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2014'03.27 (Thu)

「責任」

わお、凄い久しぶりになっちゃいました 英香です(^^ゞ。
ちょっとバタバタと宿題したり、年度末でいろいろあったり。
我が家にも今更ながらインフルエンザがやってきました。長男から多分ちびへ。ちびが先ほどから発熱してきました。朝になったら病院へ、ですね。
しかし検査も薬も進化しているんですね。鼻水だけで診断できるとか、1度きりの薬とか。大変な病気なのに随分と簡略化されたものだと、感心しました。
更新です。上官・部下で、査問後あたりかな?

↓こちらから どうぞ


【More】

「責任」


良化隊賛同団体の襲撃があった。
自称である為 正式文書も無しで突然の襲撃。業務部からの通達で 当初防衛部のみの対応だったのが、本物の銃を所持したままの侵入を許し、特殊部隊の出動となった。

『敵は5人。うち3人は確保。残りの捜索を………』
緒形からの無線が入る。
「いくら急な襲撃とはいえ、奥まで侵入されるなんて。敵は手強いんでしょうか。」
郁は指示を聞きながらバディの堂上に囁いた。
非常階段を使って2階の臨時展示室を目指して潜り込んだらしい。明後日開催の古書展に出展する蔵書狙いか。賛同団体にしては本格的だ。
「『稲穂会』といえば 比較的おとなしいビラ配り程度の活動しか聞かないがな。」
押し込んで来た時に名乗ったのだと報告があった。
堂上と郁は柱つたいに2階フロアを探ると、資料室のドアが開いているのが見えた。僅かにドアが揺れている。
二手に別れてドアの両脇を固めた。銃を構えて目で合図を送ると、勢いよく中に入った。──が、人影はない。部屋いっぱいにずらりと並ぶ背の高い棚とダンボールの山。
すると 奥でカタリと小さな音がして、郁が反射で棚の間に飛び込んだ。
「笠原 まて!」
郁が飛び込んだ先は通路を塞ぐように置かれた ダンボールと器材。
勢いでぶつかった為、ダンボールの山が崩れ落ちてきた。
「きゃ…」
「ッ!」
天井まで届こうかというほど積まれたダンボールがドサドサと頭に降ってくる。郁は身を固くして衝撃に耐えた。
ひとしきり崩れると、静寂が訪れる。
キュッと瞑った目を恐る恐る開ける。思ったほどの衝撃はない。
それもそのはず、堂上が郁の体に覆い被さるように防いでくれていたのだ。
「教官!」
もうもうと埃がたつ中、2人はダンボールの山に埋もれていた。
「煩い。耳元で叫ぶな。」
どうやら無事のようだ。
『2人確保。これにて侵入者全員捕縛。』
無線で伝わる緒形の作戦完了宣言に顔を見合わせる。──近い。
堂上が慌てて顔の向きを変えた先で 軽やかな足取りの猫がニャーとないた。
一気に脱力する。

しかし堂上が気を抜くと 郁に重みがかかる。体を動かそうにも器材が支(つか)えて身動きが取れない。
「くそっ。」
「…大丈夫ですか?」
堂上の肩の上には大きな箱が乗っている。郁にかからないよう、必死で防いでいるのが分かり、郁は申し訳なさでいっぱいだ。

汗に混じって咽ぶほどの何かの匂いが頭に直接漂ってくる。堂上の腕は重さに耐えるのにふるふると震え、思考が霞掛かってくる。ダンボールとの狭い隙間に2人挟まれた状態だ。
僅かに保っていた距離も やがて密になり、堂上は郁の顔の横に頭を埋める体勢になった。郁の頬に堂上の熱い息がかかる。
「きょ…か…」
郁が粟立つ。
『堂上、どこにいる?応答せよ。』
無線から小牧の声がして目が覚める。頭を上げて応えた。
「こちら堂上。2階第3資料室だ。すまんが応援を頼む──」

「うわー、派手にやったなあ。」
資料室にやってきたのは、小牧・手塚・進藤。
「こりゃ 片すの総出だな。」
笑いを含んだ小牧に堂上が怒鳴る。
「いいから 早く退かせよ!」
はいはい、と 2人の上の器材やダンボールを下ろしていく。肩の上にあったダンボールがなくなると、堂上はグイッと体を起こした。
「ひあっ」
郁の妙な声がした。

堂上は肩や首をグルグルと回す。
ギシギシと固まった筋肉を解してから部屋の有り様を見て、大きくため息をついた。仕方がない、片すか。
幸い中身はバラけていないので、順にダンボールを積み上げていく。
「これは1度整理しなきゃだね。」
そう言う小牧の横で、郁も黙々と動く。
いつもなら無駄口の多い郁がおとなしい。堂上は訝しんだ。
「どうした 笠原。どこか痛むのか?」
怪我でもしたのかもしれない。郁の顔を覗き込んだ。
「……教官が触った。」
「は?」
「てか、握られた…」
郁の呟きに、小牧をはじめ 進藤や手塚も手が止まる。郁の顔は俯いたままだ。
触った?握った?
何を?それとも どこを?
一同の視線が堂上に集まる。堂上の背中にヒヤリと流れる汗。
「潰れちゃった…」
郁が胸に手を当てる。
──え。
「お前、潰れるほど無──」
失言しそうな手塚の足を小牧が踏んだ。
まてまてまて。だいたい戦闘服だ。プロテクターもしてある。堂上は記憶をめぐった。あの時の体勢で──そういえば右手に……
「堂上、手付きが やらしい。」
小牧に指摘されて右手を引っ込めた。
「やだ……」
じわりと涙が浮かんだ郁に進藤が言った。
「わあ、ほら泣くな。あれだ、堂上が責任取ってくれるって。」
「進藤一正!何言ってるんですかっ!」
キッと進藤を睨む堂上に 涙目の郁が縋るように見つめた。
「責任……」
ずいっと一歩出る。
「取ってもらえるんでしょうか。」
うっ、と堂上の言葉が詰まった。
郁は目を逸らさない。
堂上は 小牧・進藤・手塚と視線を移してから改めて郁を見た。うるうると揺れる瞳に ゴクリと生唾を飲む。
「責、任…」
喉が張り付いたようだ。
「でないと──」
郁はへにゃりと眉を下げた。
「柴崎に怒られちゃう。」
「「「「柴崎?」」」」

郁は胸元から紐で首に下げている小袋を取り出した。
その朱色の巾着型の御守りは、くしゃりとひしゃげている。

「柴崎から貰った災難よけの御守りなんです。地元の有名な神社のだって念をおされてて。戦闘服から飛び出ちゃって、さっき助け出された時に教官が……」
どうしよう とオロオロする郁に、堂上は拳骨を落とした。
「紛らわしい言い方するな!」

不満を漏らす郁に 実際引け目がある堂上が後日お詫びに渡した代わりの御守りは──
柴崎の笑いを買ったのは言うまでもない。


00:24  |  図書戦  |  TB(0)  |  CM(1)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2014年03月27日(木) 11:41 |  | コメント編集

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