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2014'03.04 (Tue)

「それが現実」4

おお、日付けが変わるギリギリですね。
今日は婆さんと買い物に出ました。車に乗り込んでエンジンを──!かからない。キュルキュルいうばかりで一向にかからない。背筋に汗が。
あれ、半ドアだったのかな。毎日の足にして13年。もう少し頑張れ、と叱咤激励しながらの付き合いの愛車。
ボンネットの開け方さえ知らない 整備はお任せなので、解決策は思い浮かばない。心配げな婆さんの視線を感じつつ、繰り返しかけるうちにエンジンがかかりました。
が、このまま買い物に行って、出先で同じ状況になったらマズい。とりあえず 途中で止まらないことを祈りながらいつものディーラーへ。
──休みじゃん!
仕方なく大きめのガソリンスタンドへ滑り込みました。
結局はどうやら部品交換らしいですが、工賃が(当たり前だけど)結構かかるのね(+_+)。オンボロ車、ガンバ。

更新です。基本原作を軸にしているので、武蔵野第二図書館で起きた薬物常習犯の事件はそのままで割愛です。なんてウルトラC(^。^;)。
続きです。
↓こちらから どうぞ


【More】

「それが現実」4


カウンター奥で上官達が応対に追われていた。
「何かあったの?」
佐川は近くを通った女性館員を捕まえて小声で問うた。利用者に不安を煽ることはしないように。
「吉祥寺にある武蔵野第二図書館で 刃物を持った男が人質を盾に暴れているそうなんです。」
図書館は安全な空間である──。良化隊との検閲抗争の舞台にはなるが、総じて利用者は そう信じている。
しかし 図書館に限らず、公共施設などでも 大なり小なりの事件は実際起こっているのだ。図書隊がいるからといって 安易に安心してはいけない。一般利用者と不審者の区別はつけにくいからだ。
それでも 起きてしまった事件で、人質に害が及ぶのは避けねばならない。
「でも大丈夫です。特殊部隊が急行したんですって!。堂上班が出動したようですからね、スピード解決が約束されたも同然です。」
女性館員が自信あり気に息巻いた。
「ああ、堂上二正にかかれば間違いないな。」
佐川も頷いた。
「ふふ、柴崎士長も協力したようですし、コレは笠原士長の華麗な勇姿が見られそうですよ。」

堂上班所属の笠原郁が出動したのは分かる。そこに何故柴崎の名が出るのだろう。そして何故「華麗」などと似つかわしくない表現が使われるのだろう。

「金井ちゃん、堂上班 帰って来たって!」
他の女性館員が足早にやってきた。
「わっ 早い!。流石だわ!──カメラ カメラ。」
金井と呼ばれた 佐川と話していた館員は、急いで自席に寄ってデジカメを持ち出し、立ち去ろうとした。
「ちょ、何でカメラなんか──」
成り行き上 佐川は金井を追いかけるように話を続けた。
「早くしないとシャッターチャンスを逃しちゃうっ。」
先ほどまで ごく一般的で小柄な女性館員だった金井の目は キラキラと輝き、能動的な足取りは軽やかで羽がはえているようだ。
向かった先は 図書館裏手から出た庁舎前の駐車場。丁度紺色の大型ワゴン車が寄せられたところだった。
「隠れて!」
金井は鋭く佐川に指示をすると、サッと物陰に隠れた。佐川も思わず身を隠す。
助手席から降りてきたのは堂上だ。装備は外してあるが戦闘服姿は相変わらず凛々しい。
スライド式のドアが開いて出て来たのは──誰だ、あれは。
後から座席を倒して車を降りた小牧と手塚に目を向けられない。淡い色の花柄カーディガンを羽織り すらりとした足を惜しげもなく出したミニスカートの女性に釘付けになったのだ。
遠目でも見惚れる。ショートカットで快活な女子大生風のその姿は 戦闘服の男達の間に似つかわしくない。後ろ斜めから見える顎のラインはシャープで、隣に立つ堂上より高い背は ヘタなモデルよりスタイルの良さを際立たせていた。
幾つかやり取りした後 ワゴン車は助手席に手塚を乗せて車両倉庫に向かった。銃器の後片付けがあるらしい。

「じゃ 笠原さん、後で。」
風に流れてきた小牧の声に驚愕した。
──笠原?
応対のために振り向いた女性に 佐川は息をのんだ。
「キャー、笠原士長、今日のメイクはまた一段と映えるわ!さすが柴崎士長っ、あの口紅の新色はそそられるのよね~。」
隣でカメラのシャッターを切る金井は興奮している。
残った堂上と郁は軽く雑談しているようだ。腕を組んだ堂上は 郁の斜め前で難しい顔をしていた。しかし ふとその表情をゆるませて右手を上げると ポンと郁の頭に乗せた。それはごく自然に。慣れた行為のように。
更に佐川の心臓が跳ねる。
堂上の手の下で 頬を染めて はにかむような郁の笑顔に。
「──アレが、笠原、?」
「今日の笠原士長の任務は囮ですね。堂上二正は恋人を危険に晒したくなくて、でも班長として任務を命じなければならない。その葛藤を押し殺して送り出したの。笠原士長は 見事 刃物を持った犯人を釣って、油断させたところで一気に仕留めた!。笠原士長の活躍でスピード解決なんだわ。今は労いの言葉を 上官としてかけたところですね。そこにちょっぴり私情を交えて。そして今夜は恋人として甘い熱を与え合うのよ。萌えるわ~。」
つらつらと淀みなく 勝手な妄想力を働かせて、金井はうっとりと恍惚な表情を見せている。
勝手だが 大体合っているのは、彼女の追っかけ歴を物語っていたりする。
「そんなの──」
佐川は つと 目を逸らした。
「だから それ以上 惚れちゃ、ダメですよ。」
2人が庁舎に入ったところで、カメラを納めた金井が言った。
「なっ、だ、誰が!誰を!?」
「佐川士長が、笠原士長を。」
佐川は有り得ない言葉に金井を凝視した。
「ば、バカなことを……!。なんであんな山猿を──」
半分怒りの籠もった声をあげた。
「あらやだ。気付いてなかったんですか?。佐川士長、いつも笠原士長のこと 目で追ってる。」
「そ、それは、笠原が堂上二正の邪魔になってないかとか、あんな山猿のどこがいいのかって──」
「山猿山猿って、ホントはもうそんな風に思ってないくせに。」
金井の見透かしたような物言いに佐川の頭に血が上った。
「デタラメ言うな!。お前に何が分かるっ。」
食ってかかるが声が震える。何故だ。
「あの2人を邪魔することなんて出来ません。佐川士長も堂上二正の幸せを望むなら──」
「勝手に決めつけるな!!」
佐川はキッと睨み付けると、踵を返して走り出した。バカな!有り得ない!。半ばパニックに陥りながら 何かを振り切るようにその場を離れた。
金井はため息をついて肩をすくめた。
「恋愛のエキスパートの忠告は聞くものなのに。」
教科書はもっぱらハーレクインだが。


夜は眠れない。佐川は早々にベッドに潜り込んだが寝返りを打つばかり。
「落ち着かないなあ、佐川。」
同室の男はパソコンを弄っている。佐川のカーテン越しに声を掛けてきた。まだ眠っていないのはお見通しだ。
「そういえば 武蔵野第二からメールが回って来たぞ。笠原のミニスカートの画像付き。相変わらず見事な足してるよな~。彼氏いるのかって問合わせ多数だ。ざんね~ん。売約済み──」
「笠原の話をするな!」
佐川は勢いよくカーテンを開けて怒鳴る。
「な、何だよ。」
男は目をまん丸に開けた。
「……何でもない……。」
再びカーテンを閉じて布団に潜り込んだ。
「そんなに笠原嫌うなよ。結構いい奴だぜ。」
佐川は男の声を背中越し聞いた。


翌日。暖かな日差しが降り注ぐ 気持ちのよい昼下がり。
佐川は寝不足気味の頭を目覚めさせる為に中庭に出た。木漏れ日が眩しい。
暫くぶらぶらしていると、先のベンチに1人。軽く船をこいでいる。
「うたた寝、したくなるよな。」
適度な気温に小鳥のさえずり。
なんとなく近付いて 足が止まった。
ベンチで居眠りしているのは笠原郁だ。
佐川の体は硬直した。
「笠、原?」
喉の奥が張り付いたようだった。勿論 寝入っている郁にはその声は届かない。郁の右手には蓋を開けたままのミネラルウオーター。今にも滑り落ちそうだ。
コトリと僅かに傾いた。
特殊部隊に所属しているとは思えない華奢で長い指。まろやかな頬にかかる髪が サラリと揺れ、夢を見ているのか 時折瞼が微かに震える。
佐川は無意識にやや歩みを進めた。郁の寝息が耳に入るほどに。
やがて魔法にかかったように郁の正面に立った。頭の中は靄がかかったようだ。
吸い込まれるように前傾すると 郁の顔に影が落ちた。
「んふ…」
花が綻ぶようだった。
「きょーかん……だい…す…き」
呟く唇は 昨日の口紅の色を思い出させた。
佐川の理性が焼き切れる。ベンチの背に手をかけると、郁に覆い被さった。

「貴様!何をしている!!」
佐川の背に 怒号が浴びせられた。

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 | 2014年03月05日(水) 00:43 |  | コメント編集

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 | 2014年03月05日(水) 01:07 |  | コメント編集

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 | 2014年03月05日(水) 08:09 |  | コメント編集

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 | 2014年03月05日(水) 10:20 |  | コメント編集

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