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2014'03.16 (Sun)

「色づいた 蕾と」

こんにちは。
このところ更新が滞りがちな英香です。
一点集中型なので頭がなかなか切り替わらず、暫くポッカリしていました。
もう頭の中は「ひみつのアッコちゃん」で一杯で。はい、こちらの曲の編集に四苦八苦していました。あ、その昔のじゃないですよ。実写映画版のアッコちゃんです。
可愛い曲をご所望の娘に、いろんなサントラの中から選びました。
しかし、私の萌えが少ないのか進まない。これまで何かしら図書戦か岡田君の関わった曲ばかりだったのに、なんて。
もう1人 自分で編集する母ちゃんがいるんですが、こちらはキムタク曲しかしません。同感です。この作業、萌えがあれば徹夜なんて苦じゃありません(^_^)vてね。
でも、何とか完成させました(≧▽≦)。頑張ったよ、母ちゃん。
この春からは「アッコちゃん」でリボン、「SP」でロープ。(こちらはまだ迷い中)
後は 頑張れ。

更新です。
ホワイトデー、堂上さんは今一動くと思えない 上官・部下期(^_^)ゞ。
懐かしい No.35色づく 蕾 の続きになります。

↓こちらから どうぞ


【More】

「色づいた 蕾に」


特殊部隊の公休ローテーションが復活できるようになった。

郁は寮の部屋の窓を開け放し まだ冷たさのある風を呼び込んだ。柴崎は勤務だ。
特に予定は入れていない。このところバタバタしていて落ち着いて身の回りを片していなかったから、掃除して、大物の洗濯をして、買い物して──やることは山ほどある。が、物足りない。何かポッカリ空いている。
郁は指先のカサつきにため息をついて空を見上げた。つけっぱなしのテレビではパス報道が流れている。

事務室にある行動予定表の小牧の欄には 流れるような端正な文字で「武蔵境~三鷹近辺」とあった。今日の公休には 久し振りに恋人と会って来るのだという。
守秘義務のあった事件の最中だ。恋人と2ヶ月殆ど会えない状態でいたのに、毬江は不満をこぼさない。

凄いな。あたしと5つも違うのに。

時々図書館の近くで毬江と顔を合わせることがあった。彼女は一般利用者として普通に通っていた。
1度 気を利かせて「小牧教官 呼んでこようか?」と訊いてみた。しかし毬江は静かに首を横に振る。
「忙しいの、分かってるから。」
小牧と目が合って2人微笑み合う。そのまま小牧はその場を離れていった。これから裁判に向けての会議が入っているのだ。
「無事ならいいの。」
高校の制服ではない毬江は大人びて見える。それは外見だけではない、彼女の内面から滲み出る魅力。
恋人を案じ 信じ 待つ。

愛されてるよね、小牧教官。

逆も然り。
確かな繋がりがあるからこそ なのかな、と羨ましくも思う。
郁は洗濯物を干し終わると、ラフなジャケットを羽織り 日用品の買い出しに出た。


コンコンと堂上の部屋をノックしたのは小牧だ。顔を出した堂上に声をかける。
「じゃ、出掛けてくるよ。」
「おお、毬江ちゃんも待ってるだろう。早く行ってこい。」
「───」
「何だ?」
「今日は公休だよ。」
「…知ってる が?」
「笠原さんも公休だね。」
「同じ班だから 当たり前だろ。」
堂上はくっと眉を寄せた。
「デートの続きでもして来ればいいのに。」
しれっと放つ小牧に堂上は狼狽えた。
「ばっ、あれはそんなんじゃなくてだな──」
「あー はいはい。ただ お茶を飲む約束果たしに行っただけだったよね、部下と2人きりで、手まで繋いで。」
「っ……」
「どうせこの一件が片付くまでは、なんて面倒くさいこと考えてるんだろうけどさ。」
分かりやすい友人は頑ななところが玉にきずである。口を閉ざした堂上に小牧は苦笑する。
無駄な足踏みだってことは堂上自身よく知っている。だが走り出したら止められないし止めるつもりもない。あの日繋いだ手の温もりは 今でもここに。
しかし、優先すべきことは他にあるのだ。我を通すわけにいかない。不器用な自分を知っているし、郁も どう転んでも事件に集中出来なくなるのは目に見えている。
脈はある、とは思っている。しかし王子様から彼女を奪えているのかは──。
「ホワイトデー、何もしてないだろ?」
「当たり前だろが。んなイベントしてる余裕もないし、特段貰ってるわけでもない。」
ぷいと堂上はそっぽを向いた。
バレンタインデーには毎年恒例の徳用チョコが盛られていただけ。
「そんなの関係ないさ。きっかけは作るもんだよ。」
喜ぶと思うけどな、と小牧は呟いた。
「余計なお世話だ。ほら、待たせるなよ。さっさと行け!」
堂上は入口を塞いでいた小牧を押し出してドアを閉めた。
そのドアにもたれかかってため息をつく。昨日抱き止めた郁の香りが脳内を掠めた。



寒さがぶり返したような春先の桜の蕾はまだ固い。それでも今に芽吹くのを待ちわびているように ぼんやりとピンクに色付き始めた桜の枝が 風に揺れる。
この桜が咲く頃には 当麻の裁判が進んでいるだろうか。
「お花見、出来るといいな。」
良い形で春を迎えたい。
買い物袋を両手に下げて、郁は公園内の小径に足を踏み入れた。近場の花見会場としては有名所だ。

「上ばかり見てると また転ぶぞ。」
聞き慣れた声にドキリとして 前につんのめった。
「ギャッ、危な!」
郁は、危うく派手に転がるところを踏みとどまった。
「ほら、言った先から。」
小径に所々置いてあるベンチの前に呆れ顔で立っているのは堂上だ。荷物をベンチに 缶コーヒーで休憩、といったところか。
「こ、これは急に声を掛けられたからであって、昨日だって──」
庁舎横で抱き止められた時のことを思い出して言葉をつまらせた。桜の木の下で多々良を踏んで──あの後盛大に勘違いしたのも一緒に思い出されたので慌てて話題を変える。
「っと、教官も買い物帰りですか?」
郁は駆け寄り、堂上の荷物を覗き込む。袋の中は カップラーメンやつまみ類、ちらりと見えるのはひげ剃りの替え刃か 日用品の類だ。
「わー、忙しいの分かるけど、カップラーメンばかりだと体もちませんよ。」
「お前に言われたくないな。似たようなものだろう。」
郁の袋ではポテトやチョコレートといったお菓子が占めている。
「わ、これは柴崎の分もあるから…いいじゃないですか、疲れた時は甘いものが一番ですもん。」
ぷいと横を向いた視線のはしに 堂上の柔らかい笑みが見えた。
「そうだな、先月の徳用チョコは 事務室内の疲れた顔には効果的だったからな。」
バレンタインのチョコの話を出されて思わず堂上の顔を見直した。柔らかい笑みは見間違いではない。カミツレのお茶以来、時折見せる表情だ。
気付いてますか?。教官のその表情にどれだけあたしが振り回されてるか。
確かめたくなる。
その笑顔の意味を。
デートの約束みたいな言葉の意味を。
コンテナで握り返した手の意味を。
次って期待していいですか?
昨日の意味深な言葉を都合良く取りたくなるのは 悪いことですか?

半日会えなかっただけで 溢れる想いが処理しきれない。
当たり前のように毎日一緒にいるのに。──だからか。
少し離れただけで不安が募る。確かな何かが欲しくなる。毬江のように穏やかではいられない。
その存在を感じられるのは 目の前の実体だけ。心で繋がってると信じられる確かな理由がないのだから。


「何だ、変な顔して。奴らにお返しなんて期待しちゃいないだろうな。」
「別にしてませんよ!」
どん、とベンチに荷物を置いた。

とんちんかんなことを言うこの上官が憎らしい。

憂いを秘めた表情をしたかと思えばプンプン怒る 部下が愛おしい。

「……どこか もう桜が咲いてるのか?甘酸っぱい。」
ふと 堂上が視線を巡らした。
?桜の蕾は固い。そもそも香りなんて──
同じように辺りを見回していた郁が、何かに気付いたように自分の手の甲を鼻に近付けた。
「ああ、ハンドクリームです。手荒れが酷くて さっき新しく買ったのを塗ったから──」
何気に差し出した手を堂上が捕らえた。
「ん、これか…」
スン と香りを確認する。柔らかい甘さのチェリーブロッサム。
「昨日のとは違うんだな──」
堂上の中で 香りの融合が起こる。満開の桜より頭の芯に届く香り。
納得して視線を上げると、真っ赤になった郁の視線とかち合った。
マズい。
このところ気軽に触れすぎているせいか。セーブすればするほど意識は自分を無視して動く。
離そうとした手は どちらともなく握りあう。
「……冷えてるな。」
「け、軽装で出ちゃって…まだダウンが必要ですね。」
堂上はその手を いつかのように自分のコートのポケットに突っ込んで歩き出した。
ワタワタと引かれるままに 耳まで真っ赤な郁もついていく。そこは近くの自動販売機。
「何がいい?」
堂上が促す。
「へ?」
「50人分には足らんが。」
チョコのお返しのつもりだろうか。
「えーっ、コレでチャラにするつもりですかあ?」
「お徳用だろが。十分だ。」
ホットミルクティーがガコンと出てきた。堂上の手の代わりに渡される。
もっと 繋がっていたいと思う気持ちはお互い様だが知り得ない。まだ そんな確信は与えても与えられてもいないから。

ただ、暫しベンチで互いの穴を埋める。

今はここまで。
色づいた蕾が花開くのを待つばかり。きっとそれは遠くない。
13:28  |  図書戦  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2014年03月16日(日) 16:26 |  | コメント編集

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