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2012'10.31 (Wed)

「油断」

働き過ぎたからでしょうか?。パソコンが接続されない表示が出てばかり。新しく覚えた技を忘れちゃいそうな英香です。
てな訳で 携帯から更新です。よくあるシチュエーションでよくある展開ですが、ご容赦ください。ベタ好きなもので。
上官部下期、戦争辺り。


↓こちらから どうぞ


【More】

「油断」


今日は珍しく定時にあがれた。夕食には早いし、と 郁は1人ドラッグストアへ買い物に出た。乾燥気味だから 化粧水とリップクリームを、ついでに柴崎とお喋り用にとスナック菓子を買った。
日が短くなったので、あっという間に暗くなる。歩を進めていると 路地から女性の声が聞こえた。
「やめて下さい…いやっ…」
か細い声が漏れ聞こえる。男と揉み合いしているようだ。
「何してるの!。」
郁は声を張り上げて駆け寄った。買い物袋を振り回し 女性から引き離す。捕まえようとしたところ、女性に縋りつかれて取り逃がしてしまった。女性は恐怖で泣き出したので、落ち着いたところで家まで送って行った。

「――っていうことがあったんですよ!。」
次の日の食堂で堂上班との食事中に憤然としてまくしたてる。か弱い女性を狙う悪質な猥褻犯を取り逃がしたと悔しがる郁に 手塚はそういえば と口を開いた。
「半年位前も あの辺りで痴漢騒ぎがあったよな。路地に引き込んで犯行に及ぶって。結局捕まらないまま暫く聞かなかったけど。」
「わー、手口一緒じゃん。常習犯だわ。許せない!。捕まえたら一発じゃ済まさないから!。粉々になったポテチの恨みも晴らしてやる!。」
おいおい と男性陣から声があがる。
「おまえ、絶対自分で捕まえようとするなよ。反撃されでもしたら危険だからな。」
堂上がビシッと郁に指を突き付ける。
「大丈夫ですよ。アイツそんなに強そうじゃなかったし、狙いはか弱い女性なんだから こんな大女に手を出すなんてしませんよ。」もし来たら返り討ちにしてやる と笑う郁に、堂上と小牧は大きなため息をついた。

数日後、郁は1人コンビニの帰り道を歩いていた。人通りはないが真っ暗な程ではない。
突然後ろから口を塞がれて路地に引き込まれた。「暴れるな!。」男の低い声が耳元に聞こえた。
相手は見覚えのある背格好。身長は郁と同じ位。細くて華奢に見えて郁はいける、と思った。男の手を取ると反転してぶつかるように大外刈りを仕掛けると見事に決まりマウントを取った。
「おとなしくしなさい!」
暴れる男に拳をふりあげると グッと身体が浮き上がった。バランスを崩して尻餅をついた。するといつの間にか男が郁に覆い被さる態勢になっており驚愕した。華奢だと思った体は固い。揉み合う内にボタンが弾けた。「やっ」
急に男の身体が持ち上がると 鈍い音がして吹っ飛んでいった。
「笠原!」
堂上の声に顔を上げると 男は小牧によって後ろ手に拘束されていた。「怪我はないか」と郁を見た堂上が、慌てて自分の上着を放ってきた。前が少しはだけている。郁は有難く上着を羽織り、しっかり閉じた。
「スミマセン。油断しました。」
「油断、だと?。」
郁の言葉に堂上の気圧が急激に下がった。小牧は首を振り、後は任せたと男を警察に連行していった。
「おまえは油断してなければ あの男をどうにか出来たというのか?。」
男の1人や2人。戦闘職種で大女の自分なら――。
堂上はおもむろに郁の手首を取った。
「ならこの手を外してみろ。」
ギッチリ握られて身動きが取れない。確かに堂上は強いが、顔色も変えず平然としているだけなのにびくともしない。
「怖い」突然襲ってきた恐怖。堂上に対してではない。今更あの男への恐怖心が沸き上がってきた。震えが襲い涙が浮かぶ。あの時の女性と何ら変わらないんだと思い知った。握っている堂上の拳にはうっすらと血がにじんでいた。あの男を殴った時だ。本気で心配させた。
「確かにおまえは強い。そこらの男よりはな。しかし状況や相手によってはどうにもならんこともある。女なんだよ。分かれ。」
堂上は手を離すと 赤くなった郁の手首を一撫でして「悪かったな。」と呟いた。堂上の顔は郁よりずっと痛そうだった。
「ほら。」
おまえ足をひねっただろう、と手を引いて立たせてくれた。体重を乗せると左足に違和感があった。何で分かるんだろう。この上官には適わない。
そのまま手を引いて歩きだした。支えが必要だろうから、と。郁はこの温かくて力強い手にちょっとだけ甘える事にした。

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