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2014'03.03 (Mon)

雛祭り 頂き物「特殊部隊で雛祭り」

そして第2弾の頂き物です!
こちらもリンクさせていただいています、「LAVE LIFE の チョコくまさん」より 雛祭りのお話です。
勿論 こちらからのお持ち帰りは無しですよ!

↓こちらから どうぞ


【More】

頂き物「特殊部隊で雛祭り」

上官部下期


勤務が終わり、夕飯とお風呂を済ませた郁と柴崎は炬燵に入りのんびりお茶を飲んでいた。
「そういえば、図書館の子供向けのイベントで、雛祭りの催しを計画中なのよね」
「絵本の読み聞かせとか・・・??」
郁が小首を傾げて聞く。
「それじゃあ、ありきたりでつまらないでしょ?もう少し楽しいイベントにしたいと思うのよね」
ノートパソコンで企画書を作りながら独り言のように柴崎が言う。
「楽しいイベント?」
「そうよ。今、色々と業務部でも案が出てるの。きっと堂上班にも協力してもらうと思うから、その時はよろしくね」
そう言うと、柴崎は笑った。ニッコリというよりも、にんまりという表現の方が似合う笑顔だったのが少々気になるところだ。何かあるのかと一瞬疑ったが、イベントで何かあるとも思えないので気のせいだろうと郁は思い直す。
「子供たちが喜ぶと良いな」
どんなイベントにしろ、子供が主役で笑顔になれる企画が良い。
「そうね。きっと喜ぶわよ」
あんたもね。それから、あんたの朴念仁の上官も・・・かしら?心の中でそう言うと、柴崎はもう一度にっこりと笑った。




それから数日後、柴崎がファイルを手に特殊部隊事務所を入ってきた。
「柴崎、どうしたの」
普段なら堂上班に来る事が多いので、郁が声をかけた。それを笑顔で受け流すとそのまま隊長室の扉をノックし隊長室へ入っていった。しばらくして隊長室から豪快な笑い声が響いたかと思ったら、勢いよくドアが開いた。
「おい、堂上班!!お前らにイベント協力の依頼だ」
大きな声でそう言う。イベント協力と聞いて、郁は目を輝かせた。きっとこの前言っていた柴崎の面白い企画だろう。
「俺がOKを出した企画だ。子供達の為によろしく頼むぞ!!」
そう言いながら堂上のそばに来ると、グローブのような大きな手で背中をバシンと叩く。
「隊長、痛いですよ」
柴崎の企画を隊長が上機嫌で受けたことに全く良い予感がしない。むしろ悪い予感がした堂上は、仏頂面のままだ。
「あぁ、堂上。お前らしばらく小会議室を好きに使って良いぞ!!柴崎、今から小会議室を空けるから後はよろしく頼む。色々好きに使え」
玄田がまた豪快に笑う。
「ありがとうございます。じゃぁ、しばらく堂上班と小会議室をお借りしますね」
柴崎がにっこり笑い、隊長室に入っていく玄田の背中を見送った。隊長から受け取った小会議室の鍵を見せながら堂上に話しかけた。
「と、いうわけで。今から企画会議をしますのでよろしくお願いします」
「お前がそんなに上機嫌だと、あんまり良い予感がしないのはなんでなんだ」
手塚が怪訝そうな顔で呟く。
「あら、手塚。今、何か言ったかしら??良い予感がしないとかって聞こえたけど、気のせいよね」
柴崎の営業スマイルを見て、手塚は慌てて首を振る。
「な、何も言ってない。企画会議に行けば良いんだろう」
「分かってるなら、行くわよ」


小会議室に入りそれぞれがテーブルについた所で、柴崎が書類を配った。
「毎年雛祭りのイベントが変わり映えしなかったでしょ?今年はちょっと企画を変えてみました」
企画書には、ピンクの可愛らしいレタリングで『お雛様に変身♪』と書いてあった。
「へぇ!!お雛様に変身かぁ。良いね!!子供達が喜びそう」
郁が楽しそうに笑う。
「でしょ?衣装は子供用のは布で簡単に作れるし。カラービニールとかで手作りして着るのも良いんじゃないかと思って」
「うんうん!!工作とか子どもは大好きだもんね。喜びそう!!折り紙や色画用紙もあると良いよね」
郁と柴崎がアイデアを出し合って盛り上がっているところに、堂上が割って入った。
「柴崎、ちょっと待て。この『特殊部隊で雛祭り』っていうのはなんだ?なんでここだけ何も書いていないんだ」
企画書には子どものイベントについてはカラーで縁取りされ、イラストなども添付してある。そこだけ大きくすれば、そのままポスターにでもなりそうなほどだ。その企画書の一番下に、一行だけなんの飾りも無くシンプルに黒一色で『特殊部隊で雛祭り』とだけ書いてあった。
「あぁ、そこは当日のサプライズ企画なので、まだこれから業務部で打ち合わせするので白紙のままにしておきました。企画書が出来次第、また・・・。玄田隊長の許可はもう取ってあるのでご心配なく」
「またってなんだ、またって。企画書がきちんと出来てないのに隊長が許可って言うのがそもそもおかしいだろうが」
「玄田隊長の許可・・・ね」
小牧が呟く。
「えぇ」
柴崎がニッコリと笑う。
「ますます良い予感がしない。むしろ悪い予感がするのは気のせいか・・・」
手塚がこめかみを抑えて眉間に皺を寄せる。その仕草と表情は尊敬している上官にそっくりだった。
「あら、手塚ぁ。私の企画に何か不満でもあるのかしら?まさか、そんなわけ無いわよね?」
柴崎が手塚を見た途端、手塚は首を横に振り、
「気のせいだ。なにも言っていない」
とごまかす。そんな手塚を見て柴崎がもう一度満足そうに微笑んだ。
「なるべく早く企画書をあげろよ。当日の警備や手伝いがあるのならシフトの問題も出てくるからな」
堂上が一言だけ言う。
「そこは玄田隊長が協力してもらえるのでご心配なく」
だから、それが一番心配なんだ・・・。堂上が胸の中で呟いた。


***


雛祭りイベントまで2週間と差し迫った朝、柴崎が企画書を持って事務所に上機嫌でやってきた。
「お待たせしました。細かいところまで詰めていたら、思いのほか時間がかかってしまって。申し訳ありません」
小会議室に集まった堂上班のメンバーの顔を見ながら企画書を配る。
「申し訳ないって顔じゃないだろうが」
笑顔で企画書を配る柴崎に手塚が呟く。
「企画書に細かいことが書いてあるので見ておいて下さいね」
柴崎は手塚の言葉を無視してそのまま話を続けた。その企画書によると、業務部は絵本の読み聞かせ、他には子供たちの歌、子供たちの工作と衣装を着ての撮影会の手伝い。堂上班は着替え手伝いを受け持つことになっていた。撮影会の後は大人には甘酒を振舞い、子供たちはおやつをプレゼント。それをみんなで食べて解散し、片付けに入る。
「甘酒は大人のみです。もちろん運転者と子供はジュースで用意するのでご心配なく」
柴崎の説明を聞きながら、企画書に目を通した堂上が口を開いた。
「なんだ、結局俺達は着替えの手伝いだけなのか。じゃぁ当日までの準備とかはしなくても良いんだな」
「はい、大丈夫ですよ。当日忙しくなると思いますが、色々お願いしますね」
「じゃぁ、当日指定された時間にここに集合で良いんだな」
堂上が念を押して聞く。
「はい、よろしくお願いします」
柴崎が業務用の真面目な顔でお辞儀をした。
「じゃぁ、隊長の全面協力ってなんだ」
「それは、当日の着付けとか?それなりに時間がかかりますから。じゃぁ、当日お願いしますね」
人差し指を顎に当てると、首を傾げてニッコリと笑った。



その日の夜、あと少しで点呼の時間という、人も疎らな共用ロビーのソファーで柴崎が小牧と談笑していた。
「・・・と言うわけで、小牧教官、毬江ちゃんに協力してもらいたいんですけど」
柴崎が小牧に渡したのは、一枚の紙だった。その紙を受け取ると、小牧が目を通しながら返事をした。
「了解。そんなことだと思ったよ。毬江ちゃんには俺の方から連絡しておくよ。でも、笠原さんはともかく、堂上と手塚は大丈夫かな」
「大丈夫ですよ。そこはちゃーんと考えてありますから」
柴崎はニッコリ笑ってウィンクした。
「芝崎さんが大丈夫って言うんなら心配要らないね。じゃぁ、毬江ちゃんのことよろしくね」
「こちらこそ。よろしくお願いします。じゃぁ、おやすみなさい」
ソファーからスッと立ち上がり頭を傾げる。
「あぁ、おやすみなさい。こちらこそ、よろしく。当日を楽しみにしているよ」
「私も楽しみです」
笑顔を浮かべた2人はそのまま寮の自室へ戻って行った。


***


とうとう雛祭りイベント当日だ。先日までは肌寒かったけれど、ここ数日は寒さも緩んできた。ポスターやチラシを見て集まってきた親子は、みんな笑顔で児童室に入ってきていた。
「わぁ・・・」
児童室に入ると、昨日閉館してから作った壁面の飾りを見て、子供達の顔が笑顔になる。色画用紙や折り紙で作った桃の花が壁面を飾ってある。満開の花から蕾までが壁一面に貼ってある。壁面の中心には、花弁を模した薄桃色の色紙で「雛祭り会」と飾り付けた。それはまるで桃の花びらが舞っているように見えた。
その中に並べた雛飾りは豪華絢爛な物ではなく、華やかでありながらもやわらかく、ふんわりとしたものだった。
その雛飾りの横には、赤い敷物の敷いてある階段が三段。一番下には雛飾りがあるが上二段は何も乗っていなかった。
そして、その隣には金屏風の前に赤い敷物。金屏風の両端にはぼんぼりが置いてある。
「ここ、なんで空っぽなの?私のお家にはお雛様がいるのに」
子供が金屏風の前の空きスペースを不思議がって聞いてきた。
「ここはね、みんながお雛様になってお写真を撮る舞台なのよ」
笑顔で答えると、子供たちは嬉しそうにはしゃいでいた。
「じゃぁ、こっちの階段のところは?」
「みんな集まったら読み聞かせをするから待っててね。こっちは読み聞かせの後でのお楽しみよ」
子供の目線に屈んでウィンクすると、子供たちの目は期待を湛えたような笑顔になった。




郁達堂上班が小会議室に入ると、そこには着物が5着掛けてあった。
「わぁ、綺麗!!!なに??この着物」
「あぁ、束帯衣装と、十二単。それからこっちは三人官女の衣装よ」
柴崎がニッコリ笑って答える。
「え??なにこれ。子ども用にしては大きいよね。あ、もしかして父兄さん用」
郁が一瞬首を傾げるが、自分で出した答えに1人で納得して頷いていると、そこに手塚が口を挟む。
「父兄さん用で三人官女まで準備する必要はないだろう」
「あぁ、そうか。あれ?じゃぁなんで五人分なの??」
そうだよね。などと呟きながら、再び首を傾げ腕を組み考え込む。
「これはタスクフォース用のよ」
柴崎が事も無げに、当り前のように言う。
「は?タスクフォース?」
郁が素っ頓狂の声でそう言うと、続けて堂上が叫んだ。
「聞いてないぞ!!!」
「あら?言いませんでした?ゲストも呼んでありますから」
2人の反応に、想定内だとばかりに動じることなくそう言うと、パーテーションで区切られた向こうに柴崎が入って行った。再び柴崎が顔を出すと、その後ろに毬江の姿があった。
「今日はよろしくおねがいします」
はにかんだ顔で毬絵がみんなに挨拶をした。
「ま、毬江ちゃん。え?柴崎、これってどういう??」
郁が柴崎と毬江の顔を交互に見ながら、聞く。
「ん?あぁ、毬江ちゃんに企画の話をしたら参加したいって言うから」
毬江ちゃんの方を向いて目顔でね?と言う。
「こんな経験なかなかできないし。小牧さんに聞いたら、是非って言ってもらえたので。いけませんでしたか」
柴崎の表情に頷くと、みんなの方を見て眉毛をハの字にして心配そうに上目遣いで聞く。
「大丈夫よ、毬江ちゃん。華は多い方が良いしね」
柴崎が毬江の肩にそっと手を置いてニッコリ笑う。
「心配しなくて良いよ、毬江ちゃん。もちろん大歓迎だから安心してよ。ね?笠原さん」
小牧が笑顔で郁に同意を求める。
「あ!!はい!!もちろんです。毬江ちゃんと一緒にこんな企画が出来るなんて嬉しいな。柴崎、ありがとう」
郁が笑顔で毬江の両手をとって上下に揺らしながら答える。
「笠原さん、嬉しそうだね」
郁の様子を見て、小牧は口を手に当てて笑いだした。
「そ、そりゃ。こんな衣装が着られるなんてそうそうないし。記念になるでしょ!毬江ちゃんのお雛様、きっと可愛いと思いますよ、小牧教官」
小牧教官がお内裏様なんですね、などと呟きながら微笑む郁は、頬に両手を当てて目を瞑りうっとりした表情を浮かべていた。
「ちょっと、違うよ、笠原。毬江ちゃんは三人官女をお願いしてあるから」
「え?えぇ?そうなの??私、てっきり小牧教官と毬江ちゃんがお内裏様とお雛様だと思ってた。じゃあ、お雛様は柴崎か。似合いそうだしね」
今度は腕を組んでうんうんと1人で頷きだした。
「残念ながらお雛様は私じゃないわよ。それに、こんな美人がお雛様なんて似合いすぎるでしょ」
「自分で言うか、普通」
手塚が額に手を置くと呆れたように言い、ため息をついた。
「ちょっと待て。じゃぁ、お雛様は誰がやるんだ」
みんなのやり取りを黙って聞いていた堂上が柴崎に聞いた。
「毬江ちゃんでも私でもなかったら、笠原しかいないじゃないですか」
ニッコリ笑って小首を傾げる。その笑顔で頼みごとをされたら、老若男女問わず思わず頷きそうな表情だ。思わず頷きかけた堂上が、ハッとした表情で僅かに左右に首を振る。
「待て、じゃぁお内裏はどうするんだ」
「そうですねぇ、同期の手塚にでも頼もうかと思ってます」
「えぇ!!!やだ!!」
「誰がこいつと!!」
同じタイミングで郁と手塚が大声で否定をする。
「困ったね。手塚がやらないとなると。俺も今回は相手が違うしね。誰か他の奴にお願いする」
「あ!そういえば、業務で確か笠原の事狙ってるのがいたような気がします。聞いてみましょうか」
そういうと、柴崎が内線電話の受話器を上げた。
「ちょ、ちょっと勝手に話を進めないでよ。それに、そんなの聞いてないし」
「あら、だって今初めて言ったもの。あんた、実は結構人気あるのよね」
そう言いながら、綺麗に手入れされた指をプッシュボタンにゆっくりと伸ばす。柴崎がプッシュボタンを押す寸前に堂上が声を出した。
「俺がやれば良いんだろう」
そう言いながら横を向いた表情は、不貞腐れたような顔だった。
「あら、堂上教官。引き受けて下さるんですか?てっきりこういう企画は苦手だとばかり思ってたんですけど」
「・・・子供たちが待ってるんだろうが。準備するぞ。笠原、早くしろ!!」
そういうと、呆気にとられている郁の頭を軽く叩いた。
「いったい!!なんで叩くんですか??何もしてないのに」
「うるさい!!口あんぐり開けて間抜けな顔しやがって。で、着替えはどこですれば良いんだ、柴崎」
今にも郁の手を繋いで部屋を出て行きそうな勢いで堂上が柴崎に聞く。
「あ、ここで大丈夫です。簡易的なものですし、服の上から着られるようになっているので、カッターシャツだけ脱いでその上から羽織って頂ければ」
「え?そうなの??もっとしっかり着つけが要るんだと思ってた」
意外そうな顔で郁が驚く。
「普通はそうだけどね。そんなもの貸し出しではなかなかなくて。あ、笠原と毬江ちゃんはお化粧しなきゃいけないから先にメイクするから着替えはあとでね。それから手塚、あんたもこっち手伝って。メイクは隣の部屋でやるからこっちに来てもらっても良い?そういうわけで堂上教官と小牧教官はちょっと待ってて下さいね」
そういうと三人を連れて隣の部屋へ向かって行った。隣の部屋からは嬉しそうな声と、手塚の騒ぐような声が聞こえたが、やがて静かになった。しばらく待っていると扉が開き、綺麗にメイクをした郁と毬江が入ってきた。
「お待たせしました。ちょっと、早くしてよ。誰もあんただって分かんないから大丈夫よ」
「そういう問題じゃないだろ」
そう言いながら入ってきたのは郁よりも長身の見かけた事のない女性に見えた。
「じゃぁ、堂上教官はこれを、笠原はこっちね。毬江ちゃんと手塚はこっちに来て」
「名前呼ぶなって言ったろ!!!」
「え?てづ・・・・」
ブホッ!!!
手塚の名前を最後まで言う前に、小牧が盛大に吹いたかと思ったらそのまま床に伏せて身体をくの字に曲げて声も絶え絶えに笑い転げる。堂上はその場に固まっていた。
「あの、私、どこか可笑しいですか?」
堂上に無言で凝視され、郁は泣きそうな顔で俯いていた。その頬は堂上に見つめられ、羞恥で赤く染まっていた。
「あ、いや。別に可笑しくなどない。お前でも、それなりに・・・なるもんだと思ってな」
あんなに凝視していたのに、不意に顔を背けた。気のせいか横を向いた拍子に見えた耳が赤くなっていたのを見て、郁はさらに顔を赤くしていた。


***


束帯衣装は、浅葱色に淡い桃色で描かれた桃の花の模様が映えている。十二単は橙に白と桃色で描かれた桃の花。裾から出ている下の重ねは鮮やかな赤色で、お互いが引き立て合いとても綺麗だった。それぞれの衣装を着た堂上と郁が階段の最上段に座る。三人官女は 官女の衣装は、白の小袖に緋色長袴、その上に淡い桃色の色打ちかけを着て、二段目に座る。簡易衣装とはいえ派手ではないが色合いがとても綺麗だ。
「へぇ。こうやって見ると、まるで本物の雛人形みたいだね。毬江ちゃん、綺麗だよ。後で写真撮ってあげるね」
五人の姿を眺めると、小牧が感心したように言う。そして、毬江にニッコリと笑いかけた。
「あ、ありがとうございます」
そう言い微笑む毬江の頬はほんのり桃色に染まっていた。
「堂上、あんまり仏頂面しないでよ」
「うるさい!!俺の事は気にするな!!」
まるで噛みつくように言うと堂上が顔を横に背ける。その視線の先には郁がいた。緊張しながらも嬉しそうに微笑んだ郁を見ると、思わず唇が弛みそうになるのを慌てて引き締めた。
「柴崎さんが似合ってるのは女性だから当たり前なんだよね。て、てづ・・・」
さっきから手塚の名前を呼び終わる前に上戸に入ってしまう小牧は、ここでもまた口を押さえ、身体を曲げた。手塚は仏頂面で隠れるように俯くが、一番身長が高いため全く意味が無かった。
「ちょっと、手塚。子供たちが待ってるんだからいい加減観念なさい。それから、その仏頂面はやめてよ。笑顔が無理ならせめて眉間に皺を寄せないようにしてね」
「誰のせいだ、誰の!!」
「あら、だってあんたも快く引き受けてくれたじゃない」
「は??誰が快く引き受けたんだ」
「はいはい、柴崎さんも手塚もそこまでにしようか。そろそろ時間でしょ」
柴崎と手塚の言い合い、というよりも、柴崎に一方的に噛みつく手塚と、それを気にも留めずサラリとかわす柴崎に、小牧が声をかけた。
「そうですね。じゃぁ、みんな笑顔でお願いね」
そういうとサプライズイベントの為に、パーテーションで区切られた階段に座った。


イベントは子供たちにも保護者にも好評で楽しいものになった。撮影会では子供たちが大はしゃぎしていた。自分達が衣装を着られるのは勿論だが、まるで本物の雛人形のように変身した雛飾りが、更に好評だった。

こうして、イベントは大成功で終了した。


***


「郁ちゃん、昨日のお雛様すっごく可愛いかった!!」
イベント翌日、児童室の片付けに堂上班が行くと、子供たちが声をかけてきた。
「あ、ありがとうね。みんなもすごく可愛かったよ」
子供たちの前にしゃがんで嬉しそうにお礼を言う。
「きょーかんもカッコ良いね。王子様みたいだった」
郁の隣にいた堂上の袖を引っ張って、子供が笑う。
「えぇ?雛人形はお内裏様とお雛様って言うんだよ。でね、その下が三人官女って言うんだって。ママが教えてくれたもん」
「三人官女のお姉さんは、分かるけど、背の高い人、誰だったんだろう?」
「ねぇ。見たことないお姉さんだよね。綺麗だよね。あんな人図書館にいたのかな?」
その場で子供たちが楽しそうにお喋りをしだすと、頬を染めて微笑む郁と、仏頂面をしながらも唇が弛む堂上、そして身体をくの字に曲げて上戸に入る小牧。楽しそうな三人とは対照的に憮然とした表情を浮かべて、子供たちの輪から離れて1人黙々と片付けをする手塚の姿があったのだった。


fin


=============


きゃあー!。むちゃぶりで(お互い様か)書いて頂いたお話が こんな素敵な結果になろうとはΣ(*゚Д゚ノ)ノ。
お陰様でめでたい1日になりました。いやー、お願いしてみるものですね( ´艸`)。チョコくまさん、ありがとうございましたヾ(≧∇≦)。

14:57  |  図書戦  |  TB(0)  |  CM(1)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2014年03月03日(月) 15:42 |  | コメント編集

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