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2014'04.11 (Fri)

「花占い」2

お久しぶりな 英香です。
なんだかバタバタとヽ(゚Д゚)ノ。
さて 本格的に新学期が始動し、給食の有り難さと弁当作りの煩わしさを感じつつ、春の訪れを楽しんでいます。
犬の散歩もこの時期気持ちがいい。残念ながら強風には悩まされますが、寒くてコースをショートカットされなくなって 犬が一番喜んでいるかも です。
桜も今満開で、明日の自衛隊祭りは見頃かな。んー、でも毎年強風で ヘリの訓練展示はカットされがちなのは残念。そして我が家は毎年のことなので スルーの可能性大。ヘリ部隊は砂を巻き上げるので、アレルギー持ちの男組は敬遠しがち。お天気と父ちゃんの気分次第かな。

久々の更新です。
甘さ皆無の出始めから続いていますが、もう少々お付き合いを(^^ゞ。
↓こちらから どうぞ


【More】

「花占い」2


午後の訓練は 屋内の道場で格闘技だという。
女子隊員には初めて柔道着に袖を通したという者もいる。入隊1ヶ月は受け身や足さばきを中心に、少しずつ打ちこみを始めた。今日は初めての乱取りだ。
「笠原、さすがにあたし達じゃ無理よ。」
村上は郁に詫びを入れた。体格差もあるが、郁の俊敏性や身体能力は他の女子とは比べものにならない。たとえガッチリ体系をしていても、足をちょっと引っ掛けられたら コロンと転がるようなメンバーしかいないのだ。
「あ、じゃあ俺俺!」
スケベ心丸出しの男子隊員が次々と立候補する中、後ろから隊員たちを張り倒しながら堂上が出て来た。
「アホか貴様ら!笠原は俺と組め。こいつらとは組ませられん。」
男子隊員のブーイングを一瞥で黙らせた堂上は帯を締め直す。
「見くびるな、これに女を感じるほど飢えてない。」
背筋を伸ばして顎を引き真っ直ぐ郁を見据える堂上に村上はドキリとした。そうよね、笠原に女感じてるわけじゃないんだ、とホッとする自分がいる。
郁の挑発に表情は変えず、堂上は軽く構えた。踵を紙一枚分浮かした自然体。安定した立ち姿に──惚れ惚れする。

そして堂上と郁のその後の一連のあり得ない対決に、村上をはじめ周囲がどよめいた。
堂上が涼しい顔で一瞬のうちに郁を背中から畳に叩きつけると、郁のドロップキック、堂上の腕ひしぎと続いた。
「ギャーーーーーッ!ギブギブギブ離せクソこの死ね堂上ーーーッ!」
なんだこの犬猿の仲。
郁の罵詈雑言は道場の外にも響き渡り、村上は笑うことも出来ずに呆れるしかないほどだ。
その夜は食堂で、風呂で、寮で、郁の悪態は酷いモノだった。


教育期間終盤からは、図書館業務部配属の村上は武蔵野第一図書館で研修に励んだため、防衛部の堂上や郁達とは別になった。
寮の共有区間で他の男子隊員から伝え聞くのは、相変わらずの関係らしい。図書館でたまたま見かけた警備研修での2人も、一言も言葉を交わさず 視線も合わせない。
そんな時、郁が蔵書損壊犯と出くわしたらしい。騒ぎを聞きつけ近くにいた村上は、男子トイレの方を見た。
「確保しました!」
弾んだ郁の声に被せるように堂上の怒声。
「アホか貴様!」
村上が見たのは衝撃的な光景。
確保が甘かったのか 再び襲いかかってきた犯人から郁を庇った堂上がかわりに殴られ、直ぐに反撃した堂上は犯人に手錠をかけて確実に捕らえた。
そして 廊下で尻餅をついて呆然としていた郁の手を引き、立たせて──引っぱたたいた。その音は 離れた村上の耳にも大きく響くほど。

「うわ、痛そ。」
同じく見ていた隣の男性館員から声が漏れた。
「あそこまで嫌わなくったっていいもんなのにな。女の子殴るとか、ありえないよ。」
郁は叩かれた頬に手を当て 下を向いていた。
気付けば利用者も 何事かと周りに集まっている。
村上ら館員は「心配ありません。解決済みです。お騒がせ致しました。」とアナウンスしながら誘導した。利用者がパラパラと散っていく中、堂上が背を向けて立ち去るのが目に入った村上は、他の館員から離れて こっそり後を追った。
殴られて 怪我してたみたいだし。
しかし堂上は医務室とは別の廊下を歩いていく。
村上は思い切って声を掛けようとした。廊下を曲がって──
「どう………」
「堂上!」
別の方向から堂上に声を掛けたのは 小牧だ。咄嗟に村上は柱に隠れた。
「…小牧か。」
「防衛部から連絡貰ったよ。──はは、酷い顔だな。」
堂上はまるで刺された後のように 眉間の皺が深かった。
「余計なお世話だ。犯人は確保した。──あんな甘ちゃんの来るところじゃない。危うく怪我を…いや、いい。」
「甘さは今回身に染みたでしょ。」
小牧はクスクス笑った。
「俺、彼女みたいな人間、知ってたな。」
お前、煩い。
堂上は方向を変えて歩き出した。
「ヤツの来るべき場所じゃない。」
その横顔は辛そうにに見えた。
──公平になれるわけない。
その小さな呟きは 多分誰にも聞かせるつもりはなかったのだろう。
村上は出るタイミングを得ることができなかった。
どうやら医務室に向かうらしい堂上は方向を変え、村上のいる柱の手前で曲がって行った。


「あら、どうしたの こんなところで。」
村上は声を掛けられて飛び上がった。
「びっくりした。姉さんか。」
村上の姉も同じ業務部だ。
「どう、仕事 慣れた?」
「うん、まあまあね。あらかじめ姉さんからいろいろ聞いてるし、結構有利かも。母さんは?」
「元気よ。心配しないでしっかり研修なさい。」
村上姉妹は病気がちな母親の介護をしながら勤めている。本来入隊3年は寮暮らしだが、諸事情で申請すれば外部から通うのは可能だ。姉1人に任せるわけにはいかないので、村上自身も近々申請する事になっている。
「寮はどう?」
「うん、楽しいよ、っても 帰ったらバタンキューな日がほとんどだったけど。──ところでさあ。」
村上は堂上の姿がないことを確認して姉に聞いてみた。
「堂上教官…堂上二正なんだけど──」
「あはは、聞いてる聞いてる。なんか凄いんだって?女子新隊員と。」
姉はケラケラと笑った。あれだけ派手にやっていれば 犬猿なる上下官の噂は広がる。
「堂上二正って 相手によって対応違う人なの?」
堂上は明らかに 他の隊員と郁では扱いが違う。
「それが不思議なのよね~。堂上二正は公正を欠くような人柄じゃないんだけど。厳しいけど的確なのよ、言ってる事もやってる事も。」
姉の評価には村上も頷く。50人もの新人をまとめ上げる、その手腕は若いながらも見事な統率力だ。各教官は優秀だが、村上は堂上の教育班で良かったと思う。
その堂上が公平に出来ない理由は──
「よっぽど相性が悪いのね。」
姉はそう言ってクスリと笑うと業務に戻ろうとした。
「あ、今度の休みには家に顔出すから。お花買ってくね。」
花好きな母に 初めてのお給料で送ろうと決めていた。
村上の言葉に姉が手を振って応えた。

14:21  |  図書戦  |  TB(0)  |  CM(1)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2014年04月11日(金) 19:15 |  | コメント編集

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