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2014'10.28 (Tue)

「自覚して」

こんばんは。
日中は暖かいのですが、夕方からはぐっと寒くなってきました。風も強かったり。外に出るのが苦痛です。
この時季、ワンコの散歩に出ると体中草の実だらけになります。大型犬なのでブラッシングも一苦労。
田舎道なので草ぼーぼーなんですよね。
学校から帰って来たチビのズボンにもいっぱいついてきますが。頼むから道路歩いてきてね、な季節です。

さて、LaLa本紙で とうとう最終回の文字が出てきちゃいましたね(T_T)。
いや、間を置いて別冊の連載をしてくれるはず!と信じていますよ!!。
だってラブラブな2人が見たいじゃないですかぁっ。
二次の世界は続けていきたいな。細々とでも。うん。

更新です。恋人期で、ムツゴロウ後です。視点がアチコチしてる気がしますが、気にしないで下さい←

↓こちらからどうぞ。


【More】

「自覚して」


寮内の雰囲気が変わった。

風呂上りに共用ロビーにある自販機で飲み物を買うのは誰もがすること。郁と柴崎も大概このコースだ。

「あったまったね。疲れも取れる~。」
郁と柴崎もいつものように飲み物を買うつもりでロビーに寄った。
「柴崎はミネラルウォーターでいいんだよね?。あたしは──」
自販機前で思案する郁の後ろで、柴崎は周りの気配が動くのを感じた。
鑑賞含め、柴崎に見とれる男性寮生は当然多い。鬱陶しいが まあ 慣れているから気にしない。
ただ このところの郁への視線の変化は面白いように分かる。
ロビーに入ってきた郁の姿をチラチラ追う者。ヒソヒソと数人集まって囁く者。
それもそのはず。柴崎の目にも 郁の変化は見て取れるからだ。
濡れた髪をガシガシ拭き取るのは相変わらずだし、豪快に飲み干す姿は「笠原」そのもの。それでも──
柴崎は空いていたソファーに腰を下ろす。
冷たいスポーツドリンクに口をつけながら ちょっとソワソワな郁は、今や山猿ではない。快活な中にも時折見せる柔らかい表情。
色っぽい いかにも女性的な雰囲気を持つ寮生はアチコチにいるが、郁の場合は修羅場をくぐり抜けてきた強さと凛々しさが滲みでていて、深みのある魅力もあるのだ。

「笠原、化粧するようになって変わったよな。」
「ああ、綺麗になって大人の女性らしくなったよ。」
「ずりぃよな、堂上二正。いいとこ持って行ってさぁ。」
「だよな、あんないい女になるんだったらモノにしとくんだったぜ。」
そんな会話があちこちでされていれば堂上の耳にも入ってくる。
その郁の意識の先は男子寮の入口。見てないふりなんてしてもバレバレだ。柴崎はクスリと笑って 喉を潤した。
パッと笑顔が輝いたのは、そこに堂上が姿を見せたからだ。視線の合った堂上が右手を上げて応える。
「きょーかん、今からお風呂ですか。」
「ん、ちょっと会議が長引いたからな。こら、髪は早く乾かせ。風邪引くぞ。」
ぽん と頭を叩いたその手が、郁の首にかかっているタオルで毛先に滴る水滴を拭う。されるがままの郁は ブンブンとふる尻尾が見える犬のようだ。かと思えば タオルの下から見え隠れする頬を染めた郁の顔は 女そのもの。
勿論その目は堂上しか見ていない。
──チッ。
耳に入ってきた舌打ちに 柴崎は笑いが込み上げてくるのを必死で抑えた。
悔しがっている男達の多いこと。今更よ。それに あんた達では笠原をここまで可愛く出来なかったでしょうね。
同じように笑いを噛み殺している小牧がそこにいた。


武蔵野第二図書館で起こった 薬物中毒者による人質立て篭もり事件では、郁が餌となりしっかりと釣り上げてきた。
郁が囮になる時のお嬢系ミニスカート姿は寮内で話題を呼んだ。特に同期の間では、反則なほどの郁の変貌ぶりに堂上へのやっかみは大きい。
しかし堂上にしたら やっと大人の関係になったのだ。他の男の郁を見る目に邪気を感じるのは面白くない。郁本人に自覚がないのも困ったものだ。
ただ、催涙ガス事件以降、堂上と郁の交際は広く知られることになった。あえて主張するつもりはなかった堂上だが、特にロビーで郁がした肌の手入れは特別な関係であることを他に悟らせるには十分だった。
それでも集るハエどもには嫌気がさす。


「お疲れ。」
ノックと同時にビール片手に部屋に入ってきたのは小牧だ。
「笠原さん、お手柄だったね。堂上にとっては面白くなかっただろうけどさ。」
仕事とはいえ、危険に身を晒さねばならない。人並みはずれた身体能力の持ち主ではあるが、自分の彼女を差し出す覚悟は如何程のものか。もっとも自ら厳しく鍛えて育てた部下だ。誰よりも信頼しているからこそ、でもあるのだろう。
多分耐えられないであろうモノは──。
今もビールを調達する際に足を運んだロビーで耳にした会話。今日の郁の装いについて、男どもは色めきだっていた。
仕事内容より見た目のインパクト。男の性だから仕方が無い。
「笠原の足!。あのライン、スッゲーそそられるよな。」
「あの足で踏み付けてもらいてー!」
「変態かよ。ははは。」
堂上の前で言ったなら 確実に殴り飛ばされるような会話に小牧はため息をついた。こんな風に毬江が見られたら と想像もしたくない。堂上の心労を気の毒に思う。

「玄田隊長が 図書館という空間の危険性を利用者に警鐘するページを世相社に作るよう掛け合ったらしいね。折口さんのことだ、広く伝えてくれるんじゃないかな。」
「ああ、一時的にでも意識して貰えれば有難い。検閲抗争以外の危機管理を館員や利用者自身に周知出来ればいいんだが。」
「防衛方は子守じゃないんだからね。でないとまた笠原さんが駆り出されることになるよ。」
堂上はビールを呷る。
「笠原さんも変わったからね。使われるのは身体能力だけじゃなくなったことだし。彼氏としては色々言いたいこともあるだろうけど。」
小牧の言葉に堂上の眉間に皺が寄る。重い口を開いた。
「仕事を否定するわけにいかないしな。たまたま彼女が隊内にいるってだけだ。直接フォローできる立場にいるのはメリットだと思ってる。」
それがこの2人の形なのだろう。誰もが真似できることではない。
「笠原さんの人気はうなぎのぼりだよ。その辺はどーですか?」
小牧はあえて軽く言ってみた。
「人の彼女 かっ攫っていくつもりのある奴がいたら正面切って相手してやる。ただそれだけのことだ。」
ひゅーと小牧は口笛をふいた。変わったのは彼女だけではないのだ。
「業務外では笠原さんのこと『彼女』って言うようになった堂上はいいと思うよ。うん、開き直りも様になってきたことだし。」
ブッとビールを吹き出した堂上の耳は赤い。
長年自分の気持ちに蓋をして頑なだった男も随分変わったもんだ。この男に立ち向かうだなんて、滑稽以外の何者でもない。
「余計なお世話だ!。ほら、つまみもなくなったことだし お開きだ、お開き。」
指摘されると照れ隠しのように悪態をつくのが堂上らしい。小牧の口角も自然と上がる。

その時ベッドの上に置いてあった堂上の携帯がメール着信の音をたてた。おもむろに開いて 耳を赤らめギョッとする表情を見せたのだから、相手はおのずと知れたもの。
「ぶっっ」
あまりにわかり易くて、小牧は込み上げる笑いを殺せなかった。
「おまっ・・もう帰れよ!」
小牧を部屋から蹴り出す堂上に一言浴びせる。
「笠原さん宛のメール打つ時の姿を見せたくないのは、鼻の下が長くなるからなんだろ?」
廊下に出て急いで戸を閉めれば、投げつけられた枕のぶつかる音がした。

「ったく!」
速攻で返信したのは『あんまりかわいいこと書いてくるな、ばか』。
どうせ柴崎あたりから入れ知恵つけられたんだろうが、少しは自覚する機会にもなったか。
郁は今、多分真っ赤な顔で携帯を胸に抱えていることだろう。
堂上はもう1度携帯を開いた。
煽るのが上手い彼女へ。少しくらい印をつけたくなるのは仕方ないだろ?


郁の携帯から甘いメロディーが響いた。

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 | 2014年10月28日(火) 23:36 |  | コメント編集

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 | 2014年10月29日(水) 08:12 |  | コメント編集

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