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2014'04.17 (Thu)

「花占い」4

今日は、1日東京出張(飲み会含む)の主人を駅まで送り、帰りに古本屋で読書?してきました。
午後は仕事の構想だけして←、夕飯の準備をしようとキッチンに立ったのですが──長男いつの間に帰ってきてたのかしら?。弁当箱が。
!持たすの忘れてたΣ(''ω''ノ)ノ!
半日近く存在を忘れられていた可哀想なお弁当(半分チンだが)。傷みが気になるものは犬行きにして、もう一度火を通してチビの夕飯の前菜に。ご飯はほんのり温かく、保温弁当箱の性能に感心しました。

更新です。
としたくて準備してたのに、せっかく書いたお話が行方不明(T_T)(T_T)──仕方なく書き直したものの、どこか抜けてるような?。でもこういうのは多分もう復元できないので、このまま潔く更新です。
↓こちらから どうぞ


【More】

「花占い」4


館員になって初めての襲撃も経験した。
もっとも防護室に誘導するだけだが、安全かつ速やかに。改めて図書館で本や利用者を守る危険性を感じた。防護壁の向こうで戦う者を案じながら。


「付き合ってくれって言ったんですって」
聞き覚えのある声での気になる言葉に、村上は立ち止まった。
階段の手すりに身を乗り出して、柴崎が堂上を見下ろしながら話している光景。
「手塚が、笠原に。」
村上は書庫から上官に頼まれた資料を持って上がるところだった。
──堂上は何も言わない。一瞬よぎった困惑の気配は 他人の色恋沙汰に口を開くのを躊躇ったからか。
「知るか」
興味ないかのように階段を一段下りた堂上に、柴崎がにこりと笑いながら投げた告白に 村上は息を飲んだ。
「それじゃあ、堂上教官はあたしにしときません?」
柴崎、本気だったんだ。
村上は固唾を飲んだ。こんな美人に告白されたら……。きゅう と胸が締め付けられる。
「やめておく。若い奴らのやっかみを引き受ける自信もないしな。」
意外にも素っ気なく応えた堂上は、本気だか冗談だかしれない柴崎の態度にバカと苦笑し「さっさと業務に戻れ」と階段を下り、村上の横を通っていった。
堂上の背中を見送って 村上は視線を上げた。
村上と目があった柴崎はペロリと舌を出して肩を竦める。そんな姿も可愛らしい。断るの?こんな美人を。
「振られちゃった。」
おどけて見せる柴崎の元に追い付いた村上は なんと声をかけていいか分からない。ホッとして、でも疑問に思う。
「こんないい物件断るなんて 気が知れないわね。」
案外サバサバしている柴崎は、堂上に本気だったのかどうか。美人の考えることは分からない。自分だったら地の底まで落ち込みそうなことなのに。
「思う女性(ひと)がいるのかしら?」
柴崎の軽い言葉に村上の心臓が跳ねる。
堂上の近くにいる異性である郁は、手塚に告白されたと柴崎は言っていた。手塚は同期の中も非常に優秀である。実技も座学もトップクラスで、図書館協会の会長の息子というお家柄。しかも長身で見目の良さは、女子隊員の注目の的だ。
そんな男から告白されて──断るなんて ない。はず。
お願い、断らないで。

なのに後日聞いた話に驚愕した。
連続通り魔殺人事件の報道と たまたま外に出た郁が揉めた後に、郁が堂上に抱きついて泣いたのだと。いや 堂上に抱き締められていたとか。
業務部の間ではいろいろ噂が飛び交った。
手塚とはどうなったとか その後の噂は聞かない。そもそも村上から見ても 何らそんな雰囲気は手塚からも郁からも感じられなかった。
じゃあ、まさか。
でも少なくとも堂上は郁を女と見てなかったはず。郁も上官以上の感情はなかったはず。
諍いが有名なだけに 業務部ではあっという間に堂上と郁の噂は消えたが、村上の不安は消えない。
だってもう 互いを見る目に、以前のような険はない。
いくつもの抗争を経て培われた信頼が見て取れる。
そして、気付きたくもない 信頼以外の光も。



ぽん と置かれる手を もう何度見ただろう。
練成訓練では堂上の拳骨を見舞わされる新人隊員も多かったが、今ではほぼ限定されている事を知っている。
「確保!」
今や郁は研修時のように不完全な状態で気を抜くことはない。
置き引き犯の男を自慢の足で追いかけて引き倒し、容赦なく背骨に膝を乗せて腕を後ろ手にひねりあげる。手早く手錠をかけたその顔は 女性ながらも引き締まった精悍さが表れている。
犯人を防衛員に引き渡せば、その頭に乗るのは堂上の手だ。拳骨ではない、柔らかく広げられた掌。
あの手が優しいことを村上は知っている。節くれだった武骨な指は 本を扱う時は丁寧だ。本にさえ嫉妬したくなる。
その手の下で弾けるように笑う郁から目を逸らす。狡い。そんな時は女の顔。
もっと逸らしたいのは、郁に手を伸ばす堂上からだ。
気付かない振りをしたいから。
そんな愛おしそうな顔をしないで。眩しそうに目を細めないで。

気持ちを伝える勇気もないくせに、我が儘な願いだけを抱え込んだ。



今日は母の誕生日だ。遅くなったが 行き着けの花屋でアレンジメントの花を選ぶ。
「オレンジを基調に コレとコレを。」
先週寝込んでいた母に元気になる色を。
手際良く籠に活けられていく花々に心癒される。
店員は 籠を回しながら仕上がったドームを眺め、ガラスケースから濃いピンクのカーネーションを取り出し 1本挿した。
「いつも来てくれるから、サービスだよ。」
「わ、素敵。」
オレンジ、イエロー、定番のマーガレットの中に、アクセントになるピンク。
靄が晴れるような出来映えに 村上の笑みがこぼれた。
私にも勇気を。
村上は花籠を抱えて店を出た。

01:59  |  図書戦  |  TB(0)  |  CM(1)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2014年04月17日(木) 03:17 |  | コメント編集

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