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2014'08.31 (Sun)

「幻に終わらせない」

急に秋めいてきました。
朝は寒いくらいで 足元がどうしても冷たくて、コタツの電気つけてる、なんて言ったら笑われるかしら(^_^;。
新学期も始まり、通常営業です。
プレ介護に追われ なかなか更新しませんが、書いてる時間は100%自分の時間。贅沢な時間が目に見える形に出来るって嬉しいものです。
こんなものに お付き合い頂けると尚嬉し♡。ありがとうございます。
そして来る9月半ばには、ブログ立ち上げ2周年です。おお、よく続いております。
そこで何か記念に──と、夜中お世話になるお茶会なぞしてみたいなぁ~( ´艸`)と思っていたりします。が、問題は 私にパソコンスキルが皆無なのが1つ。そして家族にこっそり内緒で開催出来るか否か?な・・・。
ちょっと練習してから お知らせしますね。やるやる詐欺になる可能性もありますが( ・_・;)。

更新です。上官・部下で当麻事件勃発日です。チラッとオリキャラは我が家のレギュラーです。
↓こちらからどうぞ。



【More】

「幻に終わらせない」


敦賀で起こった原発テロが、小説『原発危機』を参考にしたのではないかと、著者である当麻蔵人が良化委員会に狙われている。
基地が当麻を匿うことになり、身辺警護は堂上班に任された。

特殊部隊は柴崎の発案で髪を染めている当麻の身支度が整うのを待って、夜7時に招集をかけられた。
業務を終えた隊員達がチラホラと戻ってきている。中には堂上を見て にやついている隊員もいる。
「お 何だ 堂上、私服かよ。ばっちりキメてどうし・・・笠原もじゃないか。あ そうか、おまえら公休だったもんな。」
市街哨戒に当たっていた斎藤が帰ってくるなり声をかけてきた。
「余計なツッコミはいいですから、さっさと会議室に入って下さい。」
あたふたとなる郁に比べて堂上はいたって冷静だ。無表情なまま斎藤を追い立てると手元の資料を見て警備計画の最終チェックをし始めた。
ちょいちょいからかう隊員達に、郁は熱くなる頬を隠しながら何とかかわす。そこに土井がコッソリ耳打ちをした。
「立派にデートに見えたんだけどな。」
「なっ──」
どうやら哨戒中に2人の偽装デートを見かけたらしい。
「ち、違います!。仕事で仕方なくであって・・・」
「仕方なく?」
「──っ」
郁はチラッと堂上の横顔を見た。
堂上は顎に軽く握った右手をあてて、一心に警備計画表と睨めっこである。既に当麻の警護だけに集中しているようだ。多少なり 浮かれているのは郁の方ばかりか。
「仕事です・・・」
キュッと顔を引き締める。
「お似合いだったよ。」
土井は一言だけ置くと 郁の肩を叩いてそのまま会議室に入って行った。



当麻は研修幹部らしく装い、男子寮の客室で匿うことになった。深夜番は堂上班で、小牧・手塚と堂上•郁の2人交替制だ。内鍵をかけないでいる当麻の隣室で警護する。
「今日はお楽しみのところ残念だったね。」
警護に入る前 小牧がにこやかに話を振ってきた。
「•••単にお茶を飲む約束を果たしただけだ。」
ぶっきらぼうに答える堂上に苦笑する。頑なだった堂上の変化は、長い付き合いの小牧にはお見通しではある。それはなるべくしてなった状況であり、見守ってきた誰もが待ち望んでいた変化だった。ただ──


『んで、まとまったんだろうな。』
会議前の特殊部隊隊員は小牧のところに来ては探りを入れた。
──堂上と笠原がいつくっつくか。
2人の気持ちが互いに向いているのはバレバレである。堂上の見計らいの経緯は周知の事実であり、郁の面接は伝説にもなり 箝口令を敷いた時点で意識しているのも公言したようなものだ。
県展以降の2人の様子に期待は高まり、この日に揃って出掛けるとの噂が飛び交えば、部隊恒例の賭事は当然仕切られる訳で。

そんな時の事件勃発だ。
決着が中断したのを無念に思うのは、この日に賭けた大半の者達以上に堂上自身がそう思っているはずだ。
しかし堂上の性格上、プライベートを優先することはない。

「おあずけだね。」
小牧の呟きに 堂上は答えなかった。



郁との警護を終え、仮眠室に入った堂上はベッドになだれ込んだ。
──長い1日だった。
いろいろな事が1度にやってきた。
本気で手に入れたいと思った女と出掛けて、これから という時に起こった事件。
当麻が敵の手に渡れば 自由な著作を放棄させられるうえ、それを皮切りに作家狩り・言論狩りが行われることになり得るのだ。
──今は•••

頬を真っ赤に染め上げた郁。重い荷物を持ち、地に這い蹲り、銃をとるその手は思ったより華奢で温かで。
目の前に現れ 微笑む郁に手を伸ばす。
1度取った手が忘れられず、偽装で買い物に出掛ける際も それらしい理由を付けて手を差し出した。郁が手を取ると確信して。「触れたい」と思っているのは自分だけではないはずだと。
あのまま2人で映画にでも行っていたならば、要らぬ理由を付けずとも 堂々と手を取っていたはずなのに。
しかしいくら手を伸ばしても触れられず。掴もうとしても空を切るばかり。
そんなバカな。
変わらず微笑む郁がそこにいる。
堂上は掻き抱くように郁に腕を回すが、突き抜けるだけ。振り向けばメガネを掛けた郁が──
「笠原。」
器用な上目使いで笑う郁が遠ざかる。
「笠原っ!」
駆け寄ろうにもみるみる小さくなる郁に追い付かない。どれだけ腕を伸ばしても届かない。
「!!っ」


ガバッと起き上がった堂上は肩で息をしていた。
見渡せばそこは何の変哲もない仮眠室。ベッドの上で額に汗を吹き出していた。

夢、か。

ノロノロと立ち上がった堂上は、大きく息を吐いた。
右手を見る。
全て幻か。手に取った郁の温もりも何もかも。


今朝は早朝からミーティングがある。深夜早番をした堂上は、早々に寮を出た。交替した小牧達からは異常かあったとの連絡はない。
庁舎に向かう堂上の前を 見知った背中が歩いていた。
「笠原。」
思わず声を掛けた。
深夜に忍んで来た郁は交替の際再び忍んで女子寮に帰って行った。暗闇では郁の上背であれば見咎められることはないだろう。
振り向いた郁は立ち止まり 頭を掻いて舌を出す。
「なんか興奮しちゃって寝付けなくて。朝も早くに目が覚めたんで・・・出て来ちゃいました。」
そういう郁の手を、堂上は何も言わずに取った。
「え?」
途端に郁の顔が真っ赤に茹だる。
ああ、この顔だ。手に伝わってくる温もりも記憶に新しい。この手を離したくなかった。
ドキマギと、どうしたら良いかわからないでいる郁を引き寄せると、なんの抵抗もなく懐に入ってきた。
「!?」
伝えたかった言葉がある。溢れるほどの想いがある。
「きょ、きょう、かん。」
戸惑いの隠せない郁の声を耳元で聞いて我にかえった。
「!」
べりっと音が聞こえるかのように郁を引き剥がす。
「スマン──いや、•••••」
この事件が終わるまでは と、自分に言い聞かせた筈なのに。
「•••昨日のことは──」
郁の声に堂上が顔を上げた。
「夢かと思いました。」
「・・・・」
「事件、ホントに起こったんですね。」
「•••ああ、いつ何があるか分からん。休める時はしっかり休め。言えば仮眠でも何でも許可するから、体調だけは崩すなよ。」
2人並んで庁舎に歩き出す。
歩きながら 触れそうで触れない距離にある互いの手は小さく揺れている。この手を取れたなら。
「笠原、全力で警護に着きます。」
「ああ、護りきるぞ。」

図書隊員としてするべき事は1つだけ。その先にあるのは 何かは分からない。
しかし見詰める先は同じ光景だから。
長い戦いは始まったばかりだった。

09:58  |  図書戦  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

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 | 2014年08月31日(日) 15:01 |  | コメント編集

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 | 2014年09月01日(月) 12:55 |  | コメント編集

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