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2014'04.04 (Fri)

「花占い」1

ちらりと花見をして来た英香です。
すっかり出不精になったチビを連れて町場の公園へ。
今日の天気はイマイチで、小雨がパラつく花冷えの1日。でも桜は満開で綺麗でした。家の近所はまだ先で、案外入学式は満開かしら?
チビは桜には興味ないので、ずーっと池でエビ取りです。我が家の車にはバケツと網が常備されています。

更新です。時期は引き続き戦争初期。勿論 上官・部下期です。オリキャラは 一応原作にチラリと出ている人物に名前をつけちゃった という(^_^;)。
↓こちらから どうぞ


【More】

「花占い」1


新図書隊員の練成教育は本年度約300名。50名ずつ6班で編成されている。

図書館員として配属されることが決まっていても戦闘訓練は免れない。
グラウンドに整列した新人教育隊員達に練成教官が指示をする。
「良化特務機関との抗争では専守防衛が基本だが、銃というのは武器だ。人を殺せる道具を手に図書隊は対抗していることを 身を持って理解しろ。」
その口調に新人達は緊張し表情を引き締める。
ずしりとした重量感。初めて手にした64式自動小銃は4.4キロ。
「コレ抱えて走るの?」
ごく標準的な体格の22歳女子である村上はおののいた。
「姉さんから聞いてはいたけど、厳しいなあ。」
こんなに重い銃を両手で胸の前で持って走らねばならない。
元々運動をしていた村上でさえキツい。それでも大切な本に携わる図書館員になるには必要な訓練だ。
プルプルと震える腕で懸命に走る 男女混合のハイポート。当然女子の集団は大幅な遅れをとる。その中で村上はペースを守ってゴールを目指した。
はるか前方に 身長では引けを取らないが明らかに薄く細い背中。
「腕下げんな、笠原ッ!」
教官の罵声が響く。堂上篤二等図書正だ。
女子から人気のある他班小牧教官より10センチほど低く小柄だ。しかしガッチリとした体型は軍人らしく迫力がある。但し周りの教官らが屈強なので 小牧同様線が細い印象を受けるが。
その堂上教官の叱咤が向けられているのが、新人の中でも何かと目立っている笠原郁。女子にしては体格的に恵まれており、かつ脅威的な身体能力に長けている。
反射速度や瞬発力を培う訓練で 教育隊全体の上位に食い込む郁と直接の教官である堂上の対決は、既に名物のレベルだ。

ふらふらになりつつも何とかゴールした村上は、先に隊列を作って座っている男子の後ろに回って休む。ゴール横では郁が腕立てをやっつけていた。どうやらゴールを切るなり地面に倒れ込んだらしい。
肩で息をしながら列に着いた郁に向かって 村上は肩をすくめた。
男子を混ぜて 班50人中12位。女子の中ではぶっちぎりのトップだが、何故か堂上からは目の敵にされているようだった。
ゴールで倒れ込むことはないが、列の後ろでへばっている女子達を 堂上は一通り見回し、息が整ったところで指示をする。
「各自部品のチェックをし報告後終了。」
グラウンドに正午のサイレンが鳴り響いた。


「あーーーもう つっかれたぁー!」
基地食堂では新人の悲鳴や泣き言が溢れるが、一際大きいのは郁だ。
「あのクソ教官、あたしのこと目の敵にしてなぁいー!?」
日替わり定食にかぶりつく郁に、村上はクスクス笑う。あんなに余分に絞られているのにこの食欲。あまりの疲労に食欲減退している周りの女子隊員は呆れ顔だ。
堂上の悪口を並べ立てる郁を 隣の柴崎はやんわりと宥める。
「でもあたし結構あの人スキかも。ちょっとかっこよくない?」
「あ、そうね顔はね。」
村上は柴崎に同意した。確かに強面だが、目鼻立ちははっきりしていて凛々しい。好みと言えば──好みだったりする。「あたしはイマイチ~」と反対意見もあるが。
郁はクソだのチビだの言いたい放題だ。170センチの郁からしたら見劣りするだろう。しかし小柄といえども目算165センチ。村上には別に気にならない。
あ。
郁の背後に黒いオーラ。話題の堂上だ。
それに気付いた郁が悲鳴を上げた。
続くのはイヤミの応酬だ。郁の遠慮ない口調に周りは苦笑いだ。
「あたしは誉めてましたよー、教官?」
入隊当初から図書隊の華と名高い柴崎が艶やかな笑みを堂上に向けた。堂上に好意を寄せている素振りを見せている。こんな美人には適わないな、と村上はため息をこっそりついた。
堂上と同期という 温和な人柄の小牧教官も加わって、周囲の女子が色めき立つ。
「柴崎、行こう。」
しかしぷいと立ち上がった郁は何やら遣り取りした後 トレイを片しにその場を離れた。周りも仕方なく続く。
食堂を後にする時に村上は堂上を振り返った。
堂上は食事の手を止めている。斜め後ろから伺えた堂上のその表情に引っかかりを感じたのは気のせいか。村上はふと気になった。


「あー腹立つ!せっかくの食事が台無しよ。」
ドカドカと廊下を歩く郁は 相変わらず罵詈雑言を連ねる。
「まあね、確かに笠原に対してだけ、キツいかも。」
歩調を緩めた村上は 腕を組んで首を捻る。
図書隊には2つ上の姉も業務部に所属している。自宅は図書基地からさほど遠くない為 通勤組である。村上も教育期間が終了したら寮を出て通勤する予定だ。
その姉の堂上評はすこぶる良い。もっとも業務部ではあまり接点はなく 細かいことは不明だが、先ほどのハイポート後の報告の際に、必要ある隊員には個別アドバイスなどを与えていた。村上は重心が傾いていることとペース配分の良さを言われ、あまりの的確さに舌を巻いた。
改善点を提示し、良いところを認める。──見ていてくれている安心感があり、堂上の存在は暖かくも感じるのに。
厳しい教官だけどさ。
村上は先を歩く郁の後ろ姿を 足早に追った。

19:43  |  図書戦  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2014年04月04日(金) 22:11 |  | コメント編集

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 | 2014年04月05日(土) 16:13 |  | コメント編集

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