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2014'05.06 (Tue)

「夢の後で」

こんにちは。
連休はいかがお過ごしでしたか。
我が家は長期休暇恒例の恐怖の父ちゃん掃除で明け暮れました。
もう……家中ひっくり返しての模様替え。棚の中全部出して(子供担当)、新しい棚を組み立てて(母ちゃん担当)、移動して(父ちゃん担当)、入れ替える(母ちゃん担当)。
いや、使いやすくしようとしてくれてるんだよね。でも使ってるの私だし、不便感じてないからこのままでいいのに……。
と、毎度家族を巻き込み 大掛かり。で、風呂敷ひろげといて 後はヨロシク(と魚釣り)じゃあ(-_-#)。
長男は長男で 連休最終日に「課題は学校」と判明して取りに行ったり。
母ちゃんの眉間には 堂上さんバリの皺がよってます。
早く。早く父ちゃん仕事モードに戻ってくれ。連休なんていらない(T_T)。
でも、合間を縫って長男の元部活顧問の先生の結婚式の賑やかしに呼ばれたり、ちょっと幸せ気分になりました。

やっと更新です。
メール画面開いて1・2行書いてはリアルお片付け、の繰り返しで訳わからなくなりつつ、書き上げてもアップ準備も出来ず。何とかここまで漕ぎ着けました。
前回「夢」の続きです。

↓こちらから どうぞ


【More】

「夢の後で」


その指は白く 細く。銃の引き金を引く指と言えどもパーツは女のソレで。堂上は、先ほどまで 自分の唇をなぞっていた指先を優しく取って撫でた。
きゅっと握れば同じ様に握り返し、郁のうっすらと開けられていただけの瞼がゆっくりと上がると、そこに映るのは自分の顔。何かを請うような男の顔。
こんな顔 してるのか?。ふ と堂上が自嘲すれば、つられてふわりと笑う郁。その顔は、いつも見せる快活なイメージとは違う。匂い立つ女の香りを纏った別の顔。
指を絡めて手のひらを合わせ 体温を分かち合う。
身を起こしてその手を畳に縫いつけても、視線は外されることはなかった。

何度となく見てしまう 夢の中の郁。
通常ならばグーで殴ってくるだろうに、この郁はどんな俺でも受け止めてくれる。
間違った背中を見せたことで 郁の人生を危険な世界に引き込んだと、後悔から 拒否して突っぱねていたクセに──無意識に求めてしまうと自覚せざるを得ない夢を見る。
初めこそ 後ろめたさを感じたが、飲んで寝落ちした郁が自分の名を呼ぶ度にスイッチが入ってしまう。
「どうじょう きょうかん」
緩く開いた唇から零れる音は 俺の脳を痺れさせる。
そんな声を聴かせてはいけない。誘うような無防備な唇を見せてはいけない。
夢の中の俺は求めてしまうから。

徐々に寄せた唇に、郁のアルコールが混じった吐息が触れる。
堪らずいつものように口付けた。
柔らかな唇が触れ合えば止められない。
縫い止めていた手を外し、郁の頬を撫でながら ゆっくりと唇の感触を味わう。1度離れても惹きつけられるようにして角度を変えて。
その心地よさは いつもよりリアルに──


酒の消費が激しいのは毎度のこと。
「おーい、追加──って、堂上は?」
宴会も終盤に入り、そろそろ最後のオーダー というところ。進藤は辺りを見回した。
「おーやー?。なんだ、堂上のヤツ 笠原運んだまま 戻って来てないんじゃないか?」
ニヤニヤと顎をこする進藤に、小牧は言った。
「堂上も疲れてそうでしたからね。ちょっと気が緩んだんでしょう。」
なんだかんだと仕事を引き受けて(押し付けられて)はこなしていく。それが当然の生活である中で、郁の前では気を許しつつあるようだ。
県展以降、頑なだった堂上が どうやら腹を決めた節があるのは何となく皆察している。
そんな大人の集団は 今か今かと──賭けの対象とするにとどめている。


冷たい指先、暖かな掌、柔らかな頬に芳しい唇。今日の夢はリアルで、まるで、まるで……まるで?
急速な覚醒と共に感じる視線に堂上の体が反応した。

ガツン!
「「!!」」

額の衝撃と痛みと同時に どっと笑いが沸き上がった。
「ってぇ…?」
堂上が額を押さえながら周りを見れば、座敷の入口に人集り。
「な、なんだ?!」
状況が把握できぬままに見渡すと、座布団が散乱する上に足を投げ出して座っている堂上自身と、隣に同じく額を押さえて悶絶して沈んでいる郁。
「仲良くお寝んねとは、いい眺めだな。」
シシシと笑う進藤の言葉に 堂上の背筋に冷たい汗が流れた。
「寝…て た?」
「よく寝てたよ。仲良く頭並べてさ。」
飛び起きた時に頭をぶつけるほど近くにね、と にこやかに小牧が付け加える。
「痛いですー。って、教官も寝てたんですか?」
額を擦りつつ、涙目の郁が 驚いたように目を見張った。
「あ、いや……そう、なのか?」
少々後ろめたさがあって まともに郁の顔が見られない堂上は、平静を装って小牧に視線を向けた。
「まあね、案外速攻で寝てたから、疲れがたまってたんだろうなって放っといた。そろそろお開きだよ。」
「起こせよ!」
酒に酔って妙な夢を見たじゃないか。なんて とても言えないが、だからいつにも増して郁を近くに感じたのかと──
夢、
──だよな?。
あまりものリアルな感覚に、夢と現実の区別がつかなかったのだが。隣で額をさする郁は見た感じそんな素振りはない。普段のように 寝落ちに恐縮したり 残念がったり。何事にもだだ漏れな部下だから 何かあったならそれどころではないはずだ。
堂上は逆にそんな夢を見た自分がいたたまれない。どんだけ欲しているんだと。
どんな光景でも最後まで一緒に見ると宣言した郁が、自分とだけ見ればいいと思った。王子様なんて奴には渡さない。ならば行動するだけだ。
カミツレのお茶の約束はしたが、具体的でないことに焦りでもあるのか。
「どうした、堂上。」
襲い損ねでもしたか、と お約束の余計な事を言う進藤に、内心の動揺を抑えるように噛み付いた。
「あ!酒!」
今日は個人的に好きな酒を入れていた。実際隊長の穴を埋めるべくこなす書類は増えており、たまにはいい酒で潤したかったのだ。
「心配しなくても 無駄にならないように飲んでおいてやったからな。」
しれっと笑う進藤に思いっきり脱力した。

やんやと勝手に盛り上がって解散になる。集中訓練は深酒してはこなせない。
ムスッとむくれながらも進藤と言い合う堂上を 郁はぼんやり見ていた。
「笠原さん、大丈夫?」
小牧に声をかけられて郁の肩が跳ねた。
「あ、もう平気です。結構寝ちゃったみたいで……え、と、みんな いつから……」
「はは、俺達が覗いて直ぐに堂上が起きたんだよ。酔ってても 流石に気配に敏いからね──て、」
小牧はこそりと耳打ちした。
「…何か進展があったの?」
「ばっ!」
つい大声を出しそうになり、堂上が訝しげに郁の方を見たのに気付いて声を潜めた。
「バカ言わないで下さい。そんなことあるわけ──」
あんな……あんな夢を見たなんて、はしたないんじゃないか。あんな生々しい夢を見るほど自分にその願望があるんだろうかと思うと、恥ずかしくてまともに堂上と顔を合わせられない。夢の中の自分は大胆で、あんな──
急に思い出して ボン と郁の顔は真っ赤に染まった。
小牧はその反応に何かを感じた。
可愛い部下が友人に恋をしている。
長年見守ってきた頑なな友人も 受け入れ体制が整ったようで。
いや、攻めに出てないか?
彼女にこんな顔させる堂上はと見ると、何事もなかったように振る舞っているが。
「まさかね。」

真っ赤になって頭をブンブン振る郁に、堂上は眉間にシワを寄せながら近寄ってきた。
「どうした、痛むのか?」
おもむろに郁の前髪を分けて額の打ちどころを確認する堂上に、郁の顔は更に茹だる。
「おっと 俺、何もしてないからね。したとしたら堂上だから。」
女の子のおデコを上げるなんて、軽率じゃないか?
徐々に接近しつつある2人を見ているのは楽しい。やっと動き出した気配に嬉しくなる。
今夜はちょっとカマをかけてみるのも面白い。
2人並んで歩く背中を 小牧はクスクス眺めながら帰路についた。

20:15  |  図書戦  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2014年05月07日(水) 01:11 |  | コメント編集

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 | 2014年05月09日(金) 15:26 |  | コメント編集

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