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2014'04.28 (Mon)

「夢」

こんばんは。
週末は男組はヤマメ釣りに。←ボウズでしたが。
長女は部活。春大が始まり、とりあえず優勝しましたので県大会へと決めました(o^^o)。徹夜で編曲したSPが流れて満足満足。

更新です。このところの1人戦争ブームで文庫を手にすれば、やっぱり美味しいジュエルボックス。の、県展後?。長くなって割愛したところはお察し頂いて(^^ゞ、ご要望あれば「~の後に」で補完しようかしよまいか(*^_^*)。という気分です。

↓こちらから どうぞ


【More】

「夢」


何かと理由をつけては宴会になる特殊部隊。
戦闘職種系大男の集団が飲むからには座敷の個室を使用する。
今日は急だったにも関わらず、すんなりと部屋の確保が出来た。前日に大宴会が中止になったのだという。

「笠原、飲み過ぎるなよ。」
郁にかける言葉は毎度のことで。どうせ飲まされ寝落ちのパターン、ほどほどに切り上げればいい。
郁入隊以来、班長だからと仕事以外の面倒まで担当させられた。今やそれが当然のようになっている。
酒に弱いのは本人も周囲も承知の上だ。それでも繰り返されるのには もう慣れた。
郁は他では滅多に飲まないが、部隊の席では 先輩隊員に可愛がられて無責任に煽られる。
色がキレイ。グラスがオシャレ。量も少ないし──アルコール知識はなく見た目で興味をもっては、口当たりがいいからと いつの間にか郁の前にはカクテルが。

今日の訓練は1日ハードだった。疲れた体にアルコールの回りも早い。郁も頑張ってはいたが、トイレに立った後、邪魔にならないようにと 部屋のスミで丸くなって寝落ちしていた。
「おーい、堂上。笠原がオチたぞぉ~。」
進藤がからかいを込めて堂上を呼んだ。今日の寝落ち場所は衝立の裏側だ。
「進藤一正、今は集中訓練期間なんですから ほどほどにして下さいよ。」
小牧の隣で飲んでいた堂上は 大きなため息を吐いてみせると立ち上がった。気に入っている銘柄の日本酒を一気に呷る。
が、ふらりと足が多々良を振んで小牧の肩に手をついた。
「?珍しいな、堂上も酔いが回ったのか?」
「このところ残業で帰りが遅かったみたいだし、寝不足もあるんじゃない?」
隊長不在の今 各班長の負担も増えた。緒形が隊長代理で手が回らない状態の時は、特に外部関係の仕事は堂上に振られている。
「たまたまだ。問題ない。」
帰り支度を始めようとした堂上を見て、小牧は酒の追加を持って来た店員と言葉を交わした。
「堂上、奥の個室が空いてるみたいだから、そこで笠原さん休ませておくといいよ。まだ帰るには早い時間だしさ。」
充分ひと寝入り出来る時間だ。解散頃には郁も回復しているかもしれない。その間多少なりとも堂上も酒を楽しめる。疲れをアルコールで誤魔化したい気分だった。
「──だな。」
堂上は郁を背負うと廊下に出た。馴染みの店だ。迷うことなく指定された部屋に向かった。

臨時に使われる座敷には、余分な座布団が奥に積み上げられていた。
堂上は適当に山を崩して広げると、座布団の上に郁を転がした。たしか膝掛け程度のものが借りられたはず。借りてくるかと郁を置いて出ようとした。
「ん……」
郁の口から、ややくぐもった声がしたので、堂上は振り返って郁を覗き込む。
「気分が悪いのか?」
顔色を窺うためにしゃがんで 頬にかかった郁の髪に触れる。柔らかく陽の香りがする郁の髪に。
茨城での検閲で初めて会った郁の前で見計らいを行使した日。泣き出した少女の頭に乗せた時の感触を思い出す。
忘れたかと思った感触は、あれから5年後に再確認することになった。もっとも拳骨を落とす方が多かったのだが。
「……どうじょう きょうかん」
寝息の合間に呼ばれる声は、寝落ちした郁を背負っている時に 聞かされるものと同じ。
「……どうじょう きょうかん」
柔らかく口角を上げて自分の名を呼ぶ郁の表情は、安心しきっていると捉えていいのだろうか。チビだのクソ堂上だの言っていた頃とは違う。いつもなら肩越しに窺うその穏やかな表情に、胸が熱くなるのは もう気のせいではない。
なんて顔で俺の名を呼ぶんだ──
目覚めぬ郁の頬に、触れるか触れないかのタッチで指を這わせた。


瞼をあけて視界に入ってきたのは、好きだと自覚している男の顔。堂上だ。極々至近距離にあるのに たいして驚かなかった。だってあの人がこんな近くで無防備に目を閉じているはずはないのだから。
ふわふわした感覚は夢の中だから。
郁はトロンとした意識のまま、その寝顔を観察する。
逞しい自身の腕を枕に寝息をたてている堂上。
寝てれば眉間のシワはないんだな。
意外と睫毛が長いんだ。
やっぱり鼻筋通っててカッコイいよね。
あ。
右の頬に薄い擦過傷発見。抗争の時の怪我だろうか。
郁は手を伸ばした。ややカサついた堂上の唇に。
緩く開いた唇からは規則正しい寝息が漏れている。その吐息に触れてみたい衝動に駆られた。


ヒヤリとした感触に意識が浮上した。
薄暗い部屋に目が慣れると、目の前には──手に入れたいと思っている女。
ああ、夢か。
心の奥底に沈めておいた箱が、何かの折にカタカタと音をたてる。
捨てたと思った鍵を拾って持っているのはこの女だ。
郁が入隊して以来、バカな夢を見る。
時には とても人には言えない夢を。
こんな風に 細い指を俺の唇に這わす。戦闘職種でも女の指だ。夢の中では俺の郁は抗わない。


伸ばされた指を堂上は自身の指に絡めると、郁の瞳に自分の顔が移っているのを確認しながら覆い被さった。やんわりと握り返してきたその手を縫い付ける。
ふわりと漂うのは酒の香り。
寮に送り届けた後の浮遊感。
何度となく見た夢だ。自分の想いに従うだけだ。欲望に従うだけ。
その心地良い微睡みのままに──口付けた。



「堂上───っと。」
店から借りた毛布を手に 小牧が部屋に足を踏み入れた。
「幸せそうな寝顔だな。」
ククッと笑う。
同じ座布団の上に頭を並べて寝入っている堂上と郁。
「目覚めた時が見ものだな。」
このまま寝かせておくのも面白い。

いい夢 見られるね。

小牧は疲れている友人と部下に毛布をかけた。
特殊部隊の宴会は続いている。


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 | 2014年04月28日(月) 22:43 |  | コメント編集

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 | 2014年04月29日(火) 00:59 |  | コメント編集

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