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2014'07.01 (Tue)

「乱」 (one titles提出作品)

こんにちは。
いつの間にか今年も半分。そしてあと数週間で夏休みです。
まあ、長男は補習のオンパレード、受験生の長女は部活と勉強、チビはプールと公園へ通う毎日が目に見えてるようなものなんですが。
で、夏休みを前に1つご連絡をば。
先日息子に「母ちゃんのツイに○○来てる?」……おお、母ちゃんがTwitterしてるのバレてんじゃん。
てなわけで、元から対策してはあるのですが、一応夏休みからTwitterには鍵をかけようかしらと。私自身、鍵付きにはいろいろ思うところがあるのですが、とても大切な場所なので正直子供には知られたくないのです。いや、あんた達ネタにしてるしね(^。^;)。
で、鍵つけるとキャパのない私には対処出来ないこともあるかと思いますので(環境かえるとパニクっちゃう)、遊んで頂ける方は 今の内に戸を叩いて頂けると有り難いです。アカウントは@ichikanomarchです。

さて、7月。お題サイトも更新です。ホント書けなくて書けなくて、でも参加したくて(B型)。
早く 体重と共にお話書く調子も戻したいです。
↓こちらからどうぞ。



【More】

「乱」上官部下 戦争期


「!うわっ」
飛び起きた堂上は、咄嗟に自分の口を塞ぐ。と、同時にアラームの音に気が付いた。
ここは寮の自室、1人部屋だ。
堂上はぐるりと部屋を見渡してから大きく息を吐くと、鳴り響く枕元のアラームを止めた。
今朝見た夢を頭を振ることで片隅に追いやる。バカな夢を払拭する方法は得ているのだ。
──笠原郁を弾かない。
そう決めてから臨む訓練には気合いが入る。
「クソ教官、か。」
自嘲気味に呟いてから、カーテンを開けるべく立ち上がった。



郁が堂上にドロップキックをかまし、堂上が腕ひしぎで応戦してからというもの、格闘訓練ではお互い隙の窺い合いだ。
乱取りでは 奇襲をかけようと郁が背後に立とうとすれば、堂上はすかさず身構える。時に 気付いていないかと飛びかかっていっても軽くいなされる。
「くっそ!何で分かるんですか!」
「あほか貴様。そんな殺気立ってて気付かれないと思われとる方が心外だ。」
堂上と組めば兎に角必ず投げられ落とされる。乱取り稽古では積極的に投げたり投げられたりすることを繰り返すが、堂上を投げ返すことはままならない。
「力で投げようとするな!相手の体勢を崩せ!」
(だってあんた硬くてビクともしないじゃん。)
「技のタイミングを考えろ!」
(あんたの足裁きのどこにタイミングがあるのよ。)
「防ぎ方や 返し方を学べ!」
(一瞬の事でわかんないわよ。)
容赦なく叩きつけられ沈められる。
堂上の扱きには拍車がかかる。
「相手が技をかけようとする時も狙い目だよ。基本だけど、連携も使わないと単発ではまず成功しないね。」
小牧のアドバイスを聞いても堂上には通用しない。郁はピリピリと神経を尖らせていた。


「ったく、何であたしばっかり投げられなきゃなんないのよ!。絶対他と扱いが違うんじゃない!」
風呂上がり、寮の部屋にはツンと湿布の匂いが立ち込める。
プンプンと愚痴を零す郁に、柴崎は呆れたように言う。
「よく言うわよ。こんな理解の悪い山猿に懇切丁寧に相手してやる懐の広さは、流石だと思うけどね。」
「どこが懇切丁寧よ!。ただ投げられる身にもなってみなさいよ!」
「あら、そんなキャラに成り下がるはずないじゃない。あたし業務部だしぃ~。」
噛み付く郁をいつものようにバッサリ切る。それでも化粧水を肌にたたき込みながらニヤニヤとした顔を見せた。
「あんなに派手な音立ててその程度。何でかしらね~。」
「むう…」
郁は腕や腰に湿布を貼ると、バサリとベッドに体を投げ入れた。

堂上との乱取り稽古では、回を増す毎に指示が飛ぶ。大内から背負い、膝車から払い腰、小内から体落としなど。うまく相手の力を利用し体制を崩して、投げること。「柔よく剛を制す」なのか、省エネ柔道は体格に不利のある細身の郁には必要だ。
確かに大内から大外、出足払いから大外など、技のつながりを意識するようになり、がむしゃらに技に入るだけの初心者から少しずつ脱皮していくのが自分でも分かる。
但し最後に投げられるのは郁だが。
1度、「投げ技をするときは体を低く入れることに注意しろ」と言われたが、悔しくて「教官が小さくては懐に入りにくいです。」と言って、本気の拳骨を食らったのだった。

分かってはいる。投げ飛ばされる時に一瞬グッと引き上げられることを。派手な受け身の音はするが、ダメージはそれほどない。それが悔しいのだ。その分ポンポン投げられるし、力の差が歴然とし過ぎている。
当たり前だ。相手は5つも上で特殊部隊の強者だ。
教育期間終盤には、自分が陸上の練習と訓練の違いを見極められていなかった甘ちゃんだと身を持って教わり自覚した。
だからこそ追いかけたい王子様の前に、取り敢えず超えておく男として目標対象にしたのが堂上である。
全国初の女子の図書特殊部隊への配属を命じられて後込みはしたが、 何かと正義の味方みたいなた立ち回りを見せる堂上と同じ土俵に立てることに奮い立つものもあった。
が。
「背中が大き過ぎんのよ…」
「何か言ったぁ?」
「何でもない!」
ガバッと布団にくるまるしかなかった。


特殊部隊での研修が進む中で初めての良化特務機関の襲撃を経験した。そしてその日の内に 新たな問題が浮上したのだ。
連続通り魔殺人事件の容疑者として高校生が逮捕されたとの報道だった。その高校生がメディア作品の影響の有無に焦点が当てられると、世論の図書館への風当たりがきつくなった。メディア良化委員会も動き出すが、賛助団体も声をあげる。
当然の如く防衛部の警戒レベルは跳ね上がり、郁も館内警備に駆り出されていた。
「笠原。」
閲覧室警備をしていた郁を柴崎が呼び止めた。
「どうしたの?」
柴崎に引っ張られた先に来て、郁は言葉を失った。
「何、これ……」
比較的人の出入りの少ない専門書の書架は、何者かによって大部分が落とされ 足元に散乱していた。
「嫌がらせ、かしらね……」
柴崎は形の良い眉を寄せてため息をつく。
「このところ ちょくちょくあるのよ。こんな大掛かりなのは初めてだけど、蔵書の入れ替えや大量な抜き出しとか……業務妨害も甚だしいわ。」
「わあ、コレは派手にやられたね。」
小牧も駆け付け無線で堂上と手塚にも連絡を取り、総出で元に戻す作業に入った。乱雑に打ち捨てられ、本の傷みも激しい。
「少なくとも教育委員会はこんな事はしない。たちの悪い奴らが動こうとしてるかもしれんな。」
やってきた堂上は難しい顔をして、拾い上げた本の表紙を一撫でした。
「こんな本の扱いする奴、許さない。」
郁が頬を膨らませながら本を並べていると、その隙間から様子を窺う男の視線とかち合った。
「!!」
心臓が飛び出るほどビックリしたが それは向こうも同じらしい。次の瞬間 逃げていく足音がした。
「待ちなさい!」
咄嗟に郁が追い掛けた。
「笠原!」
堂上も後を追った。

専門書架コーナーを抜けると閲覧室や一部個室も立ち並ぶ。男は人の多いエントランスで利用者に紛れ込む算段か、角を曲がった。
足には自信のある郁も、入り組んだ先に逃走した男を見失ってしまった。
郁は立ち止まって辺りを探る。
感じるのは──
真後ろから飛びかかってきた男を、身を翻してかわした。思ったより体格の良い男だ。
「笠原!」
その声を合図のように、郁は踏み込みながら両手で男の体を真前へ浮かし崩して体を大きく左に回転させ、弾みを利かせて払い上げた。
「あれ?」
そんなに力いっぱい投げたつもりはなかった。しかし男は見事にひっくり返って床に叩き付けられ 這い蹲る。
「ボケッとするな!」
怒号と共に堂上が男に馬乗りになって、後ろ手に拘束する。
郁はぽかんと立っていた。

蔵書損壊と業務妨害で、男は防衛部に連行されていった。
結局は教育委員会とも賛助団体とも関係のない、騒ぎに便乗した愉快犯。彼女に振られた腹いせに、鬱憤をぶつけていたらしい。
郁は堂上の指導の元、調書をとる。
『確保者 笠原』
「堂々と書けるな。」
「や、でも……」
郁が呆気に取られているうちに拘束したのは堂上だったが。
「見事な払い腰だった。教えたつもりはなかったが回転を加えれば、体格差は十分補えられる。良くやったな。」
堂上は椅子に座っている郁の頭をガシガシ混ぜた。
「や、ちょっ……」
郁が見上げると、その手に見え隠れする──堂上の、多分 笑顔。
わかりにくいけど、……笑ってるんだよね。
その笑顔は、ふてくされているような──でも優しい目。この人は部下が一人前の働きをして、喜んでいる?。そして頭を撫でる手が 何かと重なった。
郁の鼓動がトキンと跳ねる。それを誤魔化すようにあたふたとなった。
「あ、いや、何か、普段 堂上教官と組んでるからか、相手の動きがゆっくりと見えて。殺気なんか 分かりやすかったし。」
あんなに扱かれていた甲斐があったというもの。
「それに、上背がある分 堂上教官より懐に入りやすかったし──」
とのところで「やかましいわ」と拳骨が落ちた。


「分かりにくいけど分かりやすいよね。」
「……何だ。その意味不明なセリフは。」
「ホントは彼女をこんな危険な場所に置きたくないんだけど。」
「……」
「その1、弾けないなら 自分の身を守れるように鍛えあげる。」
「…おい。」
「その2、自分で育てて成長を楽しむ。」
「…何だと。」
「その3、特に乱取りでは他の男と組み手を取らせたくない。以下、続ける?」
「貴様!」
扱いたって煩悩は処理出来ないよ と笑う小牧を堂上は絞めに掛かった。


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 | 2014年07月05日(土) 03:29 |  | コメント編集

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