒーが飛び散った。
「あ、しまった。」
慌てて手近にある鞄からハンカチを取り出そうとして──ぶちまけた。
「ぎゃ!」
「何慌ててる。落ち着け。」
堂上が席を立って 散らばった中身を拾おうとした。
「あ、教官 ダメ!」
堂上の手が止まった。
郁は堂上の手の先にあったモノをひったくるように拾い上げて胸に抱えた。濃紺の箱。郁の顔は真っ赤だ。
「み…見なかった方向で……」
「見た。」
郁はくるりと背を向ける。
「見ないで─。」
ギュッと背を丸めた。
「誰かに渡すのか?」
その声にばっと向くと 不安そうな堂上の顔があった。
何でそんな顔をするの?。いつもあたしを翻弄させて楽しんで、余裕綽々のくせに。
「これは、その──」
王子様に買うつもりでガラスケースを覗いていたのに、思い浮かべるのは堂上の顔ばかり。本と並べて置くには違う気がして。だからといって素直に渡すにはまだ抵抗があるというか、勇気がなくて。
「まだバレンタインじゃないし……」
必死で言い訳ていると、堂上の右手が伸びてきた。
その手がシルバーのリボンを解く。
「予約、していいか?」
ゆっくりした堂上の動きを、郁はおとなしく見ていた。体が動かない。
「他の男には渡さない。」
リボンを手にしてニヤリと笑う。
「え、甘いモノは…」
「あほう、そういう問題じゃないだろう。」
ぺしりと頭を叩かれた。
「…筆記試験が終わったら──教官も糖分補給しませんか?」
出来の悪い生徒のテスト対策はなかなか大変ですよね。

課業後はスパルタ補習に甘い時間が流れる。

15:53  |  図書戦  |  TB(0)  |  CM(1)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2014年02月14日(金) 18:18 |  | コメント編集

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